フルハーネス義務化について!法改正の3つのポイントと選び方を解説【2022年版】
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フルハーネスの着用が義務化されました。高所で作業することが多い職種の方は、新規格のフルハーネスに買い換える必要があるでしょう。
しかし「新規格のフルハーネスがどのようなものかわからない…」、「フルハーネスの義務化について知りたい」と考えている方も多いはず。
高所で作業する方にとって身近な話題ですが、意外と知らない方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、フルハーネスの義務化について解説していきます。新規格のフルハーネスも紹介しているので、ぜひ参考にしてください
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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1.フルハーネスとは?
フルハーネスとは、高所作業時の転落や墜落から作業者を守る器具のこと。ハーネスベルトやランヤード、銅ベルトで構成されています。
豆知識
- ハーネスベルト…ウエストベルトとサスペンダーが一体化したようなデザインのベルト。
- ランヤード…命綱にあたる部分。ロープやストラップの先にフックがついています。
- 銅ベルト…腰に巻くベルトのこと。腰道具をつけるのに必要です。
フルハーネスを着用することで、落下時に肩や太ももなどの複数箇所を支えてくれます。その結果、落下時の衝撃を和らげることが可能に。
このようにフルハーネスを着用することで、高所からの墜落や転落などの事故を防げるのです。
1-1. 2019年2月1日に義務化!
2019年2月1日に6.75m以上(建設業では5m以上、柱上作業の場合は2m以上の使用を推奨)の作業床のない箇所では、フルハーネスの着用が義務化されました。
フルハーネス着用の義務化によって、重篤事故の多い高所からの墜落や転落を防ぐ狙いがあります。
ほかにもフルハーネスを選ぶ際に、着用者の体重と装備品を合わせた重さに耐えられるもの、ショックアブソーバーを使用する場合のフック位置によって適切な種別を選ぶことも盛り込まれています。
また、フルハーネス着用の義務化とともに特別教育の受講も必要になりました。
2.フルハーネス特別教育とは?【改正の3つのポイント】
フルハーネス着用の義務化にともない、主に3点の変更があります。新規格のフルハーネスに買い換える際の、補助金の詳細についても解説していきます。
2-1.「安全帯」から「墜落制止用器具」に名称変更
今までは墜落を防止する保護具のことを「安全帯」と呼んでいましたが、フルハーネスの義務化にともない「墜落制止用器具」に名称が変更されました。
名称の変更だけではなく、U字つりの銅ベルト型の使用も禁止に。1本つりの銅ベルトとフルハーネスのみ、墜落制止用器具として使用できることになりました。
ほかにも、フルハーネスや銅ベルト、ランヤードの使用高さの制限や墜落制止用器具の構造、部品の強度に求められる条件なども新たなものになっています。
このように「安全帯」から「墜落制止用器具」に名称が変更されただけではなく、墜落制止用器具に求められる条件も変更されています。
2-2.「フルハーネス型」を原則使用
フルハーネスの着用義務化により、6.75m以上(建設業では5以上での使用を推奨)を超える場所での高所作業では、原則としてフルハーネスを使用することになりました。
しかし規定未満の高さ(6.75m以下)の場合は、フルハーネスだと墜落時に地面に接触する可能性があるため、銅ベルトの使用も認められています。
このようにフルハーネスと銅ベルト使い分けるのは、2つの違いがあるためです。
2-2-1.ランヤードの取付位置の違い
フルハーネスと銅ベルトは、ランヤードの取り付け位置に違いがあります。
これにより墜落や転落時の姿勢が変わるため、フルハーネスと銅ベルトを状況によって使い分けるのです。
フルハーネスは背中の肩甲骨(けんこうこつ)付近にランヤードが付きますが、銅ベルトは腰付近にランヤードが付きます。この違いによって、墜落時にフルハーネスの方が落下距離が長いのです。
2-2-2.落下時の姿勢による違い
フルハーネルと銅ベルトは、落下時の姿勢にも違いがあります。
銅ベルトは、腰を中心に体が2つ折りのような体勢で落下します。人によっては、頭が下に向いた状態で落下することもあるようです。
上記のような態勢で落下する銅ベルトを使用すると、内蔵破裂や肋骨が肺に刺さる、銅ベルトがずれ上がって首が締まる、逆さになるなどのリスクもあります。
フルハーネスの場合は背中の肩甲骨付近にランヤードが付いているため、足から落下します。結果的に肩や太ももなど複数箇所に衝撃が分散されるため、大けがのリスクを軽減する効果も期待できるのです。
このように落下時の姿勢の違いで、落下時の体への負担も変わってきます。
2-3.「安全衛生特別教育」の受講が必須に
フルハーネスを使用するには、安全衛生特別教育の受講が必須になりました。
安全衛生特別教育では、高所作業での墜落制止用器具を正しく使用し、安全に作業を行うための講座を行います。
安全衛生特別教育では学科4.5時間、実技1.5時間の受講が必要です。
詳細は、以下の表の通り。
-学科-
学科科目 範囲 時間 作業に関する知識 ①作業に用いる切部の種類、構造、取り扱い方法
②作業に用いる設備の点検、設備の方法
⓷作業方法1時間 墜落制止用器具に関する知識 ①墜落制止用器具のフルハーネス、ランヤードの種類と構造
②墜落制止用器具のフルハーネスの装着方法
⓷墜落制止用器具のランヤードの取り付け設備などへの取り付け方法、選定方法
④墜落制止用器具の点検、整備の方法
⑤墜落制止用器具の関連器具の使用方法2時間 労働災害の防止に関する知識 ①墜落による労働災害の防止のための措置
②落下物による危険防止のための措置
⓷関電防止のための措置
④保護帽の使用方法、保守点検の方法
⑤事故発生時の措置
⑥その他作業に伴う災害、その防止法1時間 関係法令 安衛法、安衛令、安衛則中の関係条項 0.5時間 参考:厚生労働省
-実技-
実技科目 範囲 時間 墜落制止用器具の使用方法など ①墜落制止用器具のフルハーネス装着の方法 ②墜落制止用器具のランヤードの取り付け、設備への取り付け方法
⓷墜落による労働災害防止のための措置
④墜落制止用器具の点検、設備の方法
1.5時間 参考:厚生労働省
しかし高所作業でも、作業床を設けられる場合は特別教育を受講する必要はありません。
つまり足場上で作業する方は、特別教育を受講しなくてもいいのです。
2-3-1.一部科目が省略されるケース
フルハーネスを使用する方は特別教育を受講する必要がありますが、一部科目が省略される方もいます。
2m以上の高所かつ作業床の設置が難しい場所で、フルハーネスを着用しての作業経験が6ヶ月以上ある方の場合は、3科目の免除(作業に関する知識、墜落制止用器具に関する知識、墜落制止用器具の使用方法)。
銅ベルトを着用して作業した経験が6ヶ月以上ある方は、1科目が免除されます(作業に関する知識)。
ほかにも、足場の組立て等特別教育受講者やロープ高所作業特別教育受講者は、労働災害の防止に関する知識の1科目を免除。
このように一部科目が省略されるケースがあるので、受講前に確認するのがオススメです。
2-3-2.受講方法
特別教育の受講は、全国各地で可能。建設業関連の一般社団法人や財団法人などで開催されています。また近隣地域で開催されていない場合でも、出張講習に対応している可能性もあります。
フルハーネスの特別教育の受講を希望される方は「○○(地域名)+フルハーネス+特別教育」で調べるのがオススメです。
2-4.補助金も申請可能
新規格に対応したフルハーネスを購入するさいの、補助金の申請も行っています。
これは墜落制止用器具として使用できない、安全帯を買い替えるために掛かる費用の一部を補助するためのものです。
令和2年度の 補助金の交付額は以下の通り。
- 1本あたりの上限:12,500円(補助対象経費「上限25,000円の1/2)
- 同一申請者あたりの合計額:625,000円
令和3年度の補助金に関する情報はまだでていないので、今後の情報に期待しましょう。
3.フルハーネスのオススメを紹介【選び方も解説】
ここからは、オススメのフルハーネスを紹介していきます。選び方についても解説しているので、ぜひご覧ください。
「TITAN」の「HORIZON」シリーズのフルハーネス。水平タイプの腿ベルトを採用しているため、束縛感が少なく脚を開きやすいです。
体の動きにフィットし、作業性の高い藤井電工「REVO HARNESS」。ベルトの表と裏の色が違うため、ベルトがどこでねじれているかわかりやすいフルハーネスです。
墜落時の安定性が高いV型の腿ベルトを採用。ワンタッチで装着可能な、ワンタッチバックルを採用しています。
腰道具を多くつけたい方には、基陽株式会社の「H TIPE」がオススメです。安定感が高いため、重い腰道具を装着できます。
サスペンダーのようなH型を採用しているフルハーネスです。
はしご昇降時でも、胸付近にあるDリングを活用して墜落を防げる3Mの「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト フルハーネス フロントDリング付」。骨盤に体重が分散するため、墜落してしまっても体に掛かる負担が少ないフルハーネスです。
太陽光や雨水に強い金属製のバックルを採用しているため、劣化しにくいのも特徴です。
TAJIMAの設計技術と縫製技術を注ぎ込んだZAシリーズ。TAJIMA製品のフルハーネスの中でも、最高峰のシリーズです。
肩に食い込まない46mmの幅広ベルトやベルトずれを防ぐシリコンストッパー、作業しやすいアクティブフィット構造などを採用しています。
3-1.種類別
フルハーネスには、様々な種類があります。それぞれに特徴があるので、自分に合っている種類のフルハーネスを使用するのがオススメです。
【背中ベルト】X型
スタンダードなタイプのX型は、背中で交差して腰を左右から支えられるため、落下時の安定感が抜群です。
フィット感があり、着け心地が良いのも背中ベルト X型の特徴です。
【背中ベルト】Y型
腰道具を多くつけたい方にオススメなのがY型。腰道具を多くつけられるので、高所で道具を使用して作業する際に便利です。
しかし、Y型には下記のようなデメリットもあります。
- 墜落時の衝撃が1点に集中してしまう
- 背中が突っ張ってしまうため、違和感を感じやすい
Y型を利用する前に、上記のデメリットも理解しておくといいでしょう。
【背中ベルト】H型
サスペンダーのような作りが特徴的なH型。前方が「H」、背中が「X」になっているので、安定感があります。
サスペンダー機能で着くずれしにくいため、ファッションにこだわる方にもオススメです。
【銅ベルト】軽量バックルタイプ
バックルをスライドし、ベルトを通して締め上げるように装着するのが軽量バックルタイプ。軽くて動きやすいため、高所でも作業しやすいのが特徴です。
【銅ベルト】ワンタッチバックル
ワンタッチバックルは、ワンタッチで着脱可能な銅ベルト。簡単に着脱できるので、着脱に時間がかかりません。
フルハーネスによっては使用できないこともあるので、購入前に確認するのがオススメです。
銅ベルトなし
銅ベルトを使用しないで、フルハーネスを使用することもできます。銅ベルトを使用しないため、動きやすく重量も軽くなるため、体にかかる負担も軽減できるでしょう。
しかし、フルハーネスに腰道具をつけられないため、工具を持ち歩けません。道具を使用した作業に適していないため、作業内容によっては作業しにくいです。
【腿ベルト】V字型
V字型は、太腿部分をサポートしているベルトが股の下でV字型になっています。しっかり体を支えてくれるので、墜落時の安全性も高いのが特徴的です。
しかし、束縛感があり、動きにくいという一面もあります。
【腿ベルト】水平型
腿ベルトが水平になっているため、束縛感がない水平型。V字型に比べて足が開きやすいため、動きやすいのが特徴です。
しかし、墜落時にベルトがずり上がり、体を圧迫する恐れがあります。
【ランヤード】1丁掛け
フルハーネスに、ランヤードがひとつ付いているのが1丁掛け。1丁掛けのことを、シングルランヤードともいいます。
1丁掛けは2丁掛けよりも軽いため、体にかかる負担を軽減できます。最低限の仕様なため、購入コストを抑えられるのもひとつのメリットです。
【ランヤード】1丁掛け+1丁掛け
1丁掛けを2本組み合わせて使用するのが、1丁掛け+1丁掛け。違う種類のランヤードを組み合わせての使用も可能です。
【ランヤード】2丁掛け
ランヤードがふたつ付いているものが、2丁掛け。ダブルランヤードやツインランヤードとも呼ばれています。2丁掛けを着用しないと入れない現場もあるので、注意が必要です。
2丁掛けは交互にランヤードを引っ掛けられるため、ランヤードが掛かっている状態を常にキープできます。無胴綱状態にならないため安全性が高く、墜落するリスクを減らせるのも特徴です。
プラスアルファの機能で選ぶ
プラスアルファの機能で、フルハーネスを選ぶのも良いです。
夜間作業時に認識しやすいように蛍光色や再帰反射材が付いているもの、ベルトが擦れないように肩や腰などにクッションが装着されているものなどがあるので、好みのものを選ぶといいでしょう。
女性専用や着脱時にベルトが絡まりにくいものなど、さまざまな機能が付いているフルハーネスもあります。
3-2.メーカー別
フルハーネスを販売しているメーカー毎に、フルハーネスの特徴を紹介します。
TAJIMA
LEDライトやメジャーなどの工具でお馴染みのTAJIMA。新規格に対応したフルハーネスも販売しています。
安全性と作業性の高い「ZS」シリーズ、束縛感のない「GS」シリーズなどのラインナップが揃っています。
藤井電工
新規格に合わせて、全製品の構造や強度を見直し、全製品を進化させた藤井電工。これまでも、世界基準の製品を製造してきました。
安全性と装着性に優れた「REVO HARNESS(レヴォハーネス)」や多くの工具を装備できる「HIEN HARNESS(ヒエンハーネス)」などの7シリーズが用意されています。
サンコー(TITAN)
2017年に創業70年周年を迎えたサンコー。工事現場で安全器具の需要が高まった時期に「TITAN(タイタン)」ブランドを創設しました。
「TITAN」ブランドの「PANGAEAハーネス」は2020年度のグッドデザイン賞を受賞しています。束縛感の少ない「PANGAEA HORIZON」シリーズや鉄塔や電柱作業用の「柱上作業用ハーネス」などの商品を販売しています。
株式会社基陽
職人の安全を第一に考え製品づくりを行っている株式会社基陽。フックの開き幅が大きい「剣(つるぎ)フック」は、2014年にグッドデザイン賞を受賞しています。
着心地がよく体にフィットする「X TIPE」やサスペンダー機能が付いている「H TIPE」などのラインナップが揃っています。
3M
安全性と作業性の両立を実現している3Mのフルハーネスには、6つの特徴があります。3Mのフルハーネスの特徴は、以下の通り。
- X型背面ベルト
- ループ型背面ベルト
- 骨盤サポート構造
- 金属製バックル
- フルハーネスに適した素材とステッチ
- うっ血対策ストラップ
作業性を高めるX型背面ベルトやループ型背面ベルト。安全性を高める骨盤サポート構造やフルハーネスに適した素材とステッチ、うっ血対策ストラップ。
劣化しにくい金属製バックルの採用。このように、さまざまな工夫を凝らしてフルハーネスを製造しています。
ミドリ安全株式会社
ミドリ株式会社のフルハーネスは、ベストを着るような感覚で手軽に着用できるのが特徴。背中にあるメッシュが特徴的です。
着る人の体型に合わせて胸ベルトの高さを調整できる「MHT-1」シリーズや女性用の「MHS-MWJ」シリーズなどの商品を販売しています。
4.「フルハーネス」のまとめ
この記事では、フルハーネスの義務化について解説していきました。
2022年1月2日から新規格のフルハーネスの着用が義務化されるので、早いタイミングで買い替えるのがオススメです。
自分に合っているフルハーネスを見つけて、快適かつ安全な状態で作業できるようにしたいですね。
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建設会社で働くのは、肉体的にもハードなことが多いため、転職先にはきちんとした企業を選ばなければなりません。
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