法面工事とは?工法の種類から安全対策まで解説!
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「法面工事は危ない仕事!」「法面工事はきつい仕事!」というイメージを持つ人は多いと思います。
確かに法面工事はきつくて危険な仕事であり、一歩間違えると重大な事故に繋がります。
しかし法面工事は人を守る仕事であり、工法もさまざまな種類があるため、実はやりがいのある仕事なのです。
具体的にどんな仕事か気になりますよね?
そこで今回は、法面工事の工法の種類から法面用語、そして法面工事の安全対策などを詳しく解説します!
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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目次
1.法面工事(のりめん)とは?資格は必要?
雨や地震などが原因で法面崩壊や地すべりなどの土砂災害を引き起こすことがあります。この災害を防ぐための工事が法面工事です。
山を切ったり、土を盛ったりして作られる人工的な斜面を法面と言います。
山道や高速道路沿いに多く、業界関係者でなくても誰もが目にしたことがあることでしょう。
法面工事は人々を災害から守り、社会貢献度が非常に高い仕事ではありますが、あまり認知されておらず専門性の高い仕事となっています。
ただ専門性が高い分、法面業者にも特徴がでるため、工法によって得意・不得意が分かれます。
1-1.資格は必要?
法面は急な斜面から緩やかな斜面まで勾配はさまざまです。
ロープがいらない緩やかな法面であれば資格は不要ですが、ロープにぶら下がる急傾斜の法面では「ロープ高所作業の業務」の特別教育が必要になります。
法面施工に関する資格としては「のり面施工管理技術者」「グラウンドアンカー施工士」「地すべり防止工事士」などがありますが、施工するための必須資格というわけではありません。
ただ資格を持っていると施工の信頼度が上がり、技術者としても高く評価されるため持っておいて損はないでしょう。
2.法面工事・工法の種類
法面工事は「切土・盛土工」「法面排水工」「法面保護工」の3つに大きく分類することができます。
2-1.切土・盛土工
切土・盛土工は、法面の土砂を撤去したり土を盛ったりすることで法面を形成するための工事です。作業場所や施工場所をつくるための基本的な工事と言えます。
しかし切土・盛土工だけでは法面は補強されないため、「法面排水工」「法面保護工」と併用することがほとんどです。
2-2.法面排水工
地すべりや土砂崩れなどの災害は、法面の表面や地下に流れる水が大きな要因となっています。表面水や地下水を導き、水による法面災害を防止するのが法面排水工です。
法面排水工はさらに「表面排水工」「地下排水工」の2つに分けられ、水がどこから流れているかによって、施工方法を選ぶ必要があります。
2-3.法面保護工
法面保護工は、切土・盛土工によって形成された法面を保護する工事です。
保護する目的は「湧水などによる土砂流出の抑制」「表面の風化・浸食の防止」「表層部の崩落防止(土留め)」「法面の滑動による崩壊防止」などさまざまであるため、目的に合った工法を選択する必要があります。
3.法面工事の用語集
3-1.コンクリートキャンバス
コンクリートとキャンバス(布地)を組み合わせた複合材料です。
セメントが含まれた布に水分を加えるだけでコンクリートとして固まるため、施工性に優れています。
また防水試験や耐火試験・耐薬品試験などもおこなっており、耐久性も抜群です。そして水を散布して固まるまでは布地の性質を発揮するため、複雑な地形でも調整できる柔軟性も兼ね備えているのです。
3-2.種子吹付工
材料である種子、肥料、木質繊維(ファイバー)、粘着剤などを混ぜたものを法面に吹付する工法です。
短時間で広範囲の吹付が可能であるため、施工日数がかからず施工費が抑えられます。
また施工完了後から法面が緑化していくため、施工形跡も残りません。ただし急勾配の法面や高強度の地盤では、緑化の成長の妨げになるため施工は適していません。
3-3.客土吹付工
法面にラス金網などを張って、上から緑化材を吹付する工法です。
ラス金網を張ることによって吹付に厚みをだし、法面の上に植生基材の層を作ります。そのため、硬い粘土質、礫質、砂質の地盤でも、困難なく施工が可能です。
3-4.植生マット吹付工
種子や肥料などを装着した植生マットを吹付する工法です。
基盤がはく離しにくいため、施工直後から耐侵食性効果を発揮します。そのため乾燥地や海岸近くの風衛地でも問題なく施工が可能です。
3-5.厚層基材吹付
法面にラス金網などを張って、上から基材を吹付する工法です。
一度の吹付で3cm〜10cmの厚い層を作り出すことができます。そのため緑化が期待できない法面でも植生が可能です。
3-6.モルタル吹付工
法面にラス網を張った後に、上からモルタルを吹付する工法です。
10センチ〜20センチの厚みのある吹付が可能で、岩盤の風化や崩落を防止します。ただし法面表面に湧水が多いとモルタルが流れてしまうため、水の多い地盤には適していません。
3-7.吹付法枠工
法面に金網製の型枠を設置して、上からモルタルを吹付する工法です。
グラウンドアンカー工と併用して施工することが多く、表面崩壊や侵食を防止します。型枠にはしっかりとアンカーを打ち込むため、凹凸の激しい法面でも施工が可能です。
3-8.グラウンドアンカー工
ボーリングマシンを利用して岩盤に穴を空け、そこにアンカーを挿入する工法です。
固定層にグラウトを入れてアンカーと連結することで、地すべりの滑動力を抑えます。抑止杭や土留め工などと相性が良い工法です。
3-9.雪崩防止工
法面にフェンスやブロックを設置して、雪崩を抑止する工法です。
施工場所によっては伐採なども不要であるため、自然を維持することができます。また雪崩防止に設置したフェンスやブロックは、落石などの他の落下物も防いでくれます。
3-10.抑止工・抑制工
雨や地震などの外部的要因によって起こる法面崩壊を、力学的に抑止する工法です。
抑制工は、地下水や地形などの自然状態を変えて、法面崩壊を抑制する工法です。
4.法面工事の手順
工事内容によって変わりますが、基本的な型枠法面工の施工手順について紹介します。
施工場所:住宅の裏山の法面
1、仮設防護柵を設置する
落石被害などがないように、自宅の上に防護柵を設置します。防護柵を設置するときが1番危険であるため、材料を落とさないように細心の注意を払わなければなりません。
2、伐採工
法面に悪影響を与えていたり、施工の支障となってしまう木を伐採します。安全のために、伐採した木は法面上ではなく平らな場所にまとめて置きます。
3、仮設防護柵の設置2
伐採が完了したら、最初に設置した防護柵よりも高い位置にもう1つ防護柵を設置します。防護柵を2つ設置することで、より安全な施工が可能になります。
4、ラス(金網)張り
法面の施工範囲にラス金網を設置します。ラス金網を張ると足元が滑りやすくなるため注意が必要です。
5、法枠の組み立て
墨出しをした後に法枠を組み立てていきます。法枠の作業で施工後の見た目が決まるため、ズレなく組み立てていく必要があります。
6、モルタル吹付工
法面全体をモルタルで吹付します。飛散物が付着しないよう、施工範囲以外はシートなどで養生をおこないます。
7、削孔工・鉄筋挿入工
法枠の部分にボーリングマシンで穴を空け、鉄筋を挿入します。その後、穴にセメントを流し込んで地盤と法枠を固定します。
8、完成
セメントが固まって仮設防護柵を撤去したら工事が完成となります。
今回紹介した手順はあくまで1つの例です。作業手順は、同じ工法でも場所や環境によって変わります。そのため、施工を始める前に全員で作業手順を確認することが大切です。
5.法面工事の事故・災害事例【きついし危ない?】
今まで起こった法面工事の事後・災害事例について紹介します。
5-1.墜落・転落
事故事例1:吹付作業中の墜落死亡事故
・発生概要
法面最上部の吹付をおこなっていたとき、親綱から安全帯のフックが外れて下の道路に転落した。
・発生原因
・安全帯がフックに完全に掛かっていなかった。
・作業者に安全衛生教育を実施していなかった。
・事故後の対策
・高所では安全帯とロリップの使用を徹底。
・作業者全員に安全衛生教育を実施。
事故事例2:法面のアンカーを点検中、足を滑らせ転落死
発生概要
アンカー施工後の法面上でアンカーの点検をおこなっていた作業員が、足を滑らせて法面から6m下の小段に転落した。
発生原因
・安全帯を使用していなかった。
・作業開始前にアンカーの点検方法についての指示がなかった。
事故後の対策
・昇降階段を設けて作業員は安全帯の使用を徹底。
・アンカーはなるべく点検しやすい場所に設置する。
・朝礼時に当日の作業内容について詳しく打ち合わせをおこなう。
事例1も事例2もヒューマンエラーが原因で事故が起きています。どちらも安全管理を徹底していれば防げた事故なのです。
また、冒頭で説明しましたが法面工事はきつくて危険な仕事です。そのため毎日作業をしていると、肉体的にも精神的にも弱くなってしまうことがあります。
しかしどんなときでも作業は緊張感を持っておこなわなければなりません。緊張感がなくなったときが1番事故につながる可能性が高いのです。
5-2.地すべり・崩壊
災害事例1
発生概要
高速道路沿いの法面が、高さ7メートル幅150メートルに渡って崩壊。高速道路が通行止めとなり、交通インフラに甚大な被害を与えた。
発生原因
・法面に雨水が浸透して法面の強度が弱くなっていた。
発生後の対策
・コンクリートによる法面保護工事をおこなった。
自然災害は人身事故と違い、なかなか防ぐことは難しいのが現状です。そのため定期的に調査をおこない、危険な場所は早急に工事をする必要があります。
それでも災害が起きてしまったときは、早急に対応をして二次災害を防ぐことが大切です。
6.法面工事の安全管理・対策
法面工事を施工する上での安全管理・対策について解説します。
6-1.通行人・車両の注意
法面工事は道路沿いなどで施工することも多いため、人や車両が多く通ります。施工前に防護柵や安全通路を設置して、必ず第三者の安全を確保してください。
そして可能であれば、第三者が法面の下を通るときは作業を一時中断しましょう。
6-2.安全設備の確認
法面の死亡事故の中で、ロープが安全に繋がっていなかったという事例があります。ロープなどの安全設備に体重を掛ける前には、安全確認を徹底してください。
6-3.作業員同士の意思疎通
現場は作業員同士の意思疎通が非常に大切で、1人でも認識が違うだけで重大な事故につながります。
コミュニケーションを頻繁にとって、作業員全員が同じ認識を持って作業を進められるようにしましょう。
7.「法面工事」のまとめ
今回は法面工事の工法から安全対策まで詳しく解説しました。
法面工事について理解をいただけたでしょうか?
法面工事は非常に危険な仕事であることは確かです。だからこそ安全管理を徹底することが重要になります。
そして普段生活している分には意識することはありませんが、法面工事が施工されている場所は日常にたくさん溢れています。
マイナーで危険な仕事ではありますが、社会貢献度が高くやりがいを感じられる仕事であると言えます。
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