現地調査とは何のため?チェックリスト・便利ツールも紹介
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建築設計・不動産業界では欠かせないお仕事「現地調査」。様々な業務の出発点となる調査業務は、とても大事な仕事です。
「現地調査とは何か知りたい
「調査で何をチェックすればよいの?」
「調査費用はどのくらい?」
「求人はある?」
大事な仕事ではあるのですが、体系的に「こんなことをやる」と教えてくれるようなところはないため、全体像がなかなか分かりません。
そこで今回は「現地調査」と題して、現地調査がどのようなものかを幅広く解説します。建築・不動産の縁の下の世界をご覧ください!
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
1.現地調査とは
現地調査は実地調査、現場検証、フィールドワークなどともいいます。様々な業種で用いられる言葉で、例えば本稿から関係の薄いところでいえば、地図制作や警察などでも使います。
建築設計・不動産の世界に関して言えば、「現場に行って調べ、物件の素性をあきらかにして、今後の活用に役立てる」ことと言えるでしょう。
調査の対象は土地・建物(あれば)・周辺環境です。実は、目的達成のためには地図・図面・航空写真他の資料の参照、官公庁での税務上・諸法令基準の調査は必ず必要で、それだけでは分からない点について、現地調査を行います。
1-1.現地調査の目的【なぜやるか】
土地・建物にかかる現地調査も、以下のように業種によって目的が微妙に異なっています。
建築設計 | 開発許可申請に向けて、「どのような家を建てるか」を決めるため。現地に合わせた住み良い・法的基準を満たした建築物を新しく作るために調査を行う。 |
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不動産 | その土地・建物の価値を査定することと、販売・賃貸のための図面資料作成が目的。
不動産鑑定士の場合は公定的な価値(路線価・課税標準etc,)や、地域開発のバランスシートを判断するために調査を行う。 |
リフォーム | 「住宅の健康診断」を行い、老朽化への対応や、新しい技術でより住み良くなる方法を割り出すことや、新しいニーズに合わせたプラン提案を行うために調査を行う。 |
1-2.現地調査の手法
目視 | 現場の状況を目で見て確認する。物件周辺、境界、建物の傷みやグレード、特徴的な箇所、設備ほかを確認する。 |
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聞き込み | 現居住者や周辺住民に聞き込みを行う。土地や周辺の歴史的経緯、心理的瑕疵の有無、土地建物についての付加情報など。 |
試掘 | 地盤の性質(堅さ・含水・汚染など)、瑕疵になりうるような不当な埋設物がないかどうかを、試掘で確認する。 |
非破壊検査 | X線や赤外線などで建物の構造や痛み、建材の状況を確認する。 |
構造調査 | 建物の構造や仕様建材、施工の状況を点検校から建物内部・天井裏等に入り、確認する。 |
※リフォームの現地調査でその営業マンが信用できるかわかる!基本の流れと確認すべきポイント
2.現地調査のチェックリスト【場所別】
現地調査での場所別のチェックポイントです。参考として幅広く項目を取り上げていますが、業種によって目的が違うため、調査項目も異なります。下記は不動産・リフォームの項目中心です。
2-1.筆界(境界)
境界石を探しだして筆界の確認と土地の寸法を確認します。寸法は測量でおこなうような精密な測定は不要で、地積測量図に記載された寸法におよそ合致しているか、差があるのかを確認します。
境界石が見つからない場合は、売主に筆界の位置と境界石の有無を確認し、「境界石があったはず」と売主がいう場合は、粘り強く土を掘り探します。場合によっては現況測量が必要になる可能性もあります。
2-2.地勢
平坦地か傾斜地か?あるいは段差のある土地や道路からの高低差があるなど、目視による確認をおこないます。正確な高低差の測量が必要であると感じた場合は買主に提案をすることになります。
瑕疵補償の範囲として協議が必要になる場合もあるので、擁壁などの傾きやひび割れなども確認します。
2-3.前面道路
前面道路の幅員と敷地が接する長さ、道路の舗装・未舗装および歩道の有無も確認します。「接道義務」に関係する場合があり、役所でも調査する項目ですが、現地での確認照合も必要です。
2-4.門塀・庭石・庭木ほか
入り口の位置や、大きな動産の構造物は移転や除却が容易に出来ない場合も多く、買主の利用計画に影響を与えることがあるので、簡単な見取図を作成しておくと後日に役立ちます。
動産や残置物も予想外のものが残されている場合もあり、保管や処分をめぐって確認を要するものがある場合があります。
2-5.電柱・止水栓・ガス栓
電柱の位置や水道・ガスの引込位置も確認し、見取図に記入しておくとよいです。土地への引き込みに想定外の費用が付加されるケースがある(特に水道管)ため、土地の場合は必須項目です。後述する高圧線は物件の契約不適合対象になりうるため、要注意です。
2-5.地中埋設物や土壌汚染の可能性
他人所有の水道埋設管や古い建物の基礎など、地中に埋設されたものは買主の利用計画に支障となり “契約不適合責任に” に該当してくる可能性があります。
地歴調査による確認が必要ですが、現地でもその可能性がないかを地表面確認や周辺への聞き取りなど、可能なことは確認を取ります。
2-6.周辺環境
現地調査では物件の外での事が、意外に大きなウエイトを占めます。
現在ある嫌悪施設と 将来の計画の確認 |
臭い・騒音・などの発生源となる施設について調査し、将来の計画についても知りうる範囲で確認をします。 |
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日照や通風など 生活環境に影響を 与える建物の確認 |
隣接敷地や前面道路の反対側で計画されている建物について、知りうる範囲で調査し、確認をすることが望ましいでしょう。 |
土砂災害や河川の 氾濫などの恐れに ついて確認 |
災害の恐れがある周辺状況を確認したうえで、市町村にて整備されている「ハザードマップ」を取得し、危険性への理解を高めるよう説明することも大切です。 |
心理的社会的な影響を 及ぼす施設などの確認 |
反社会的勢力の事務所・火葬場・葬儀場・墓地・刑務所など、一般感覚として避けたい施設が周辺にないかの確認をします。説明しなかったためにトラブルになる可能性も実際にあります。 |
建築制限を及ぼす 高圧線や災害時の危険性 が認知された施設などの 確認 |
高圧線の付近は建築制限を受ける場合があり、相場に影響を及ぼす場合もあります。
ほかにも強風による倒壊が報道された「鉄塔」や「ゴルフ練習場」など、危険性があると思われる施設の確認をし説明する必要性があります。 |
以下からは建物内外の調査項目ですが、不動産では重要事項説明に添付する「物件状況報告書」のもとになり、リフォーム業では、修理や設備交換提案のもととなります。
2-7.キッチン
キッチンのサイズの計測 | 天板の高さやカウンターの奥行きなどを計測して、使う人に適したサイズになっているか確認。リフォームや修理の参考。 |
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給排水の確認 | 配管の状況を確認し、水回りの移動や変更が必要かどうか、希望するキッチンが設置可能かなどをチェック。 |
換気設備の確認 | 換気設備が老朽化していないか、きちんと役割を果たしているか、排気口の位置なども把握。 |
電気機器の増設・変更 | 冷蔵庫などのキッチン家電の置き場にどのくらいのスペースが必要か、コンセントの位置や数、電気容量。 |
マンションの場合の確認 | マンションの管理規約にキッチンに関するルールがあるかを確認。ガスコンロが設置可能か、給湯器を置くスペースはどこかなど。 |
2-8.浴室
搬出入経路の確認 | ユニットバス化の場合、浴槽や壁のパネルなどはパーツが大きく、搬入ルートを事前に確認。 |
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浴室のサイズ計測 | 既存の浴室のサイズを正確に計測し、修理交換の検討や施工に備える。 |
給排水の確認 | リフォームする場合既存の給排水管と、新規の浴槽やシステムバスをどのように接続するかを確認。 |
設備関係の確認 | 浴室の換気設備や給湯設備などの劣化度合いを確認。場合によっては既存の設備をそのまま使う。 |
劣化状況の確認 | 湿気で腐食やシロアリの被害が広がっていることがあるため、床下や壁内の劣化状況を確認。 |
バリアフリー化の確認 | 脱衣室と浴室との間の段差や浴室内の手すりの配置などについて確認。必要に応じて手すりの取り付け位置なども検討。 |
2-9.トイレ
便器や配管の確認 | 交換やリフォームに備えて便器の仕様や給水・排水の位置確認。 |
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トイレ室寸法 | 便器や手洗い台、収納キャビネット交換などに備え室内寸法を測定。 |
室内設備の確認 | トイレ内の手洗い台や温水洗浄便座などの現況をチェック。 |
バリアフリー化の確認 | バリアフリー化する場合は手すりの設置の必要性、レイアウトを検討。 |
2-10.天井・壁面
外壁の状態確認 | 外壁の劣化状況を確認。再塗装が必要か、外壁材の交換が必要なのかの判断。 |
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天井・壁面の状態確認 | 天井の雨漏り、室内の壁に雨水の浸入の跡がないか視認。必要であれば浸水経路をたどり、外壁面の防水施工に備える。 |
2-11.構造・耐震強度
建物構造 | 建物の断熱性能=気密状態、断熱材の充填状況や使用建材の状況、施工上構造の問題がないか=柱や梁、筋交い(すじかい)などの構造が傷んでいないか、改修を要する個所などを確認。 |
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耐震強度 | 耐震基準については施工時期=昭和56年6月1日以前に建築された建物(新耐震基準施行日)でであるかがひとつの基準ですが、実際に耐震診断を行った結果を重視し、Is値(構造耐震指標)を求める。
それを元に必要であれば耐震補強の施工を行うなどして、住まいの安心度を高めたり、住宅ローン控除対象となる専用住宅証明を取得。 |
これら場所別の確認のほか、改修工事のための下調べ=搬入出経路・作業場所などの確認を行っておきます。
3.現地調査の便利ツール
3-1.住宅地図
まず不動産営業マンであれば欠かせないのが住宅地図です。住宅地図はゼンリン社が出版しているものがシェアが圧倒的で、住んでいる方の名前(表札)、駅からの最短ルート、周辺施設の確認、アクセスの良さなどを確認できるまさに必須アイテムです。
最近ではスマートフォンでも見れますので、いちいちコピーしたり、分厚い住宅地図を持つ必要がありません。
3-2.デジカメ
デジカメは内観・外観・境界標・住宅周囲の環境を撮影するのに利用します。撮影した写真は「物件状況報告書」に添付します(修繕箇所がある場合)掲載用の写真だけでなく、メモ代わりの撮影もします。
最近ではデジカメの代わりにスマホで撮影する方も多くなってきており、解像度が高ければスマホでも問題はありません。
3-3.メジャー
道路幅や、間口、奥行きを測量するためのツールです。長さは5.5mを持っていればほとんどの場合問題ありませんが、7.5mあるとほとんどの現場で用が足ります。スマホアプリにメジャーがあり、建物の寸法はこれで間に合う場合があります。
3-4.現地調査シート
現地調査シートは物件所有者から内容をヒアリングする際に活用します。ノートに詳細を記載するのもよいですが、事前に会社の独自フォーマットを作成しておけば聞き取りにも困りませんし、情報を見やすく整理することができます。
3-5.方位磁石
方位磁石は道がどの方向に面しているか、各部屋の採光部の位置を確認するために活用します。方位磁石も最近はスマホアプリで代用が可能です。
3-6.懐中電灯
懐中電灯は床下や屋根裏の調査で活用します。スマホのライトではやや弱いので、高輝度の懐中電灯が良いです。(1000円~2000円でLEDの高輝度のものが購入できます。)
3-7.水平器
建物や建具の歪みを計測する際に利用します。ビー玉を転がす人も多いですが、できれば簡単なものでも水平器を持っておくとよいでしょう。
3-8.クラック・スケール
建物の基礎や、外壁などのクラック(ひび割れ)の幅を測定します。
3-9.双眼鏡
出番は少ないですが、双眼鏡も持っておくとかなり便利です。屋根の状況を確認したり、遠くから外壁を確認するときに活用できます。使用時はプライベート侵害の誤解を受けないように、声掛けをするなど配慮しましょう。
3-10.現地調査アプリ
近年では現地調査の結果をリアルタイムでプロジェクトメンバーが共有したり、現地の地図と撮影した写真を紐づけて管理できるなど、支援アプリが充実してきています。
このほか、現場でわかったことをタブレットやスマホに記録していくというのは日常行われていますが、やはり調査自体が現場に直接行くという行為なので、IT化とはなじみが良くないと言えるかもしれません。
4.「現地調査」のまとめ
以上、「現地調査」というテーマで解説をしました。平面図の役割、読み書きの基礎、その他建築用図面の種類などは、理解をいただけたでしょうか?
現地調査には必ずアウトプットが必要で、そのアウトプットも冒頭に書いたように、はっきりと目的づけられています。
調査のテクニックもさることながら、そこから何を読み取り、どんな答えを導き出すかが腕前の見せ所であり、現地調査の面白さでもあります。「何を重点的に調べるべきか」の理解もスキルの一環ですし、知識や経験が伴ってくるとクオリティ・スピード共に上がってくるのがはっきりしています。
不動産は「現場を見ないと本当のことは分からない」という世界で、実際に現場に行ってみると「あれ?」ということがとても多くあります。
事務方で「普段現場に行くのは現地売り出しや地鎮祭などの手伝いだけ」という人も、何でもない時に営業の人について現場に行くと、ちょっとしたことに気づいて、得るものがありますよ。
- 現地調査は建築設計・不動産の仕事の入り口。建築設計・不動産・リフォームなどで多数の項目について行われている。
- 調査手法は現地で目視、聞きこみ、計測から試掘まで多岐にわたる。
- 対象は土地・建物・周辺環境。業種によって目的や調査内容は異なる。
- 調査に必要な欠かせないツールや、調査支援のアプリは要チェック。
- 調査は外注可能だが、内部で調査スタッフの求人もある。現地調査専任で雇用されることは少ないと考えた方が良い。
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