建築施工管理技士の仕事内容は?試験難易度・年収なども解説【建築士との違い】
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「建築施工管理技士」。とっつきにくい、いかめしい名前ですが、最近求人などでよく見かけるようになってきました。といいますか、もともと建築士同様にニーズの高い仕事なのです。
「建築施工管理技士について知りたい」
「建築士との違いは?」
「仕事内容や年収は?」
「勉強方法や試験内容は?」
求人が沢山あり、企業で必置義務もあるので、どんな資格・仕事なのか気になるところです。
そこで今回は「建築施工管理技士」の全体像をなるべく分かりやすく解説します。建築物の出来やコスパも左右する、とてもやりがいのある仕事です。進路の参考に、最後までお読みください。
目次
1.建築施工管理技士とは?【建築士との違い】
「建築施工管理技士」は、電気工事施工管理技士などとともに、施工管理資格の1つです。建設工事の施工管理をおこなえる資格です。
施工管理とは工事職人への指導・工事現場の監督なのですが、下記のように大きく以下の4つの管理を行うのが仕事です。
管理項目 | 仕事内容 |
---|---|
工程管理 | 施工計画や工程表作成 工程表による工事進捗状況の確認 悪天候、人のシフトによるスケジュール調整 他 |
品質管理 | 建築物完成時に求められる強度や密度の管理 材料の保管環境を整える |
原価管理 | 材料費や人件費の管理 経費計算 他 |
安全管理 | 事故防止対策 安全に作業できるよう設備を整える 他 |
建築施工管理技士は1級と2級に分かれており、以下の違いがあります。
1級建築施工管理技士
1級建築施工管理技士は、全16種類すべての施工管理が可能です。また、建設業は規模などにより、「一般建設業」と「特定建設業」に分けられ、大規模な建設行事には、特定建設業の許可が必要となりますが、ここでも1級の資格が必要です。
特定建設業の7種(建築・土木・鋼構造物・舗装・管工事・電気工事・造園工事)の「専任の技術者」および現場に置く「監理技術者」は、は1級施工管理技士のみがおこなえる事となっています。
1級建築施工管理技士は、大規模な建築工事の施工管理を行うことが可能ということになります。
2級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士は1級より管理可能な項目が少なく、種別も「建築」「躯体」「仕上げ」にわかれており、それぞれ担当できる管理業務が違います。
2級は比較的小規模な現場の管理業務に従事するという分類となります。
監理技士級区分 | 1級建築施工 | 2級建築施工 | ||
---|---|---|---|---|
建設工事の種類 | 建築 | 躯体 | 仕上げ | |
建築(一式)工事 | ◎ | ○ | ||
大工工事 | ◎ | ○ | ○ | |
左官工事 | ◎ | ○ | ||
とび・土工 ・コンクリート |
◎ | ○ | ||
石工事 | ◎ | ○ | ||
屋根工事 | ◎ | ○ | ||
タイル・レンガ ・ブロック工事 |
◎ | ○ | ○ | |
鋼構造物工事 | ◎ | ○ | ||
鉄筋工事 | ◎ | ○ | ||
板金工事 | ◎ | ○ | ||
ガラス工事 | ◎ | ○ | ||
塗装工事 | ◎ | ○ | ||
防水工事 | ◎ | ○ | ||
内装仕上工事 | ◎ | ○ | ||
熱絶縁工事 | ◎ | ○ | ||
建具工事 | ◎ | ○ | ||
解体工事 | ◎ | ○ | ○ |
建築士との違い
建築士は施主の依頼に応じて設計図書を作り、現場では意図した建築物が法令の基準を満たして出来上がるかを「工事監理」するのが仕事です。
対して建築施工管理技士は建築図書通りの建築物が「安全に」「順調に「コスパよく」「高品質で」完成するよう、前述の4項目の「施工管理」を行います。
建築施工管理士はときには現場の状況に応じて、建築士に対して設計変更や工期見直しの相談をすることもあります。
建築工事をめぐる情報伝達・コミュニケーションの系統は以下のようになっており、建築士は施主、建築施工管理技士は工事従事者を代表しながら意見調整を行い、工事を進行するようになっています。
建築現場の関係者(建築士と建築施工管理技士)
施主 ⇔ 建築士 ⇔ 建築施工管理技士 ⇔ 工事従事者
2.建築施工管理技士の仕事内容
では、建築施工管理技士の仕事内容を、順を追って見てみましょう。
2-1.設計図と工事内容の確認
建築士の作成した設計図書をもとに、現実的に施工可能か、施工方法、施工工程、必要人数など、建築工程のプランを策定し、「施工図」を作成します。
2-2.工事業者との打ち合わせ
諸手配を行ったうえで、実際に工事を行う業者さんの代表者と工程などの打ち合わせをおこないます。ここで決めた工程は、着工から竣工まで現場の状況に応じて、定期的に調整されます。
2-3.工事現場の安全管理・工程管理
実際に始まった工事が安全、かつ合理的に進むように確認しながら管理をします。工事現場は日常的に高所作業や重機の使用、危険作業を行うため、事故が無いよう安全注意事項の説明を行い、現場見回りで安全設備の不備・不安全行動のチェックを行います。
また、施工が開始されると基礎工事・内装工事など各専門工事の進捗に従いそれらの管理(工程の順序や技術的指導)を行っています。
3.建築施工管理技士になるには?試験内容
「建築施工管理技士検定」の概要をご案内します。
3-1.試験日
試験日ほか試験日程、科目、試験地をご覧ください。令和2年検定は新型コロナウイルスで日程に影響が出ました=1級の学科試験は例年6月中旬です。
1級建築施工管理技士 | 2級建築施工管理技士 | |
---|---|---|
第一次検定 | 試験日:令和4年6月12日(日) 合格発表:令和4年7月15日(金) 科目:建築学等、施工管理法、法規 |
試験日:令和4年11月13日(日) 合格発表:令和5年1月20日(金) 科目:建築学等、施工管理法、法規 |
第二次検定 | 試験日:令和4年10月16日(日) 合格発表:令和5年1月27日(金) 科目:建築施行管理 |
試験日:令和3年11月14日(日) 合格発表:令和5年1月27日(金) 科目:建築―施行管理法、躯体―躯体施工管理法、仕上げ―仕上施工管理法(受験種別に応じた科目3択) |
試験地 | 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
(会場確保の都合上、周辺都市で実施の場合あり) |
札幌・青森・仙台・東京・新潟・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島・沖縄
(会場確保の都合上、周辺都市で実施の場合あり) 学生対象で、以下の試験地でも学科試験のみ受験の申込を受け付け。帯広・盛岡・秋田・長野・出雲・倉敷・高知・長崎 |
3-2.受験資格
詳細まではかなり複雑なため、詳細自分に当てはまる、あるいは自分がどのように資格を得て受験するかを公式のホームページ等でよく確認しましょう。
※カッコ内は専門課程履修以外の学歴の場合
受験資格 | |
---|---|
1級建築管理技士 | 4年制大学卒業+実務経験3年(又は4年6カ月)以上 短期大学卒業+実務経験5年(又は7年6カ月)以上 高等学校卒業+実務経験10年(又は11年6カ月)以上 学歴を問わない場合は実務経験15年以上1級建築士合格者は学科試験免除 2級建築士合格者は+実務経験5年以上必要 |
2級建築管理技士 | 4年制大学卒業+実務経験1年(又は1年6カ月)以上 短期大学卒業+実務経験2年(又は3年)以上 高等学校卒業+実務経験3年(又は4年6カ月)以上 学歴を問わない場合は実務経験8年以上 |
3-3.難易度・合格率
1級・2級それぞれの合格率は以下の通りです。単純比較は難しいですが、合格率から言えば、1級で「宅建よりも少し容易」というくらいの難易度です。ただし実務経験も加味して資格取得となるため、宅建よりもハードルが高いといえます。
2級建築施工管理技士は、学科試験と実地試験の両方に合格する必要があります。例年、学科試験の合格率は35~50%程度・実地試験の合格率は30%程度です。学科試験よりも実地試験の合格率が低いです。
1級建築施工管理技士も学科試験と実地試験があり、例年、学科試験の合格率は35~50%程度・実地試験の合格率は40%程度です。学科試験よりも実地試験の合格率が低く、学科試験合格後に実地試験に進むので、最終的な合格率は20%程度です。
3-4.合格する勉強方法
学科試験
学科試験は1級・2級ともに過去問に沿った出題がされるため、テキスト学習を終えたら繰り返し過去問を解くことが最善の勉強法となります。ただし過去問からの変更点で、法令改正された点は出題率が高いため、そこは別途対策を行う必要があります。
実地試験
実地試験は記述式で施工時の管理について具体例を問われます。
1級:高度な応用能力を求めらます。知識を暗記するだけでなく、日々の実務などから応用力を学ぶことも大切です。
2級:建築工事の施工に関して、内容を正しく理解していないと解けません。過去問題を解くことはもちろんですが、丸暗記するだけでなく施工管理について正しいイメージを持つことが大切です。
3-5.申込方法
検定の申し込み方法は、下記の3つです。
- 書面申し込み
- インターネット申し込み
- 専門願書申し込み
新規受験申込者は、書面申し込みしか受付されません。また、専用願書による申し込みは、前年度学科試験に合格して今年実技試験を受ける方のみです。
申込み日程は下記です。
1級建築施工管理技士 | 2級建築施工管理技士 | |
---|---|---|
申込み | 令和4年1月28日(金)~2月10日(木)
※インターネット申込は再受験申込者及び ※インターネット申込締切は1月28日23:59 ※書面申込の締切は2月10日の消印有効 ※学科試験免除者も受付期間は同じ |
令和4年7月5日(火)~7月19日(火)
※インターネット申込は再受験申込者及び ※インターネット申込締切は7月19日23:59 ※書面申込の締切は7月19日の消印有効 |
※新型コロナウイルス感染防止策により、各資格試験・検定の実施日程や実施方法が影響を受けています。試験概要の詳細については、必ず試験主催者ホームページ等にて確認をしてください。
4.建築施工管理技士の平均年収
施工管理技士という職制の年収平均は439万円で、日本の全体平均よりわずかに高いくらいですが、すべての施工管理技士を均した数値です。
施工管理技士は建築や土木で1級を持っていて、ひとりで現場を担当できれば、年収600万円~800万円、さらに工事経費削減額の10~13%をインセンティブ支給という待遇の求人もあり、有望な高収入源となり得ます。
サラリーマンのキャリアとしては年功序列の給与形態で、長く勤務して、かつ精力的に動ける40歳台から50歳代半ばに収入のピークがあると言われています。
年収はもちろん所属する企業によってもよってかなりの開きが出ます。大手ゼネコン勤務の場合は年収で800万円以上というケースもあります。
5.建築施工管理技士に向いている人
5-1.ものづくりの現場が好きな人
目の前で自分の手で建物が作られていく喜びを感じられる人は有利です。技術や法令に対して勉強をし続ける好奇心や、反省を次に生かす意識が強ければストレスを感じにくく、仕事に前向きであり続けられます。
5-2.コミュニケーション能力が高い
工事現場は関わる人が多く、それら全員を仕切って統率してゆくのが仕事なので、コミュニケーション能力があるか、それを培う意志のある人である必要があります。
工事現場の人は、自分の技術や経験に対するプライドが高めで頑固な「職人タイプ」の人が多めなので、よけいに「臨機応変にどんなタイプの人ともうまくやっていける」ことが仕事を円滑に進める上でのテクニックになってくるのです。
6.「建築施工管理技士」のまとめ
以上、「建築施工管理技士」というテーマで解説をしました。建築施工管理技士の仕事・資格の概要は、理解をいただけたでしょうか?
建築士がどんなものであるかを知る手段として、建築士の仕事現場を見学させてもらう、実際に現役建築士の話を聞かせてもらう、などをぜひ、やってみてください。
実際の現場に触れ、疑問をぶつけ、自分の中でのイメージを具体化しましょう!
- 「建築施工管理技士」の仕事は4つの施工管理がメイン。建築士の設計図を具体化する仕事。
- 資格は2階級に分かれ、難易度と手がけられる工事の規模が異なる。
- 試験は学科と実技。受験資格は学歴・実務経験の要件が細かいので要確認。
- 建築施工管理技士の仕事は「好き・好奇心・コミュニケーション力」が必須。
建築士に合格してキャリアアップしたい方へ
もし、この記事を読んだあなたが
- 建築士を取得して給料を上げたい!
- 建築士を活かして転職をしたい!
- だけど、実際に建築士がどれくらい役立つか分からない
- 建築士を優遇している会社はどの位あるの?
- 建築士がある無いで内定率はどれくらい違うの?
このような疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度、宅建Jobエージェントへご相談ください!
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