宅建の正式名称は?履歴書への正しい書き方は?名称変更で試験は難しくなるのか?
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「宅建資格の名称が変わっていた」と言うことはみなさんご存じでしょうか。
資格の名称が変わることで、履歴書の資格欄に記載する際の書き方や、試験の難易度に影響するのではないかと心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事では宅建の正式名称や、履歴書への正しい書き方、名称が変更したことで変わったポイントや変わらないポイントについて解説します。
目次
1.宅建の正式名称は「宅地建物取引士」
宅建資格の現在の正式名称は、宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)と言います。
2015年(平成27)年4月に、それまでの宅地建物取引主任者という資格名から宅地建物取引士へと名称が変更されました。
名称の変更により、宅建資格も弁護士、税理士、弁理士、司法書士、公認会計士といったいわゆる士業の一つとなりました。
なお、履歴書に書く際の書き方ですが、平成27年より前の合格者も宅建士として資格登録ができますので、名称変更前に合格した人も士業を名乗ることができます。
したがって、「宅地建物取引士」と記載するのが正しい書き方と言えるでしょう。
1-1.士業とは?
そもそも仕業って何?という方もいらっしゃるでしょう。
士業(しぎょう)とは、資格の最後に「士」がつくことが多い、高度な専門性を有する資格を総称する俗称です。さむらい業などと呼ばれる場合もあります。
こうした士業と呼ばれる資格は、全部で14種類ほどあります。
数が多いので、ここでは全てを取り上げることはしませんが、代表的な物としては、先ほどあげた、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、公認会計士に加えて、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、海事代理士などの資格があげられます。
いずれも法律や会計・税務の分野で高度な専門性の要求される仕事です。
2.宅建の正式名称が変更された理由
何故、宅建資格は正式名称が変更されたのでしょうか?
宅建資格が国家資格なので、名称の変更に当たっては宅建業法が改正されることによって変更が行われます。では、何故宅建業法を改正したのでしょうか。
これには、宅建士が不動産の売買など、消費者にとって重要な財産に関わる取引において、重要事項の説明など大きな役割を果たすことから、その業務に高い専門性が求められることが理由と言われています。
その他の士業と同様に、宅建の資格取得者にも強い専門性を求め質を向上させることで、広く消費者全体の利益守ることができると考えたのです。
2-1.平成15年の宅建業法改正で何が変わった?
名称以外に宅建業法の改正で何が変わったのでしょうか。
大きく変わったのは、宅建業法第15条です。改正によって第15条と第15条の2、第15条の3が新設されました。では、この3つの条文にはどんなことが書かれているのでしょうか。
第十五条 宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第十五条の二 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。(知識及び能力の維持向上)
第十五条の三 宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。「宅地建物取引業法」e-Gov
これだけ読むと少し分かりにくいかもしれませんが、まず第15条は宅建士が仕事を行うに当たっては、「購入者等の利益の保護」に資することが求められています。
また、宅建士は第15条の2で「宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為」が禁止されています。
そのため、会社の利益にはなるけど、購入者にとって不利益な行為(他の不動産会社に売却させないようにする「囲い込み」などが例としてあげられます。)などは、「宅建士の信用」を害することになりますから、宅建士はこれを拒否すべきであるとなるのです。
また、第15条の3は、宅建士に「必要な知識及び能力の維持向上」に努めるよう求めています。
これらから、宅建士は単なる不動産会社の従業員ではなく高度な専門性を有する独立した資格者として購入者の利益となるように行動することが求められているのです。
宅建士が士業の一つとなったのは、こうした法改正によるところが大きいと言えるでしょう。
3.名称変更で宅建試験の内容は難しくなる?
宅建士が仕業の一つとなり、高度な専門性が要求される資格になったことはご理解いただけたかと思います。
心配になるのは、専門性が求められるということはその分試験の難易度も上がるのではないかという点ではないでしょうか?
現在の宅建試験の合格率は15%~17%程度です。
参考までに他の士業の資格試験の合格率を見てみると、行政書士の合格率は6~10%程度となっています。宅建と同じく土地や不動産に関する士業系資格である、土地家屋調査士で合格率7~8%、不動産鑑定士で合格率9~12%、司法書士は合格率3%程度といずれも10%以下の合格率一桁の非常に難関の試験となっています。
そのため、宅建試験も合格率が同じくらいの10%前後になるのでは?と言われています。しかし、ここ数年の宅建の合格率を見てみると下の表のような状況になっています。
年度 | 受験者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 |
2019年 | 276,019 | 220,797 | 37,481 | 16.98% | 35 |
2018年 | 265,444 | 213,993 | 33,360 | 15.59% | 37 |
2017年 | 258,511 | 209,354 | 32,644 | 15.59% | 35 |
いずれも、合格率は15%~16%となっており、改正前から大きく変動していません。
ただし、これからもこの数字が維持されるかは分かりません。そのため、資格取得を考えている方は、少しでも早く資格取得をできるように勉強を進めていきましょう。
4.その他、名称の変更が影響するポイント
名称の変化や士業となったことで、次のような点に変化が起きています。
4-1.法定講習
宅建は合格してから、宅建士として登録する前に法定講習を受講する必要があります。名称の変化に伴い、この法定講習にも影響が出ています。
これまでは、受講時間は5時間で受講料は11,000円でしたが、改正後は受講時間は6時間で受講料は12,000円へと受講時間の延長と受講料の値上げがされています。
改正により宅建士に高度な専門性を求めるようになったため、その教育も強化されているといった形になっています。
4-2.履歴書への記入の仕方
冒頭でも少し触れましたが、名称が変わったため履歴書の資格欄に記入する際にも新しい名称を記載する必要があります。
注意したいのは、宅建は登録するまでにいくつか段階があるため、自分がどの段階にいるか正確に書く必要があります。
【段階】 | 【名称】 |
宅建試験に合格した状態 | 宅地建物取引士試験合格 |
実務講習を受講した状態 | 宅地建物取引士試験合格(実務講習受講) |
登録申請を完了した状態 | 宅地建物取引士登録(登録申請中) |
登録完了した状態 | 宅地建物取引士登録(登録済) |
取引士証の交付を申請した場合 | 交付前:宅地建物取引士登録(取引士証交付申請中)
交付後:宅地建物取引士登録(取引士証交付済) |
①宅建試験に合格した状態
この状態では宅建士としての登録はされていませんから、試験に合格しただけの状態です。そのため、履歴書には「宅地建物取引士試験合格」と記載しましょう。
②実務講習を受講した状態
この状態もまだ、宅建士としての登録はされていません。そのため、「宅地建物取引士試験合格(実務講習受講)」と記載しましょう。
③登録申請を完了した状態
この状態でもまだ、宅建士としての登録ができていません。「宅地建物取引士登録(登録申請中)」と記載しましょう。
④登録完了した状態
登録は完了していますが、取引士証の交付を受けていないため業務はまだできません。そのため、「宅地建物取引士登録(登録済)」と記載するのが正しい書き方になります。
⑤取引士証の交付を申請した場合
取引士証の交付を受けているか、そうでないかによって書き方が異なります。
交付をまだ受けていない場合には、「宅地建物取引士登録(取引士証交付申請中)」と記載しましょう。一方で、取引士証の交付を受けた後であれば、「宅地建物取引士登録(取引士証交付済)」と記載します。
4-3.名称の変化が影響しない点
業務の内容や独占業務については従来の資格から変化はありません。
「重要事項説明とその重要事項説明書への記名・捺印、契約書への記名・捺印」といった宅建士の独占業務は引き続き行うことができます。
5.「宅建の正式名称」まとめ
宅建士の資格の名称の変化とその影響について見てきましたが、いかがでしょうか。単なる名称の変化ではなく、より強い専門性が求められるという点がご理解いただけたかと思います。
宅建士として求められる専門性に答えられるよう、しっかりと勉強して合格を目指すとともに、すでに宅建士として活動されている方はより強い責任感をもって業務に当たっていただきたいと思います。
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