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宅建業法「報酬額の上限」とは?消費税はかかる?報酬額の計算方法まで紹介

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宅地建物取引業は、基本的には不動産の売買や賃貸を仲介することで報酬を得る商売です。

しかし、不動産の報酬にはルールがあり、報酬の上限設定も法律で決まっているということは意外と知られていません。

個人の不動産取引では「不動産会社の言われるままに支払ってしまった」というケースも耳にします。また宅建業法で定められたルールも複雑なため、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。宅建試験でもよく出題される範囲です。

そこで今回は、宅建業者の報酬のルールについて解説します。

宅建業法で定められた報酬の規定や内容、売買・交換・貸借の場合の違い、報酬額を定めた「報酬額表」や消費税計算の方法など、わかりやすくまとめてみました。ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  1. 宅建業法で定められた報酬額の規定と内容
  2. 宅建の「報酬の制限」の出題傾向
  3. 宅建の報酬計算(売買・交換の場合)
  4. 宅建の報酬計算(貸借の場合)
  5. 報酬額を定めた「報酬額表」の入手方法
  6. 消費税計算の方法

監修者棚田健大郎

この記事・サイトの監修者

棚田 健大郎

保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有…続きを読む

不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数10万人以上。

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棚田 健大郎

保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有…続きを読む

不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数10万人以上。

目次

1.宅建の「報酬額の制限」出題傾向

宅建の「報酬額の制限」出題傾向

報酬額の制限」は、宅建試験の中では「宅建業法」に関する問題として出題されます。

宅建業法は、全50問からなる宅建試験の中で第26問から第45問までの20問を占めるという重要な領域です。例年なら、このうち2問が報酬に関する出題です。

しかし、宅建業法は宅建試験の中でも点の取りやすい科目として知られています。ルールは複雑ですが、内容自体は難しくありません。一つひとつを丁寧に理解していけば、高得点が取れる科目です。

合格を狙うなら、20問中17点から19点は取れるようにしましょう。

「報酬額の制限」の出題傾向を見ると、報酬がもらえる条件や、報酬の計算、報酬以外に受け取れる金額の範囲や税金の計算がメインです。

基本的な内容を理解した上で、きちんと計算ができさえすれば得点源にすることも可能です。

ポイント!
報酬に関する問題は、例年2問が出題されます。報酬がもらえる条件、報酬計算、報酬以外に受け取れる金額の範囲、税金の計算などです。基本をおさえ、計算練習を重ねることが大切です。

2.宅建業者(宅地建物取引業者)の報酬額とは

2.宅建業者(宅地建物取引業者)の報酬額とは

宅建業者はどのような場合に報酬を受け取ることができるのでしょうか。

報酬の具体的な計算方法の前に、まずは報酬がもらえる条件や、報酬以外にもらえる費用について整理しておきましょう。

2-1.成功報酬主義

報酬は、宅建業者の媒介や代理によって、売買や交換、貸借が成立した場合のみ請求することができます。

成約した場合のみ請求できるということから「成功報酬主義」と呼ばれます。そのため、成約に至らなかった場合は請求することができません。

また、媒介や代理による必要があるため、宅建業者自らが売主あるいは貸主として売買や交換、貸借が成立した場合は、買主や借主から請求することができません。

まとめると、報酬が発生するのは「媒介・代理」によって「売買・交換・貸借」が成立した場合のみです。

自ら売買する場合は適用されないため、問題文に「宅建業者が自ら売主となり」といった文章を見つけた場合は注意しましょう。

ポイント!
報酬がもらえるのは、媒介や代理によって売買や交換、貸借が成立した場合だけです。自ら売買する場合、報酬は発生しません。

2-2.報酬以外に受領できる費用

なお、成約に至らなくても請求できるケースがあります。

また規定された「報酬」以外にも、請求可能な費用があります。それが「特別な依頼による例外」および「空家等の売買又は交換の媒介における特例」という規定です。

2-2-1.特別の依頼による広告費用

1つ目は「特別の依頼による広告費用」です。

依頼者の依頼によって行う広告料金であれば、その費用を「規定の報酬」とは別枠で請求することが可能です。

ここで大事なことは「依頼者の依頼によって行う」という点です。成約しなかった場合でも請求することができますが、依頼によらずに行った広告料金については請求することができません

注意!
請求が可能かどうかは、依頼者の依頼があったかどうかがポイントです。

2-2-2.特別の依頼による現地調査などの費用

2つ目は「特別の依頼による現地調査などの費用」です。

依頼者の依頼による特別な支出が対象で、事前に承諾を得ておく必要があります。

たとえば賃貸でも売買でも、もし物件が遠隔地にあれば現地調査が必要になることもあるでしょう。きちんと依頼者からの承諾を事前に得ていれば、これも請求することが可能です。

注意!
請求するためには、依頼者の承諾が必要です。

2-2-3.空家等の売買又は交換の媒介における特例

3つ目は「空家等の売買又は交換の媒介における特例」です。

2018年からの法改正で、400万円以下の低廉な空き家の売買や交換の媒介・代理についての特例が施行されています。

これにより、売り主に対しては報酬と合わせて18万円まで請求できることになりました。

具体的には、100万円の物件の場合、従来なら売主に対して5万円までしか請求できませんでした。

しかしこの特例が適用されることで、現地調査の費用等の名目で合計18万円まで売主に請求できるのです。なおこの特例は「売主に対して」なので、買主に対しては適用されません

※参照「国土交通省:昭和45年建設省告示第1552号(pdf形式)

※参照「公益財団法人不動産流通推進センター:低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例

注意!
比較的出題されやすい特例です。請求できるのは「売主」に対してのみです。買主には請求できないので注意しましょう。

3.宅建の報酬に関する規定

3.宅建の報酬に関する規定

報酬がもらえる条件、報酬以外にもらえる費用について概観しましたが、他にも基本的な原則がいくつかあります。

「受領制限」「要求行為の禁止」「報酬額表の掲示義務」の3点を紹介します。

3-1.報酬額の受領制限

1つ目は「報酬額の受領制限」です。

宅地建物取引業者は、国土交通大臣の定める額をこえて報酬を受けてはならない」(宅地建物取引業法46条2項)としています。

仮に相手が率先して支払ってきた謝礼金のようなものでも、報酬上限を超えた金額を受け取ってはいけないと規定されています。

宅建の報酬額については、売買や賃貸の取引価格に応じた計算式が定められています。それを超える金額を受領することは禁じられています。

3-2.要求行為の禁止

2つ目は「要求行為の禁止」です。

1点目と似ていますが、2点目で禁じられているのは「不当に高額の報酬を要求する行為」(宅地建物取引業法47条2号)です。

不動産の媒介が適正な料金で行われるよう求めるもので、消費者保護の観点から定められたルールになります。

3-3.報酬額表の掲示義務

3つ目は「報酬額表の掲示義務」です。

宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない」(宅地建物取引業法46条4項)としています。

「事務所ごと」なので、本社だけでなく、支店オフィスにおいても見やすい場所に掲示しなければいけません。

※参照「宅地建物取引業法」

4.宅建の報酬と消費税の関係

4.宅建の報酬と消費税の関係

続いては消費税について見ていくことにしましょう。宅建業者には課税業者免税業者があります。

また取引対象によっては課税されるものもあれば、非課税になるものあります。

混乱しがちな分野ですが、しっかり理解して、ぜひ確実に点数にしておきたいところです。

注意!
消費税が関係する問題もよく出題されます。理解した上で練習を繰り返し、計算を間違わないように気をつけましょう。

4-1.宅建業者が課税事業者の場合、宅建業者が免税事業者の場合

宅建業者には「課税業者」と「免税業者」があります。

「課税業者」は、1年間の課税売上高が1,000万円を超える会社です。消費税の課税対象となるものについては、10%の消費税相当額を請求することができます。

一方で、「免税業者」は、1年間の課税売上高が1,000万円以下の会社です。小さな会社として消費税の納税義務が免除される業者のことを指します。

消費税額を受け取るかどうかは、その会社が自ら選ぶことが可能ですが、基本的には「みなし仕入率」として消費税である10%の40%相当(つまり4%)を請求するというかたちになります。

注意!
「みなし仕入率」は聞き慣れないかもしれません。免税業者は10%ではなく4%で計算することをしっかり覚えておきましょう。

4-2.課税対象と非課税対象の違い

事業者ごとの課税・非課税を見てきましたが、取引の対象によっても「課税対象」となるものと「非課税対象」となるものがあります。

まず建物は課税対象ですが、土地は非課税です。

たとえば1億円の土地付き建物があったとして、土地評価額が7500万円、建物評価額が2500万円だったとします。この場合、土地の7500万円は非課税ですが、建物の2500万円は課税対象となります。したがって、7500万円 + (2500万円+税250万円)= 1億250万円 という計算になります。

この他、賃貸の場合「居住用建物」は非課税ですが、「非居住用建物」は課税対象となります。宅建でもよく出題されるので、違いをしっかりと理解しておきましょう。

注意!
事例で示した「土地付き建物」のように、課税対象と非課税対象が混在する案件の時は、計算ミスが起きがちです。落ち着いて計算するようにしましょう。

4-3.宅建で出題される商品税問題のポイント

課税業者か免税業者か」という点や「課税対象か非課税対象か」という点は、宅建試験の中でも、よく取り上げられるポイントです。

問題文で、もし金額が「消費前込み」で記載されていた場合は、税抜きの価格に戻してから計算しなければいけないこともあります。また、課税業者と免税業者では消費税計算が異なるため、報酬上限も変わってきます。

間違えやすい点ですが、繰り返し問題を解いていくうちに次第に慣れていくはずです。

ポイント!
「課税業者と免税業者」「課税対象と非課税対象」という論点は混乱してしまいがちです。しかし何度も計算問題を繰り返せば、自然と慣れていくはずです。

5.宅建報酬の計算方法(売買・交換の場合)

5.宅建報酬の計算方法(売買・交換の場合)

続いては、具体的な計算方法を解説します。

宅建の報酬計算は「売買・交換の場合」と「貸借の場合」とで方法が異なります

売買・交換の場合」は取引価格にもとづいて算出しますが、「貸借の場合」は賃料にもとづいて計算します。まずは「売買・交換の場合」について説明していきましょう。

ポイント!
売買・交換の場合、報酬計算は「取引価格」にもとづいて計算します。

5-1.報酬額の算定基準となる「報酬額表」と「速算法」とは

売買・交換」の場合の報酬額は、国土交通省が定める「報酬額表」に準拠します。

また、より計算しやすい「速算法」という方法もあります。

計算する際は、「報酬額表」でも「速算法」でも、いずれの方法でも算出することが可能です。

注意!
簡単に計算するなら「速算法」が便利です。しかし「報酬額表」も出題されることがあるので、しっかり覚えておきましょう。

5-1-1.報酬額表の場合

報酬額表」は国土交通省が定めたもので、次のページからダウンロードすることができます。日本全国で共通となっています。

※参照「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省)

詳しい内容は次のとおりです。

  • 200万円以下の部分:5%
  • 200万円超から400万円以下の部分:4%
  • 400万円超の部分:3%

たとえば、税抜きで1,000万円の物件の場合、報酬額は以下の計算になります。

・200万円以下の部分:5% = 10万円
・200万円超から400万円以下の部分:4% = 8万円
・400万円超の部分:3%:600万円 X 3% = 18万円
→ 10万円 + 8万円 + 18万円 = 36万円

ポイント!
報酬額表は国土交通省が定めたもので、日本全国共通です。「報酬額表」を用いる場合、400万円超の物件の報酬計算をするには3回の計算が必要になります。

5-1-2.速算法の場合

速算法」は、より楽に計算をするための方法です。

計算が簡単にできるようになるので、ぜひ覚えておきましょう。

  • 200万円以下の物件の場合:取引価格 X 5%
  • 200万円超から400万円以下の物件の場合:取引価格 X 4% + 2万円
  • 400万円超の物件の場合:取引価格 X 3% + 6万円

たとえば、税抜きで1,000万円の物件の場合、報酬額は以下の計算になります。

→ 1,000万円 X 3% + 6万円 = 36万円

ポイント!
「速算法」なら1回の計算で報酬額を算出することができます。宅建業者の多くは、速算法で計算しています。

5-2.「媒介」の場合の報酬上限

報酬額表」と「速算法」の2種類を説明したところで、今度は具体的なケーススタディを見ていくことにしましょう。

媒介の場合代理の場合がありますが、まずは媒介の事例です。

売買の媒介の場合、受領できるのは依頼者からのみです。

また上記で計算した「報酬額」は、依頼者の一方から受け取れる上限です。もし両方から依頼を受けている場合は、両方からそれぞれ受け取ることが可能です。

一方で、交換の媒介の場合は基本的に2つの物件を取り扱うため、評価額が高い方の物件価格で算出することになります。

ポイント!
同じ媒介でも、売買と交換では算出方法が異なります。交換の場合の計算は間違えやすいので気をつけましょう。

5-2-1.売買の媒介の計算例

ケーススタディです。AとBの双方から媒介の依頼を受け、1億円の土地の売買契約が成立したとします。

この場合に受領できる報酬額は次のとおりです。

・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円

→ 宅建業者が課税事業者の場合:306万円 X 1.1 = 336万6,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:306万円 X 1.04 = 318万2,400円

したがって、AとBのそれぞれに対して上記の金額を請求することが可能との結論になります。課税業者なら、報酬上限の合計は673万2,000円です。

5-2-2.交換の媒介の計算例

ケーススタディです。AとBの双方から媒介の依頼を受け、Aの所有する9,300万円の土地とBの所有する1億円の土地の交換契約が成立したとします。こ

の場合に受領できる報酬額は次のとおりです。

・交換の場合は評価額が高い方の物件価格で算出します。この場合は1億円です。
・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円

→ 宅建業者が課税事業者の場合:306万円 X 1.1 = 336万6,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:306万円 X 1.04 = 318万2,400円

したがって、AとBのそれぞれに対して上記の金額を請求することが可能との結論になります。課税業者なら、報酬上限の合計は673万2,000円です。

Aの土地は9,300万円なので「9,300円 X 3% + 6万円 = 285万円」と計算してしまいがちですが、「交換の場合は、評価額が高い方の物件価格で算出する」ということを忘れないようにしましょう。

注意!
交換の場合は、2つの物件のうち評価額が高い方の金額で算出します。

5-2-3.低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例

これは先ほど説明した「400万円以下の低廉な空き家の売買や交換の媒介・代理についての特例」を扱うものです。

400万円以下の空き家に限定した特例で「売主に対して報酬と合わせて18万円まで請求できる」というものです。

ケーススタディで考えてみましょう。AとBの双方から媒介の依頼を受け、A所有の350万円の空き家の売買契約が成立したとします。この場合、報酬額表で計算すると、本来の報酬額は次のとおりです。

・350万円 X 4% + 2万円 = 16万円
→ 宅建業者が課税事業者の場合:16万円 X 1.1 = 17万6,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:16万円 X 1.04 = 16万6,400円

しかし特例が適用されるため、売主には18万円を上限に請求してもよいということになります。差額の2万円は「現地調査等の費用」と見なして請求することが可能になるのです。

→ 宅建業者が課税事業者の場合:18万円 X 1.1 = 19万8,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:18万円 X 1.04 = 18万7,200円

特例が適用できるのは「売主に対して」のみです。今回のケーススタディの場合、売主はAなので、Aに対しては上記の「18万円+税」を請求することが可能です。

しかしBは買主です。そのためBに対しては「18万円+税」ではなく「16万円+税」を上限とする請求しかできません。

したがって、課税業者なら報酬上限の合計は19万8,000円 + 17万6,000円 = 37万4,000円となります。

注意!
特例にもとづいた請求ができるのは「売主」に対してのみです。買主には請求できない点を気をつけましょう。

5-3.「代理」の場合の報酬上限

続いては、代理の場合の報酬上限です。売買の代理の場合、受領できるのは依頼者からのみです。

売買の媒介と同じですが、異なる点は、一方の依頼者から「算出された金額の2倍まで受け取れる」ということです。

なお、双方から代理を受ける「双方代理」は顧客の不利益になるため禁じられています。また、代理と媒介のように、両方から仕事を受ける場合は、両方の報酬上限の合計「2倍まで」となるので注意しましょう。

ポイント!
一方の依頼者から「算出された金額の2倍まで受け取れる」という点が特徴です。売買と交換では算出方法が異なりますが、基本的な考え方は「媒介」と同じです。よく整理しておきましょう。

5-3-1.売買の代理の計算例

ケーススタディです。Aから代理の依頼を受け、A所有の1億円の土地の売買契約がBとの間で成立したとします。

この場合に受領できる報酬額は次のとおりです。

・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円
・代理は2倍まで受け取れます。この場合612万円です。

→ 宅建業者が課税事業者の場合:612万円 X 1.1 = 673万2,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:612万円 X 1.04 = 636万4,800円

したがって、Aに対して上記の金額を請求することが可能との結論になります。これがもし媒介であれば「306万円 + 税」が報酬上限となります。

5-3-2.交換の代理の計算例

ケーススタディです。Aから代理の依頼を受け、Aの所有する9,300万円の土地とBの所有する1億円の土地の交換契約が成立したとします。

この場合に受領できる報酬額は次のとおりです。

・交換の場合は評価額が高い方の物件価格で算出します。この場合は1億円です。
・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円
・代理は2倍まで受け取れます。この場合612万円です。

→ 宅建業者が課税事業者の場合:612万円 X 1.1 = 673万2,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:612万円 X 1.04 = 636万4,800円

したがって、Aに対して上記の金額を請求することが可能との結論になります。

Aの土地は9,300万円なので「9,300円 X 3% + 6万円 = 285万円」と計算してしまいがちです。

しかし代理の場合でも「交換の場合は、評価額が高い方の物件価格で算出する」というルールを覚えておきましょう。

注意!
交換の場合は、2つの物件のうち評価額が高い方の金額で算出します。「媒介」の場合と同じですが、間違えやすいので気をつけましょう。

5-3-3.低廉な空家等の売買取引における代理報酬額の特例

先ほど説明した「400万円以下の低廉な空き家の売買や交換の媒介・代理についての特例」について、代理の場合は媒介の場合と異なる点があるので要注意です。

ケーススタディで理解を深めてください。

Aから代理の依頼を受け、A所有の350万円の空き家の売買契約が成立したとします。この場合、報酬額表で計算すると本来の報酬額は次のとおりです。

・350万円 X 4% + 2万円 = 16万円

しかし特例が適用されるため、報酬上限は18万円になります。差額の2万円は「現地調査等の費用」と見なして請求することが可能になるわけです。

ここでポイントとなるのは、代理の場合2倍まで請求できるという点です。このケースでは「現地調査等の費用」が2万円となるため、以下のような計算式になります。

・16万円 X 2 + 2万円 = 34万円

→ 宅建業者が課税事業者の場合:34万円 X 1.1 = 37万4,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:34万円 X 1.04 = 35万3,600円

したがって、Aに対して上記の金額を請求することが可能との結論になります。

「現地調査等の費用」の上限は、媒介を行ったと仮定して計算するという点がポイントです。18万円まで請求できるからといって、それをそのまま2倍にして36万円になるというわけではありません。

また、このケースではAは売主です。もしAが買主であれば特例は適用されないので気をつけて下さい。

注意!
代理の特徴は、一方の依頼者から「算出された金額の2倍まで受け取れる」点です。しかし本特例の計算では、単純に18万円を2倍にするわけではありません。「適用は売主のみ」という点と合わせ、間違えやすいところなので要注意です。

5-4.複数の業者が関与する場合

最後は複数の業者が関与する場合です。

土地や建物の売買の場合、必ずしも売り手と買い手の双方を同じ宅建業者が担当するとは限りません。複数の業者が取引に関与する場合、報酬額はどのように変化するのかを確認しておきましょう。

複数の業者が取引に関わっている場合、全業者が受け取る報酬限度額は、報酬額表で算定した金額の2倍を超えてはいけないとされています。

売買の媒介業者のみの場合」と「売買の媒介業者と代理業者が存在する場合」とに分けて、具体的に見ていくことにしましょう。

ポイント!
複数の業者が取引に関わっている場合、計算が混乱しがちです。しかし「全業者が受け取る報酬限度額は、報酬額表で算定した金額の2倍を超えてはいけない」という点をしっかり覚えていれば大丈夫です。

5-4-1.売買の媒介業者のみの場合

ケーススタディです。Aから媒介の依頼を受けた業者と、Bから媒介の依頼を受けた業者があるとします。

このAとBの間で、1億円の土地の売買契約が成立した場合を想定して下さい。この場合に受領できる報酬額は次のとおりです。

・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円

→ 宅建業者が課税事業者の場合:306万円 X 1.1 = 336万6,000円
→ 宅建業者が免税事業者の場合:306万円 X 1.04 = 318万2,400円

したがって、課税業者であれば依頼元に対して336万6,000円を、免税事業者の場合は318万2,400円を上限として請求することになります。

5-4-2.売買の媒介業者と代理業者が存在する場合

続いては、媒介と代理が混在した場合のケーススタディです。Aから媒介の依頼を受けた業者と、Bから代理の依頼を受けた業者があるとします。このAとBの間で、1億円の土地の売買契約が成立した場合を想定して下さい。

この場合に受領できる報酬額は、どのようになるでしょうか。

まず媒介を受けた業者がAから受け取ることのできる報酬限度額は次のとおりです。

・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円

次に、代理を受けた業者がBから受け取ることのできる報酬限度額は次のとおりです。

・1億円 X 3% + 6万円 = 306万円
・代理は2倍まで受け取れるため、612万円になります。

しかし、複数の業者が取引に関わる場合、全業者が受け取る報酬限度額は、報酬額表で算定した金額の2倍を超えてはいけないとされています。そのため612万円( + 消費税)を上限に、A社とB社がどう配分するかを話し合うということになります。

注意!
複数の業者が関係する取引の場合、代理を受けた業者は「算出された金額の2倍まで受け取れる」という代理報酬がそのまま成立するわけではありません。

6.宅建の報酬計算(貸借の場合)

5.宅建報酬の計算方法(売買・交換の場合)

宅建の報酬上限の計算にあたり、まずは「売買・交換の場合」を概観してきました。続いては「貸借の場合」です。

「売買・交換の場合」は不動産の取引価格にもとづいて計算しましたが、「貸借の場合」は賃貸物件の賃料にもとづいて計算します。

ケーススタディを通じて、具体的に見ていくことにしましょう。

ポイント!
貸借の場合、報酬計算は「賃貸物件の賃料」にもとづいて計算します。

6-1.報酬額の算定基準は「賃料」

「売買・交換」では、国土交通省が定める「報酬額表」を用いて計算しました。

「貸借」の場合は、そのような報酬額表はありません。

その代わり、不動産物件の「賃料」にもとづいて計算します。賃貸借契約が成立した場合、宅建業者は一方の依頼者から賃料の50%を上限として受領することができます。ただし依頼者の承諾が得られていれば、賃料の100%を上限に請求することも可能です。

なお双方から媒介の依頼を受けていた場合は、両方をあわせて1ヶ月分が報酬の限度額となります。

6-2.「媒介」の場合の報酬上限

では、賃借における媒介と代理の違いについて見てみましょう。まずは媒介の事例です。

6-2-1.貸借の媒介の計算例

ケーススタディです。AとBの双方から媒介の依頼を受け、A所有のアパート(月額賃料10万円)の賃貸借契約が成立したとします。

この場合に受領できる報酬額(居住用建物の場合)は次のとおりです。

依頼者の承諾が無い場合
依頼者の承諾が無い場合、Aから5万円、Bから5万円というのが報酬の上限となります。

依頼者の承諾がある場合
依頼者の承諾があれば、一方から賃料の100%を上限に請求することができます。ただしAとBの両方から報酬を得る場合、両方を合算して賃料の100%にあたる金額が報酬の上限となります。

注意!
「依頼者の承諾」がある場合と無い場合で上限が異なります。

6-3.「代理」の場合の報酬上限

続いては、賃借における代理のケースです。

代理で賃借を成立させた場合、受領できる報酬上限は、合計で1ヶ月分となっています。

6-4.居住用建物以外の場合

ここまで解説してきたのは「居住用建物」のケースです。

「居住用建物」の場合には、依頼者から受領する報酬の合計限度額が規定で決まっています。

しかし「居住用建物以外」(宅地や事務所、店舗など)の場合、「両者からの合計限度額」は規定されているものの、それぞれから受け取る限度額については定めがありません

依頼者から合計で「賃料の1ヶ月分」との規定があるのみです。

6-4-1.権利金の授受がある場合

なお、居住用建物以外の賃貸では「権利金」が発生するケースがあります。

権利金は、貸主に対して借主が支払う一時金です。権利設定の対価として支払うもので、貸主は借主に返還する必要はありません

権利金が発生する場合は、これを取引価格と見なして報酬計算をすることが可能です。算定は前述の「売買の媒介」で用いた「報酬額表」に準拠して計算(権利金基準)します。

これによって算出された金額を、通常の賃貸契約での報酬上限である「1ヶ月分の賃借料」(賃料基準)と比較して、いずれか高い方の金額を報酬上限とすることができます。

ケーススタディで説明しましょう。AとBの双方から媒介の依頼を受け、A所有の土地(月額賃料50万円、権利金750万円)の賃貸借契約が成立したとします。この場合に受領できる報酬額は次のとおりです。

  1. 賃料基準:Aからの報酬とBからの報酬を合計して「賃料の1ヶ月分」なので50万円
  2. 権利金基準:750万円 X 3% + 6万円 = 28万5,000円 これをAB双方に請求できるため合計57万円

①と②を比較した結果、高い金額の方を選択できるため、報酬上限は②の57万円となります。

注意!
権利金が発生する場合、賃料基準と権利金基準の2つの計算をした上で、金額を比較する必要があります。

6-5.複数の業者が関与する場合

複数の業者が関与する場合、すべての業者が受け取れる報酬合計額の上限は「借賃の1ヶ月分」です。

各社が受け取る報酬の配分については、関係者間で話し合って決めることになります。

なお権利金が発生する場合は、「賃料基準」(借賃の1ヶ月分)か「権利金基準」(権利金から算出した報酬限度額)から選択することになります。

7.「宅建業法・報酬の上限」まとめ

宅建業法「報酬の上限」とは?消費税はかかる?報酬額の計算方法まで紹介

宅建業者の報酬について解説してきました。報酬の規定や内容は宅建業法で定められています。

売買・交換・貸借の場合の違い、報酬額を定めた「報酬額表」や消費税計算の方法など、複雑なルールも少なくありません。

宅建では50問中2問が「報酬」に関する問題です。大事なことは、きちんとルールを理解すること、そして計算問題を繰り返すことです。次第に慣れてくることで、確実な得点源にすることができるはずです。

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※参照「国土交通省:昭和45年建設省告示第1552号(pdf形式)
※参照「公益財団法人不動産流通推進センター:低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例
※参照「宅地建物取引業法」
※参照「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省)

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