宅建の難易度と合格率!勉強時間や学習法・他資格比較も解説!
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宅建士(宅地建物取引士)資格は、毎年20万人が受験するという、日本有数のマンモス資格です。
合格するのは3万人から4万人なので、平均的な合格率は16%前後です。100人のうち16人が受かるということは「100人のうち84人が落ちる試験」でもあるということです。
しかし過度に心配しないでください。なぜなら、適切な勉強方法で、適切な勉強量をこなすことができれば、誰でも合格を勝ちとることのできる試験でもあるからです。
とはいえ、「宅建の難易度はどの程度なのか?」「本当に自分でも合格できるのか?」など、不安に感じる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、宅建の難易度や合格率、宅建の試験内容、そして独学と通信教育のメリット・デメリットについて解説します。
また「どれくらいの勉強時間が必要か」という点や「1発合格するための勉強ロードマップ」も紹介します。この記事を読めば、宅建に合格するためにどのような勉強をしていくべきなのか、その道筋が見えてくるはずです。
目次
1.宅建試験の難易度・合格率は?
まずは宅建の難易度を知るにあたり、過去10年間の受験動向をデータで見てみることにしましょう。
受験者数や合格者数、合格率の推移を見た上で、他の国家資格の難易度との比較をチェックしてみます。
1-1.合格率の推移【過去10年分】
宅建の合格率は、年度によって異なります。過去10年間を概観してみると、だいたい15%から17%で推移していることがわかります。
詳しいデータは、試験の実施団体である「不動産適正取引推進機構」が公表しています。過去10年間の推移は次のとおりです。
年度 | 合格率(c/b) | 申込者数(a) | 受験者数(b) | 合格者数(c) |
---|---|---|---|---|
2012年(平成24年) | 16.7% | 236,350人 | 191,169人 | 32,000人 |
2013年(平成25年) | 15.3% | 234,586人 | 186,304人 | 28,470人 |
2014年(平成26年) | 17.5% | 238,343人 | 192,029人 | 33,670人 |
2015年(平成27年) | 15.4% | 243,199人 | 194,926人 | 30,028人 |
2016年(平成28年) | 15.4% | 245,742人 | 198,463人 | 30,589人 |
2017年(平成29年) | 15.6% | 258,511人 | 209,354人 | 32,644人 |
2018年(平成30年) | 15.6% | 265,444人 | 213,993人 | 33,360人 |
2019年(令和元年) | 17.0% | 276,019人 | 220,797人 | 37,481人 |
2020年(令和2年)10月 | 17.6% | 204,163人 | 168,989人 | 29,728人 |
2020年(令和2年)12月 | 13.1% | 55,121人 | 35,261人 | 4,610人 |
2021年(令和3年)10月 | 17.9% | 256,704人 | 209,749人 | 37,579人 |
2021年(令和3年)12月 | 15.6% | 39,814人 | 24,965人 | 3,892人 |
出典:試験実施概況(過去10年間):一般財団法人 不動産適正取引推進機構
2020年と2021年は、コロナ対策により「年2回」の試験となりました。そのため数字にブレがありますが、だいたい「15%から17%くらい」の合格率だと考えると良いでしょう。
毎年20万人前後が受験して、3万数千人が合格しています。つまり、「20人が受験したら、そのうち3人から4人くらいしか受からない」というのが現実です。
1-2.他資格との比較
今度は、他の主要な国家資格との違いを見てみることにしましょう。
難易度が具体的にイメージしやすくなるように「合格に必要とされる勉強時間」と「平均的な合格率」で比較してみます。
資格名 | 必要とされる勉強時間 | 平均的な合格率 |
---|---|---|
弁護士(予備試験) | 6,000時間 | 3% |
公認会計士 | 3,000時間 | 10% |
不動産鑑定士 | 2,000時間 | 10% |
宅地建物取引士 | 300時間 | 16% |
日商簿記2級 | 250時間 | 30% |
出典:宅建の偏差値は50~60!試験の難易度と必要な勉強時間は?【他資格との比較も紹介】 |宅建Jobコラム
こうしてみると、弁護士(6,000時間)や公認会計士(3,000時間)、不動産鑑定士(2,000時間)に比べると、はるかに短い勉強時間で合格できる試験であることがわかります。
たしかに宅建は、難関資格と言われています。平均の合格率は16%なので、100人のうち84人が落ちる試験です。もっと言えば、25人のうち21人が落ちる試験です。
しかし、弁護士や公認会計士などと比べれば、より合格しやすい試験であることがわかるはずです。
1-3.偏差値で考えると?
宅建の難易度について、合格率の推移や他資格との比較を紹介してきました。この難易度は、大学受験の偏差値でいうと、どれくらいのレベルにあると考えるべきなのでしょうか。
以前「宅建Job」がまとめた記事では、宅建の偏差値は「50〜60」と紹介しました。
宅建の偏差値は50~60!試験の難易度と必要な勉強時間は?【他資格との比較も紹介】 |宅建Jobコラム
これを大学受験に当てはめると、以下のようなレベルに該当するようです。
■国公立大学の場合
偏差値50: 琉球大(国際地域創造夜)・青森公立大(経営経済)など
偏差値60: 新潟大(法)・信州大(経法)・静岡大(人文社会科)など■私立大学の場合
偏差値50: 大東文化大(経済)・帝京大(法)・神戸学院大(人文)など
偏差値60: 成城大(文芸)・東洋大(文)・関西学院大(人間福祉)など
しかし上の記事でも紹介したとおり、この数字はあくまでも「ざっくりとした指標」に過ぎません。
「宅建の難易度」を理解するには、偏差値を過度に気にするのではなく、「300時間の勉強が必要な試験だ」とイメージするようにすると良いでしょう。
2.宅建試験の内容
宅建の難易度や合格率について見てきました。今度は具体的に、宅建の試験内容について見ていくことにしましょう。
宅建の試験は全部で50問あります。すべてマークシート方式です。1問あたり1点となっており、50点満点の試験になっています。
試験の科目は次の4つです。どのような内容が出題されるのか、科目ごとに解説していきます。
- 権利関係(民法など):14問(第1問~第14問)
- 宅建業法:20問(第26問~第45問)
- 法令上の制限:8問(第15問~第22問)
- 税・その他:8問(第23問~第25問、第46問~第50問)
2-1.権利関係(民法)
まず1つ目は「権利関係(民法)」です。50問中14問が出題されるため、宅建の中でも重要な位置を占める領域です。
中心となるのは民法で、意思表示や代理、相続や賃貸借、抵当権などがよく出題されます。民法は非常に幅広いのが特徴で、条文の数も1,000以上あります。
難しい法律用語もあるため、苦手意識をもつ人も少なくありません。そのため、時間をかけて、じっくりと丁寧に学習すべき分野だと言えます。また民法のほか、不動産登記法や建物区分所有法、借地借家法からも問題が出ます。
合格を狙うためには、14問のうち7点から10点を目標とするのがオススメです。
2-2.宅建業法
2つ目は「宅建業法」です。50問中20問が、ここから出題されます。
取り上げられるのは、宅建業者や宅建士の仕事上のルールがメインです。売買や賃貸の契約書である「37条書面」や、買主や借主が契約前に把握すべき「重要事項説明」、住宅瑕疵担保履行法などが出題されます。
宅建業法は「民法」と異なり、理解しやすく点が取りやすいのが特徴です。数字などの暗記項目が多いものの、過去問を繰り返していけば、満点を取ることも不可能ではありません。
合格を狙うためには、17点から19点、できれば満点を目標にするのがオススメです。
2-3.法令上の制限
3つ目は「法令上の制限」です。50問のうち8問が出題されます。
出題される領域は、土地や建物を規定するルール、開発行為や役所への届け出などです。具体的には、国土利用計画法や都市計画法、建築基準法、農地法などで、暗記すべき事柄や数字が多いのが特徴です。
似た内容の法律も多いため、「どちらがどちらだっけ?」と混同してしまうところも少なくありません。
しかし「法令上の制限」は、宅建士として実務にあたる上でも必須の分野です。過去問を繰り返しながら、地道に得点アップに努めるしかありません。
合格するためには、8問のうち5点から7点を狙うのがオススメです。
2-4.税・その他
最後の4つ目は「税・その他」です。50問のうち8問が出題され、試験のうち第23問から第25問、そして第46問から第50問までが対象です。
第23問から第25問の部分で出題されるのは、税金関係の問題です。範囲が広いのが特徴で、たとえば不動産取得税や固定資産税、所得税、印紙税、登録免許税、贈与税などがあります。
また、第46問から第50問までの部分で出題されるのは、主に不動産関連の最近の統計や、景品表示法などです。直近の統計数値からも出題されるため、予備校各社の「直前対策講座」や「予想問題」を活用すると良いでしょう。
合格を狙うためには8問のうち、4点から5点を目標にするのがオススメです。
3.宅建試験に1発合格する勉強ロードマップ
宅建の難易度や合格率、試験内容について見てきました。宅建は難関資格であり、試験内容も複雑ですが、しっかりした戦略のもとに勉強すれば、誰もが合格できる試験です。
一発合格するには、どのような手順で勉強を進めていくべきなのでしょうか。効率的な勉強で合格を勝ちとるための方策として「宅建に1発合格する勉強ロードマップ」を紹介していきましょう。大事なことは次の3点です。
- 必要な勉強時間を知る。
- 勉強計画を立てる。
- 効率的な勉強方法。
3-1.必要な勉強時間を知る
一発合格を目指す上で1つ目に大事なことは「必要な勉強時間を知る」ということです。
結論から言うと、宅建に合格するには「最低でも300時間は勉強する必要がある」と言われています。とはいえ、合格に必要な勉強時間は人によって異なります。
たとえば、すでに不動産業に従事している人なら、すでに実務を通じて身につけている知識がたくさんあるはずです。また、検定試験や国家試験など、いわゆる「試験慣れ」している人なら、より短時間での合格が可能です。
しかし、不動産にも法律にも詳しくないという人なら、まずは300時間から400時間は確保するようにしましょう。
3-2.勉強計画を立てる
2つ目に大事なことは「勉強計画を立てる」ということです。まずは大まかなスケジュールを立ててみましょう。
宅建試験が行われるのは、原則として「10月の第3日曜日」です。合格に必要な勉強時間は300時間と言われています。そこで、試験日までの残り期間から逆算してみることをオススメします。
勉強開始の月 | 勉強の期間 | 勉強時間(1ヶ月あたり) | 勉強時間(1日あたり) |
---|---|---|---|
前年10月から | 1年間 | 25時間 | 1時間弱 |
4月から | 6ヶ月 | 50時間 | 1.6時間 |
7月から | 3ヶ月 | 100時間 | 3.3時間 |
9月から | 1ヶ月 | 300時間 | 10時間 |
こうしてみると、必要な勉強時間がより具体的に見えてくるはずです。勉強を始める時期は人によって異なりますので、ぜひあなた自身の現状をふまえて計算してみてください。
なお、2021年と2022年は、コロナ対策のため、10月試験と12月試験の2回に分けて実施されています。2023年以降はどうなるかわかりませんが、例年通り「10月の第3日曜日」に実施されるものと考えておくと良いでしょう。
3-3.効率的な勉強方法
ここまで解説したように、まず「必要な勉強時間」を知り、その上で「勉強計画を立てる」という流れが必要になるわけですが、もし一発合格をしたいなら、特に気をつけておきたいのが「効率的な勉強を心がける」ということです。
宅建の合格者を見ていると、次の3つのステップを重視している人が多いようです。
- 問題構成を把握する。
- 過去問を何度も解く。
- テキスト・参考書を読む。
まずは問題構成を把握(①)します。どのような問題が出題されるのか、頻出のテーマは何か、などがわかるので、どのような勉強をすれば合格できるか、どのような順番で解くのが効率的なのか、といった傾向が見えてきます。
続いては「過去問を何度も解く」(②)ということです。合格者に共通している点は、過去問を繰り返し攻略しているという点です。
最初のうちは解けなくても問題ありません。「わからないこと」があれば、テキストや参考書をチェック(③)するようにしましょう。
合格者に共通するのが、この繰り返しです。
- 過去問を何度も解く = アウトプット
- テキスト・参考書を読む = インプット
これを何度も繰り返すことによって、だんだんと得点できるようになります。苦手分野も次第に消えていくはずです。まずは「過去問を重視する!」ということを心がけて下さい。
なお「宅建に1発合格する勉強ロードマップ」の詳細については、以下の記事にまとめてあります。ぜひチェックしてみてください。
宅建に独学で一発合格するロードマップ!勉強時間、勉強法を徹底解説! |宅建Jobコラム
4.独学のメリット・デメリット【宅建の難易度】
宅建の試験にチャレンジする上では「独学でチャレンジするか、通信教育を活用するか」という問題があります。
結論からすると、どちらが正解ということはありません。人によって、独学が向いている人もいれば、通信教育が向いている人もいるからです。
そこでまずは、独学のメリット・デメリットについて見ていくことにしましょう。
4-1.独学のメリット
独学のメリットは、いろいろあります。なかでも通信教育と比べた場合の最大のメリットは「低コストで勉強できる」という点です。
大手予備校の宅建講座を見ると、十万円前後の講座がザラにあります。
しかし独学なら、
- 書店で購入するテキスト・問題集
- 予備校各社が提供する模擬試験
など、低いコストで済ませることができます。
また、通信教育ではカリキュラムが定められています。独学の場合「規定のカリキュラム」に左右されずに勉強できるため、「勉強したい分野だけを集中的に勉強できる」というメリットもあります。
4-2.独学のデメリット
一方で、独学のデメリットは、つい挫折してしまいやすいという点です。
たとえばテキストを読んでいて、わからない点があった時、質問できる相手がいません。わかる人を探したり、ネットで情報を探したりと、不明点の解消には予想以上の手間がかかるものです。
また、
- どの教材をやるべきか。
- どのような順番で学習すべきか。
という点も、独学では把握するのが難しいです。
さらに言うと、きちんと自分を律して自己管理できる人でないと、勉強の継続そのものが厳しくなるはずです。モチベーションの維持が困難だというのも、独学のデメリットだと言えるでしょう。
5.通信教育のメリット・デメリット【宅建の難易度】
独学のメリット・デメリットについて解説してきましたが、今度は通信教育のメリット・デメリットについて見ていくことにしましょう。
5-1.通信教育のメリット
通信教育のメリットは、「時間が大幅に節約できる」という点です。
まず、講座で使われている教材は、経験豊富なプロの講師陣が作り上げたものです。そのため、自分で教材選びに悩む必要がありません。
講師は教え方も一流です。宅建は難解なので、自分で書籍を読むだけでは理解しづらい部分も多々あるはずです。
しかし通信教育の講師なら、わかりやすく噛み砕いて解説してくれます。もしわからないところがあったとしても「講師に質問できる」というメリットがあります。
また通信講座では、メリハリの効いた講義が展開されているのがほとんどです。合格のために「覚えるべきところ」「理解すべきところ」に重点が置かれ、優先順位をつけた講義になっているものが多いです。
これらの結果、独学で挑むよりも、はるかに短時間で効率よく学習できるというのが、通信教育のメリットです。
5-2.通信教育のデメリット
それに対し、通信教育のデメリットは「お金がかかる」という点です。
先ほど、通信教育のメリットとして「時間が大幅に節約できる」という点をあげました。つまり「お金で時間を買う」というのが通信講座とイメージするとよいでしょう。
つまり、以下のようになります。
・独学:低コストで勉強ができるが、効率は悪くなりがち。
・通信教育:効率の良い勉強ができる反面、コストがかかる。
もしあなたが、コストを重視したいなら独学を選ぶと良いでしょう。ただし「短時間で一発で受かりたい」ということであれば、コストはかかっても通信教育を選ぶのがオススメです。
6.「宅建の難易度」のまとめ
宅建の難易度について解説してきました。
冒頭で紹介したとおり、宅建は難関資格として知られています。平均的な合格率は16%なので「100人のうち84人が落ちる試験」です。
しかし注目してほしいのは「100人のうち16人が受かる」試験でもあるということです。一発合格する人はたくさんいます。短期で合格する人もたくさんいます。適切な方法で、適切な時間量の勉強ができれば、誰でも合格できる資格です。
今回は、宅建の難易度や合格率、宅建の試験内容、そして独学と通信教育のメリット・デメリットについて解説しました。
もし宅建に興味があるならば、この「16%」という数字にひるむことなく、合格に向けたチャレンジをしていきましょう。記事の後半では「宅建に1発合格する勉強ロードマップ」も紹介しました。きっと参考になるはずです。
皆さまの合格をお祈りしています。
不動産業界で転職をご検討の方!
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