銀行系不動産会社とは?三井・住友・みずほ系列別に会社を紹介!
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「銀行系不動産会社」は、銀行が実質的に経営している不動産会社です。
しかし「銀行が経営している」という点において、どことなく「敷居の高さ」を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
街の不動産屋なら、ビルの1階に店舗を出しているところがほとんどです。外から中の様子も見えるようになっていますが、銀行系不動産会社の場合、ビルの2階以上にオフィスがあるという会社も珍しくありません。
そこで今回は「銀行系の不動産会社とは?」「普通の不動産会社と何が違う?」といった疑問をおもちの方のために、銀行系不動産会社の全体像や仕事内容を解説します。
また、銀行系不動産会社で働くことのメリットやデメリットもまとめました。この記事を読めば、不動産業界への転職を考える上でも参考になるはずです。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
目次
1.銀行系不動産会社とは
「銀行系不動産会社」とは、銀行が実質的に経営している不動産会社のことを指します。「実質的に」というのは理由があります。
まず歴史的に見ると、今まで銀行には「他業禁止」のルールが課せられていました。銀行法の規定により「銀行業務」以外の他業を営むことができなかったのです。
そして、事業会社への出資上限は5%(持株会社の場合は15%)と定められ、それを超える出資は認められませんでした(議決権取得等規制)。
この規制が緩和され、一部の非上場企業に限定して100%出資が可能となったのは、2021年5月に「改正銀行法」が成立してからです。
しかし「不動産業」については、進出可能な業種の対象になっていません。つまり銀行は今でも「不動産業を営むことが許されていない」ということになります(信託銀行は除く)。
銀行の不動産業参入、改正銀行法でも禁止―金融庁指針、全宅連・坂本会長が見解 | 不動産経済オンライン
しかし今回の記事で紹介するように、「銀行系不動産会社」には古い歴史をもつ会社がたくさんあります。
「矛盾するではないか?」と思われるかもしれませんが、今回紹介する「銀行系不動産会社」は、銀行が関連会社や親密会社を活用することによって株式を支配し、銀行のOBが経営陣に入るというかたちで実質的にグループ化しているものをいいます。
少し複雑に感じるかもしれませんが、つまりは「銀行が実質的に経営している不動産会社」ということになります。
なお「銀行系不動産会社」は銀行の富裕層顧客にアプローチができるため、
- 非公開物件の情報を多くもっている。
- 不動産売却の専任媒介契約を取りやすい。
などの特徴があります。また、住宅ローンを組むときには系列銀行を紹介することが多いです。
このように、銀行系不動産会社が他の不動産会社と異なるのは「銀行と密接につながっている」という点です。
1-1.仕事内容
銀行系不動産会社の仕事内容は、他の一般的な大手不動産会社と変わりません。
先ほども説明したとおり、銀行系不動産会社の特徴は「銀行の顧客と密接につながれる」という点です。そのため、銀行の顧客の不動産売買をお手伝いすることが多いです。
顧客と強い接点をもつ銀行の場合、「不動産を売りたい」「不動産を買いたい」といった顧客の声が拾いやすくなります。それらの情報をもとにして、適切な提案につなげていくのが銀行系不動産会社のメインの仕事です。
ただし後ほど紹介するように、銀行によっては多数の不動産会社を抱えているところもあります。たとえば3大メガバンクの場合、次のとおりです。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(7社)
- 三井住友フィナンシャルグループ(8社)
- みずほフィナンシャルグループ(6社)
これだけ多くの不動産会社があるのは、今までに銀行の合併が続いてきた反面、抱えてきた不動産会社にはほとんど合併が起きなかったことが背景にあります。
こうしたグループの場合、銀行からの情報は複数の不動産会社に分散されます。その結果、銀行からもたらされる案件だけでは、思うような利益が出せない会社もあらわれます。
そのため、一般的な不動産会社と同じように、自前で営業活動をすることも求められます。
なお、不動産売買の仲介会社への転職のコツについては、次の記事を参考にしてください。業界や職種、向いているタイプ、履歴書の書き方や面接対策などを解説しています。
不動産売買仲介会社へ転職を成功させるには?志望動機の書き方や面接対策も詳しく解説! |宅建Jobマガジン
2.銀行系不動産会社で働くメリット
銀行系不動産会社について解説してきました。今度は、銀行系不動産会社で働くメリットについて見てみましょう。次の3つのポイントを紹介します。
- 集客面に強みを持っている
- 年収が高い傾向にある
- 働きやすい環境が整っている
2-1.集客面に強みを持っている
まず1つ目のメリットは「集客面に強みを持っている」ということです。
銀行系不動産会社は、銀行顧客との密接なつながりがあります。銀行からの紹介案件がメインとなるため、集客力は絶大です。
銀行の顧客の不動産売買をお手伝いすることになりますが、とくに信託銀行の場合は富裕層が多いため、投資用不動産などの高額な物件を扱うケースも増えてきます。
一方で、前述したとおり、銀行からの案件だけではノルマが達成できない会社もあります。また新人の場合は、銀行からの案件を任せてもらえないことも多いです。
自分で営業して案件をとってくる必要もありますが、とはいえ「銀行」には大きなブランド力があります。中小の不動産会社に比べれば、はるかに有利に集客を行うことができます。
ただし細かい相違点としては、銀行系なのでコンプライアンスに厳しいところがあります。そのため中小の一部の不動産会社が行うようなグレーな集客手法が使えないという難しさはあります。
2-2.年収が高い傾向にある
2つ目のメリットは「年収が高い傾向にある」ということです。とくに「基本給」の部分が高い傾向にあり、年収1,000万円台の人も少なくありません。
「成果に応じたインセンティブ」は大きくないですが、基本給が高いので安定した高収入が期待できます。
なかでも、みずほ銀行系のヒューリックは高年収企業として知られています。同社の平均年収は1,708万円で、上場している不動産企業の年収ランキングでも第2位です。
不動産大手の三菱地所が「第3位で平均年収1273万円」という数字と比べると、かなりの高年収であることがわかります。詳しいことは以下の記事を参考にしてください。
ヒューリックの平均年収だけでなく、同社で働くのが向いている人のタイプについても解説しています。
ヒューリックの平均年収が高い理由とは?20代で1000万円稼げる理由とは |宅建Jobマガジン
2-3.働きやすい環境が整っている
3つ目のメリットは「働きやすい環境が整っている」ということです。なかでも福利厚生の充実さが目立ちます。
中小の不動産会社の場合、ノルマが厳しかったり、休みが取れないなど「激務」な環境の会社も少なくありません。しかし銀行系不動産会社の場合、「銀行系」ということもあり、労働環境がきちんと整備されています。
たとえばワークライフバランスの観点からしても、暦通りの休みをとることができ、有給休暇の取得も取りやすい傾向にあるようです。
また「銀行系」ということでコンプライアンス重視の姿勢が強いため、セクハラやパワハラ、マタハラなどへに関する教育などもしっかりしています。「働きやすい環境」を大切にしたいなら、銀行系不動産会社に注目するとよいでしょう。
3.銀行系不動産会社で働くデメリット
銀行系不動産会社で働くメリットを紹介してきましたが、逆にデメリットとしてはどんな点があるのでしょうか。ここでは次の2つのポイントを解説します。
- スピード感が無い
- 社内政治が大変
3-1.スピード感が無い
まず1つ目のデメリットは「スピード感が無い」ということです。
銀行系ということから「コンプライアンス遵守」の傾向が強く、さまざまな点でチェックが多くなることが主な原因です。
契約に必要な「調査レポート」や「社内の稟議書」も量が多く、通常の会社なら数日で終わる作業が、銀行系不動産会社なら1週間以上にもおよんでしまうというケースもあります。
また、とくに銀行の大手顧客の紹介案件の場合は失敗が許されません。トラブルを回避するため、チェックも膨大になります。
ただし上記のような背景とは別に「おっとりした営業マンが多い」との声も聞かれます。
3-2.社内政治が大変
2つ目のデメリットは「社内政治が大変」ということです。
銀行系不動産会社の営業マンにとって、最も重視しなければいけないのは「社外での営業活動」ではなく「社内営業」や「グループ内営業」だと言われています。
前述のとおり、銀行系不動産会社の特徴は「銀行の顧客の紹介が得られる」という点です。そのため「いかにして優良な顧客を紹介してもらえるか」が重要になります。
優秀な営業マンになるためには、以下のような点も求められます。
- 銀行の本部とのパイプづくり
- 上司に好かれるための工夫
- フォア・ザ・バンク(銀行のために)の精神
とくに幹部職のポストは「銀行OBの天下り先」である場合が多く、出世争いという意味でも「いかにして上に好かれるか」という要素が強くなるようです。
4.銀行系不動産会社とは【会社一覧】
最後に、銀行系不動産会社にはどのような会社があるのかを見ていくことにしましょう。
会社の数が非常に多いため、
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(7社)
- 三井住友フィナンシャルグループ(8社)
- みずほフィナンシャルグループ(6社)
という「3大メガバンク」の系列ごとに分けて紹介します。
4-1.三菱UFJフィナンシャル・グループ系列(7社)
三菱UFJフィナンシャル・グループは、世界最大の金融グループです。2005年に「三菱東京フィナンシャル・グループ」と「UFJホールディングス」が合併して誕生しました。
さまざまな銀行が合併してきましたが、前身には東京銀行と三菱銀行の2行からなる「東京三菱銀行」、そして、三和銀行と東海銀行の2行からなる「UFJ銀行」があります。
- 株式会社丸の内よろず(三菱銀行系)
- 千歳コーポレーション株式会社(三菱銀行系)
- 東洋不動産株式会社(三和銀行系)
- オークラヤ 不動産株式会社(三和銀行系)
- オークラヤ住宅株式会社(三和銀行系)
- 新東昭不動産株式会社(東海銀行系)
- 綜通株式会社(東京銀行系)
4-2.三井住友フィナンシャルグループ系列(8社)
三井住友フィナンシャルグループは、2002年に誕生した金融持株会社です。日本で第2位の規模をほこります。
前身としては、住友銀行、さくら銀行、太陽神戸銀行などがあります。以下のような不動産会社があります。
- 京阪神ビルディング株式会社(住友銀行系)
- 京阪神興業株式会社(住友銀行系)
- 銀泉株式会社(住友銀行系)
- 泉友株式会社(住友銀行系)
- 室町不動産クリエイト株式会社(三井銀行系)
- 室町殖産株式会社(三井銀行系)
- 神戸土地建物株式会社(神戸銀行系)
- 株式会社陽栄ホールディング(さくら銀行系)
4-3.みずほフィナンシャルグループ系列(6社)
みずほフィナンシャルグループは、2003年に発足した金融持株会社です。前述の三菱UFJ、三井住友に並ぶ「3大メガバンク」の一つとして位置づけられています。
前身には、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行などがあります。第一勧業銀行の前身は、日本勧業銀行と第一銀行です。
- 安田不動産株式会社(富士銀行系)
- ヒューリック株式会社(富士銀行系)
- 東京建物株式会社(富士銀行系)
- 中央日本土地建物株式会社(日本勧業銀行系)
- 日鉄興和不動産株式会社(日本興業銀行系)
- 清和綜合建物株式会社(第一銀行系)
5.「銀行系不動産会社」のまとめ
「銀行系不動産会社」について解説してきました。
「銀行が経営する不動産会社」というと、どうしても遠い存在に感じてしまう人もいるはずです。しかし仕事の内容については、通常の不動産会社とそれほど変わらないということがおわかりいただけたはずです。
もちろん「働くメリット」「デメリット」で紹介したとおり、銀行系不動産会社ならではの相違点もあります。
人によって「向き・不向き」もあります。不動産業界での転職を考えているなら、「自分にあった職場環境かどうか」という観点から自己分析を進めてみることをオススメします。
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