B工事は費用が高くてトラブルが多い?工事範囲や原状回復についても解説!
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「ここまではA工事なのでオーナーさんの負担ですが、その他はC工事なので入居者さんの負担です。」
「分電盤や厨房給排気工事設備の設置は、A工事ではなくB工事に当たります。」
オフィスの移転先の内装工事の打合せ現場で、このような会話を耳にしたことはありませんか?。
一般の人々はあまり耳にしない建築業界の専門用語になるのですが、何度かオフィス移転の経験がある方なら、お聞きになったことがあるかもしれません。
一般の方にしてみたら、何のことやら分からない用語ですが、実はオフィスや店舗などの内装工事を依頼する上では「ABC工事」の区分はとても重要なものなのです。
知らないでいると、後で思わぬ費用がかかってしまったり、トラブルに巻き込まれてしまう場合もありますので、ぜひ、この機会にABC工事、特にトラブルが多いとされるB工事について、知ってみてはいかがでしょうか。
これから、詳しく解説をしていきます。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
目次
1.B工事とは?A工事・C工事との違い【資産区分も解説】
B工事とは、いったい何を意味する用語なのでしょうか?
A工事、B工事、C工事、ともに一般の人々には、あまり聞きなれない用語かもしれません。
これらは、工事の区分のことを指しており、内容にそれぞれ違いがあるものです。
ちなみに、B工事のことを英語では「B construction」と表現します。
ここでは、A工事、B工事、C工事の概要について、簡単に解説をしていきましょう。
1-1.A工事、B工事、C工事とは
オフィス移転時には、移転先で工事が発生する可能性があり、誰が工事をして、誰が費用を負担するのかが違ってくるもの。
その際には、誰が業者に発注して、誰が費用を払うのかということを理解しておかなければなりません。
そのため、わかりやすく3つに分けており、表にすると下記のようになります。
発注 | 費用負担 | 業者の選定 | 内容 |
---|---|---|---|
A工事 | 建物所有者 | 建物所有者 | 共用部の設備、トイレ、エレベーターなど |
B工事 | 賃借人 | 建物所有者 | 専有部内でビルに関わる設備工事、防災、電気、空調など |
C工事 | 賃借人 | 賃借人 | 専有部内の内装工事、電源、電話LAN、什器等 |
テナントとして場所を借りるとなると、その部屋をそのまま使うということができない場合が多く、何かしらの工事が必要になってきます。
その際に、工事の負担金について明確に取り決めをしておかないと、「これは借り主が使うところだから、借り主が費用を負担して工事をするのではないか」「いや、これはビル全体に関わる部分だから、オーナーの負担ではないか」と、もめる原因になりかねません。
そのためにも、工事を発注する時点で、建物所有者と賃借人との間で、きちんと負担割合を定めておくのが重要です。
1-2.B工事の会計処理は減価償却処理の可能性が高い
B工事は、法律や会計の扱いが特殊であるのが特徴です。
会計上の処理方法や、民法上の扱いが違うので注意をしてください。
まず、会計処理方法についてですが、B工事の場合は減価償却処理の可能性が高くなります。
B工事は、賃借人が費用を負担するため、経費計上と会計処理をするのは当然賃借人です。
この場合、工事費用の金額は大抵の場合、高額なものになり、減価償却による会計処理を行うことになりますが、償却資産税としての扱いが必要になるため、他の少額の経費とは分けて処理をしないといけません。
方法としては、「建物もしくはほかの固定資産勘定」の勘定科目に入れて会計処理をします。
資産自体はオーナーのものであり、物件を借りている期間は賃借人が利用しますが、契約期間が終了したらオーナーに返却することになります。
工事対象となる建物はオーナーの所有物なので、償却資産に算入するのは一見、違うような気もしますが、賃借人が工事費用を捻出している場合は、少なくとも会計処理上は、償却資産として扱う必要がありますので注意しましょう。
償却資産となるということは、一括での経費計上ができず複数年に分けて、減価償却をしないといけないことを指しており、それぞれの工事内容に応じて耐用年数を出し、その年数で減価償却をすることになります。
耐用年数が過ぎると経費にならなくなりますが、そこまでは計上が可能です。
1-3.B工事は法律の扱いも特殊
一般に、工事区分による法律の扱いは下記のようになります。
- A工事=オーナーが金銭負担して設置する工事で、民法上の権利はオーナー所有
- B工事=テナントが金銭負担して設置する工事で、民法上の権利はオーナー保有
- C工事=テナントが金銭負担して設置する工事で、民法上の権利はテナント保有
この中で、大変特殊な取り扱いになるのがB工事となります。
B工事の例としては、テナントの要望により追加工事となった空調設備や厨房設備などの追加負担分です。
このようなものについては、法律と会計の扱いが特殊になり、民法上の権利においてオーナーの所有物であるB工事部分は、テナントの賃貸借契約が終了したり解約したりする際に、テナント側で引き取ることはできません。
しかし、テナントの要望により設置されたものであり、支払いもテナントが負担しているため、B工事分はテナントの会計上の帳簿に計上されるのです。
そのため、テナントが退去したときに帳簿上に残額があるとしても、今後は使用できないために全て帳簿から除去(除却)することになります。
このように、オーナー側では民法上の権利として保有していますが、会計上は保有していない点に留意するようにしてください。
また、テナント退去時は、会計上テナントからオーナーに資産が譲渡されると考えがちですが、資産の譲渡契約が締結されることはほぼありません。
理由としては、テナントがオーナーに対して造作買取請求権がないことや、すでにB工事部分の民法上の権利は、オーナーが保有していることなどが挙げられます。
1-3.原状回復とは
通常、賃貸借契約が終了すると、賃借人はオーナーに対して「原状回復義務」の実行に着手しなければなりません。
一般的に原状回復とは、「現在の状態」から「入居時」の状態に戻すことを指しており、賃貸住宅のような貸借物を借りて以降に生じた損傷、損害を回復する義務ということになります。
そのため、店舗物件などの事業用契約でも、原状回復義務が定められていることがほとんどです。
たとえば、旧オフィスから新オフィスに移転する際には、旧オフィスの状態を元の状態に(スケルトン状態)戻しておかなくてはなりません。
このような工事が「原状回復工事」というものです。
原状回復工事を行うにあたっては、賃借人は「どこまで工事の責任を負担しなければならないのか」ということが争点となります。
一般の賃貸物件を例にすると、個人の住んでいる各部屋の責任は賃借人が負担し、電気や水道などの住宅設備の故障・破損、外壁の損傷など建物本体に付随するものについては、オーナーが責任を負うのです。
したがって、どの部分の原状回復工事となるのかによって、責任の所在は変わってきます。
そのようなことを明確にする基準の工事区分がA工事、B工事、C工事となり、それぞれの違いをきちんと確認しておくようにしましょう。
2.A工事とは?【対象範囲・費用負担】
A工事はビル本体の工事を指し、主にビルの構造躯体や共用の施設(外装、外壁、屋上、共用トイレ、エレベーター、階段、消防設備、排水設備)などがこれにあたります。
建物の資産価値の維持に関わる工事のため、費用負担と業者の選定を行うのはオーナーです。
工事したオフィス内の箇所や物の所有権は、もともとの所有者であるオーナーが保有しています。
テナント入居者には、あまり関係がない工事ではありますが、テナント入居部分に支障がある場合は、オーナーに修繕義務がないとしても、交渉すると負担してもらえる可能性もあります。
2-1.注意点
「自分の負担じゃないから値段など関係ない」と思う方もいるかもしれませんが、もともと工事費は賃料収入から捻出されているもの。
修繕費が高額になると、オーナーが賃料を上げる可能性もあるため、監視の目を光らせる必要もあります。
3.B工事とは?【対象範囲・費用負担】
オフィスに入居する際の工事には、一般的にB工事が多いとされています。
B工事とは、専有部分ではあるものの、ビル全体に関わると判断される部分の工事のことです。
工事をする箇所である空調設備、排水、排気、防水設備、分電盤など、ビルの建物に直接かかわる部分のため、賃借人が工事費用を負担するとしても、自分で業者を指定することはできません。
ビルはオーナーの大切な資産であるため、オーナー自身が工事業者を選定して実行に移します。
工事費用は賃借人が負担しても、オフィス内の箇所や物の所有権は、A工事同様、所有者であるオーナーのものです。
3-1.注意点
支払い者と所有者が違うB工事は、実は1番トラブルが多い工事と言われています。
業者の選定は所有者であるオーナーが行うため、オーナーが指定した業者が行いますが、他に競合他社がいないため競争原理が働かず、費用が高くなることが多いからです。
約2倍程度は普通で、酷いときには4倍にもなることがあります。
トラブル対策としては、「オーナーに費用交渉をする」「発注業者に見積してもらい交渉する」などがあり、オーナーや、オーナーが指定した業者としっかり相談してから工事をするようにしてください。
4.C工事とは?【対象範囲・費用負担】
C工事とは、ビル全体の安全性などに影響を与えにくい、店舗のオフィスなどの内装工事を指しています。
クロス張替え、インターネット配線、重機設備、照明器具、電話工事など、建物本体にはそれほど影響がない部分を工事するのです。
工事費用は賃借人が負担し、賃借人が業者を選定して工事ができます。
所有権は賃借人が保有し、会計上の処理は、借方に「建物もしくはほかの固定資産勘定」、貸方に「普通預金」などと計上し、減価償却は翌年から出来るのが特徴です。
4-1.価格を下げる方法
オフィス移転の際にかかる工事価格を下げるには、なるべくC工事の割合を増やして、数社の業者から見積もりを取り、価格交渉をするのがポイントです。
また業者は、依頼したい工事の経験豊富さをしっかり見ることも重要ですから、業者が開設しているホームページなどの施工写真や記事などをチェックして、事前に腕前を調べておくのをおすすめします。
なお、その際に、他のユーザーの口コミなど評価も参考にすると良いでしょう。
5.「B工事」のまとめ
今回は、オフィス移転工事の際に利用することになる「B工事」について、A工事、C工事との違いなどを中心に解説をしていきました。
スケルトン状態のテナントを、事業用として使用するには、内装工事だけでなく、分電盤や厨房給排気工事、防災・空調設備など、建物本体にかかわる工事も必要な場合があります。
ただ、工事費用の支払いとテナントを利用するのが賃借人であり、建物の所有者がオーナーのため、きちんと確認をしたり打ち合わせをしたりしないと、思わぬトラブルが発生しかねません。
オーナーと関係を良好に保ちながら、工事費用も適正な価格で抑えられるよう、オフィス移転をする際には、人任せにせず、自社できちんとリサーチしておくことが重要です。
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