ネットワーク工程表は施工管理の重要スキル!書き方・出題範囲・勉強方法などを解説
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「ネットワーク工程表」というのをご存知でしょうか?矢印と数字入りの丸を結んでいくチャートのような図ですが、施工管理では重要な役割を果たします。
「ネットワーク工程表とは何?」
「勉強方法、問題例、アプリなどを知りたい」
技能試験でも書き方や用語が出題され、読み書きできなければ現場で仕事が出来ないものでもあります。詳細が気になりますね?
そこで今回は「ネットワーク工程表」を分かりやすく解説します。分野を問わず、施工管理に関わる人必須の知識です!
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
目次
1.ネットワーク工程表とは?【利用するメリット】
ネットワーク工程表の用途は建設現場で使用される工程表です。建設現場には建物の基礎・内装・電気設備・配管・外交の土木他、さまざまな工事が行われます。これらを統括するプロジェクト管理に用いられるものです。
(ネットワーク工程表の実物掲載願います)
関係ない人には「なにそれ?」で、見たこともなくとも、施工管理では欠かせないものです。
1-1.使うメリット
さまざまな工事の関係性(行う順番・日数等)を視覚化することで工程を明確化し、想定外の状況にも調整ができる体制を作ります。
これらの「交通整理」は複雑を極めるのですが、共通の表現でだれもが理解できる仕様を作ることで、工程検討の作業が明確化し効率化しました。
ビル・マンションなど、大型工事で多くの人が関わる作業ほど、この工程表は効果を発揮し、熟練の腕にかかれば、複雑大規模な工事も、「ここ」に着手するまでには「ここ」をここまでやってなければ、などが分かるようになります。
また、クリティカルパスと呼ぶ「重要な工程」に対し重点的な管理を行うことで、工期短縮やコスト削減を実現することも可能です。
この工程管理はIT業界で大規模なプログラムの構築作業などでも盛んに用いられ、人日や見積もりの管理に活躍しています。
また最近は事務系のオフィスワークなどにも、世界共通のBPM(ビジネスプロセスモデリング)などを使って工程の合理化やコスト削減の指標となる動きが進んでいますね。
2.ネットワーク工程表の出題問題とは?
1級電気工事施工管理技士の試験は、工程管理の部分で「ネットワーク工程表」に関する問題が出題されています。このような形でネットワーク工程表の作成能力や、用語への理解を問われます。
2-1.出題例
まずは問題を読み解いて、実際に工程表を記述する問題です。
(平成23年 実地試験)
下記の条件を伴う作業から成り立っている工事のアロー形ネットワーク工程について,次の問に答えなさい。
1 所要工期は,何日か。
2 作業Gの所要日数が3日増えたとき,作業Mの最遅完了時刻は,何日遅れるか。
<条件>
- 作業A,B,Cは,同時に着手でき,最初の仕事である。
- 作業D及びEは,Aが完了後着手できる。
- 作業Fは,B,C,Dが完了後着手できる。
- 作業Gは,Cが完了後着手できる。
- 作業H及びJは,Fが完了後着手できる。
- 作業Ⅰは,E及びFが完了後着手できる。
- 作業Kは,Gが完了後着手できる。
- 作業Lは,Jが完了後着手できる。
- 作業Mは,H及びKが完了後着手できる。
- 作業Nは,Ⅰ,L,Mが完了後着手できる。
- 作業Nが完了した時点で,全工事は終了する。
- 各作業の所要日数は,下記のとおりとする。
A=3日, B=6日, C=5日, D=4日, E=7日, F=6日, G=4日,
H=5日, I=8日, J=5日, K=7日, L=4日, M=5日, N=5日
平成23年 1級電気工事施工管理技術検定試験
学科試験では理解を問うのですが、例えばクリティカルパスの問題は選択形式で、このような形で出題されています。
(令和2年 学科試験 No .71)
アロー形ネットワーク工程表のクリティカルパスに関する記述として、不適当なものはどれか。
- クリティカルパスは、必ずしも1本の経路とは限らない。
- クリティカルパス上のアクティビティのフロートは、0(ゼロ) である。
- クリティカルパス上では、各イベントの最早開始時刻と最遅完了時刻は等しくなる。
- クリティカルパスは、開始点から終了点までのすべての経路のうち、最も短い経路である。
※正答肢(誤り)は4です。
施工管理技術検定では、土木・造園などでも毎年のように出題されており、建築分野だけでなく建設全般の関係者に理解が重要であることが分かります。
2-2.勉強方法
ネットワーク工程表の勉強は、全体の流れと用語を覚え、次に書き方の実践というふうに進みます。まずは全体の流れです。
1.日程調整
工程表作成を通して手順の相互関係を検討し、各アクティビティに標準の作業日程(時間)を入れる段階をプランニングといい、計画全体を所定の目標に合わせていくことをスケジューリングといいます。
2.フォローアップ
実際に現場が走り始めると、設計変更・天候に伴う遅延、資材納品の遅延、順調に進んで現場の方が前倒しになるなど、計画する際に予測できない工事の進行,遅れるが起こります。この変動に伴う計画の修正操作をフォローアップといいます。
当初の計画見積りも大事ではありますが、このフォローアップが工程管理でもっとも重要と言えるかもしれません。
3.配員計画(マンパワースケジューリング)
技術者・労務者を経済的・合理的に各作業の作業時刻,人数などを決めることを配員計画といいます。
山積み,山崩し
各作業に必要となる作業数(使用人員)を合計し,柱状に図示したものが山積み図で,この山積み図の凹凸をならし,毎日の作業を平均化することを山崩しといいます。
最小費用(エキストラコスト)
時間を短縮すると費用は増加します。標準作業時間を限界まで短縮したときの作業時間を特急作業時間(クラッシュ・タイム)といいます。
※基礎的な部分はこのサイトが参考になります。
【施工管理技士試験で必須】ネットワーク工程表問題の書き方・解き方
※アプリで書いてみる:エクセルをベースにしたフリーのアプリで、試してみましょう。(少し古いものなので、動作環境には注意してください)
エクセル工程図:これひとつで工程図の全作業(工程表作成、ネットワーク図・バーチャート作図、工種入力等)が簡単にできる(Vector)
※2020年版 電気通信工事施工管理技士 突破攻略 1級2級実地試験編
ネットワーク工程表の解き方が、端的に分かりやすく書かれておりオススメ。他の参考書では理解できづらかった【最遅完了時刻】も「すぐ理解できました」の声あり。(最新版を入手してください)
3.ネットワーク工程表の書き方
まずこちらの動画が、非常に分かりやすく要点を網羅されています。
手書き・エクセル・アプリなど、書くには様々な方法がありますが、書き方に変わりはありません。以下、基本的なマナーと用語です。
イベント(結合点) | 数字の書き込まれている〇印。〇の中には正の整数が記入され、左から順に数字が入っていく |
---|---|
アクティビティー(作業) | 〇と〇を繋ぐ矢線(アロー)で示す |
ダミー | 作業の順序を規制するために使われ、所要時間がゼロの擬似作業 |
最早開始時刻 | 作業を最も早く開始できる時刻(最早結合点時刻とも言う)
※時刻とは、ネットワークの時間の単位によって異なるが、現場で使用するネットワーク工程表では日数のことを指す。 |
最早終了時刻 | 作業を最も早く終了できる時刻 |
最遅開始時刻 | この時刻までに作業を開始すれば工期(総作業日数)に遅れが発生しない時刻(工期から逆算して遅くとも開始しなければならない時刻) |
最遅終了時刻 | この時刻までに作業を終了すれば工期(総作業日数)に遅れが発生しない時刻(最遅結合点時刻とも言う) |
クリティカルパス | 重要な経路、つまりは遅れられない最重要管理経路(作業)のこと。クリティカルパスは必ずしも1本であるとは限らない。 |
フロート(スラック) | 余裕日数。フロート(スラック)が0の結合点はクリティカルパス上の経路となり、最早結合点時刻と最遅結合点時刻は同じになる。 |
トータルフロート | 遅れても工期(総所要日数)に影響を与えない余裕日数。 |
フリーフロート | 遅れても次の作業に影響を与えない余裕日数。 |
3-1.書き方
主な書き方は以下です。ルールに沿って作成し、共通で理解できる工程表とします。
基本ルール |
|
---|---|
1.工事内容洗出し 前後を関連付け |
プロジェクトにおいて必要な工事を洗い出す。複数の建築会社によって行われる場合は専門工事ごとに洗い出すと作業が把握しやすくなりる。次に、各工事の依存関係を考慮して前後を関連付ける。
たとえば、「作業Aが完了したら作業Bを開始、作業Bが完了したら作業C・作業Dを開始」というように記載。それぞれの流れを矢線で結び、結合部にはイベント番号を記載。 別ルートの工事でありつつも、前後の依存関係が発生する工事(作業Bだけでなく、作業Cを終えなければ作業Dを開始できないなど)については、仮のイベント番号を追加し、ダミー(点線矢印)でつなぐ。 |
2.各工事の所要時間記入 スケジューリングする |
ネットワーク上の関係性を考慮しながら、所定の期日に収まるように各工事における標準の所要日数を見積もる。
ここで見積もった所要日数は、アクティビティ(矢線)の下に記載。ただし、複数ルートの工事が終了してから次の工事に移行する場合は、各工事の標準所要日数に誤差が生じることがある。 標準の所要日数がどこかのアクティビティで超えてしまう場合は日数の大きいほうを採用する。それぞれのルートにおける最長の所要日数を選択して調整することで、プロジェクト全体における総所要日数を導きだす。 |
3.進行状況に応じて フォローアップを行う |
様々な理由で工事の進行が遅れる、あるいは早まるケースに対応し、最初に設計した工程表から変更があった場合は、実際の進行状況と当初の計画を比較して、アクティビティや所要日数を修正する。
フォローアップではアクティビティごとの所要日数の見直しや、新アクティビティの追加などを検討する。計画変更後のクリティカルパスを早い段階で確認すれば、遅延を最小限に抑えるための対策が講じられる。 工事遅延につながるトラブルが現れたら、すぐにフォローアップを実施すること。 |
4.合理的な配員計画検討 | 各工程において合理的な計画が不可欠。工事内容や所要日数、コストなどを考慮し、必要な配員計画を考える。
技術者の人数や作業時間をはじめ、機材や資材を平均的に配置することが重要。適切な配置で、人員不足やコスト増加の防止につながる。 |
このように、記法のルール把握の他、状況ごとに応じて「何が重要か」理解をしていることが、ネットワーク工程管理攻略のカギとなります。
4.「ネットワーク工程表」のまとめ
以上、「ネットワーク工程表」というテーマで解説をしました。工程管理が何か、ネットワーク工程管理の特徴は何か、理解をいただけたでしょうか?
状況に応じて何が重要かの理解や、工程の人日出し、フォローアップの際のアイデアや仕切り方は、経験をつむこと=現場各工事の内容を知っていくにつれて完成度が上がってゆくものでしょう。
その出発点として、基礎的な考え方の体系を身につけられるのも、ネットワーク工程管理の利点と言えるでしょうね。
- 「ネットワーク工程管理」は施工管理の現場で指針となるチャート。建設・電気・土木などジャンルをまたいでプロジェクトの総合管理を行う。
- 「ネットワーク工程管理」は。施工管理技能試験にもたびたび出題され、学科・実地ともに記述の理解力を問われる。
- 用語・記述ルール・考え方を通して見方・書き方をマスターしよう!
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