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河川工事とは?工事の手順・種類・時期・注意点を徹底解説!

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2018年7月に西日本を襲った集中豪雨では、河川が氾濫して大きな被害が出ました。そのため、全国各地で災害防止対策として河川工事が行われています。

河川工事は聞きなれない言葉でしたが、「あつまれどうぶつの森」によって、どのような工事であるか認知されるようになってきました。この記事を読んでいる方の中には、河川工事に携わりたいと思っている方もいるかもしれません。

「河川工事は、どのような工事なのだろうか…?」
「上流と下流で工事内容は変わるのだろうか…?」
「河川工事は、どのような役割を担うのだろうか…?」

このような疑問を抱いている方のために、この記事では河川工事について分かりやすく解説します。

監修者棚田健大郎

この記事・サイトの監修者

棚田 健大郎

保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有…続きを読む

不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。

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保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有…続きを読む

不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。

1.河川工事とは?

1.河川工事とは?

河川工事とは、大雨による河川の氾濫を防止するため、堤防強化や河川掘削することをいいます。

河川工事は土木工事の一種です。河川法で工事方法について定められており、景観や動植物の生息地であることを踏まえた環境保護を考慮しながら工事を進めていくことが定められています。

河川工事が行われている現場を確認したい場合は、都道府県庁の建設局「河川工事情報」で確認できます。

河川工事は天候によって大きく左右されるため、高度な知識と技術が求められ、施行管理技士の資格が必要となります。興味がある方は、施行管理技士についての記事「施行管理技士とは?仕事内容・試験難易度・年収について解説!」もご確認ください。

1-1.河川工事の歴史

明治時代初期(1868年)の物質輸送は河川舟運で行われていました。

河川舟運とは、物資や旅客を運搬する輸送方法のことをいいます。そのため、舟運に必要な灌漑用水を蓄えるために低水工事が行われていました。しかし、明治18年(1885年)には淀川洪水が発生。その他にも大水害が発生しました。

明治5年(1872年)には鉄道開業し、物質輸送方法も鉄道へ移行しました。天候などで左右される河川舟運は需要がなくなり、洪水対策を目的とした高水対策が行われるようになったのです。

2.河川工事の種類

2.河川工事の種類

河川工事は、河川の上流・中流・下流の場所によって工事内容が異なります。

どのような工事があるかを把握しておきましょう。ここでは、河川工事に関する種類をご紹介します。

2-1.砂防工事【上流部】

砂防(さぼう)とは、土砂災害を防止する手段の1つです。土砂災害防止を目的として、渓流や河川に砂防ダムの構造物を設置する工事です。広義の意味では、集落上部の斜面崩壊対策や地滑り対策、火山性災害の防止対策も含まれます。

2-2.河道掘削工事【上流部・中流部・下流部】

稼働掘削工事は、洪水時の水位を低くするために、河道を掘って水が流れる面積を広くするための工事です。

作業の中でも、川底にある土砂を取り除く作業を「浚渫(しゅんせつ)」といいます。浚渫で得た土砂は天日乾燥させて有効活用することが河川法で推奨されています。

2-3.築堤工事【中流部・下流部】

洪水による被害を最小限に抑えるために、盛土などで堤防を築きます。

上流部には堤防がありますが、下流部には堤防がないことが多いです。このような堤防がない地域を洪水被害から守るため、築堤工事を行います。(※盛土以外にコンクリートや鉄の板を使用する場合は多いです。)

2-4.床止め工事【中流部、下流部】

河川の流れや波の影響によって、河床の土砂が洗い流されることを洗堀(せんくつ)といいます。

床止めは洗堀を防止して、河川の勾配を安定させるために、河川を横断して設けられる施設です。床止めに落差があるものを「落差工(らくさこう)」と呼び、落差がないものを「帯工(おびこう)」と呼びます。

2-5.樋門工事【中流部、下流部】

樋門(ひもん)とは、河川が合流する場所の水位が高くなった場合に、逆流しないように設けるための施設です。

通水路の役割を持ち、中流部や下流部の河川が合流する場所に設置されます。

3.河川工事の用語

3.河川工事の用語

河川工事には、さまざまな専門用語があります。ここでは、基本的な用語をご紹介します。

・水位
水位の高さを意味します。指定したデータム(平面)を基準にした河川の表面の標高をいいます。

・流量
流量とは、河川が流れる量を意味します。一般的には、単位時間当たりにどれだけの量が流れたかを表します。

・基準地点
洪水や氾濫を防止するための計画を立てるときに、代表となる基準地点です。基準地点で基本高水流量や計画香水流量を定めて、河川工事が行われます。大きな河川では、複数の基準地点が設けられます。

・計画規模
洪水や氾濫の防止計画を作成するときに、対象地域の安全度を表すもので、河川工事の目標にもなります。一級河川の計画規模は1/100~1/200に設定されており、100年に1度の割合で発生する洪水水量を目標に整備されています。

・ピーク流量
ひとつの洪水の最大流量。洪水時に、河川の適当な場所で流量を計測するか、洪水の痕跡を調査して、その最高水位より推定されます。

・洪水調整量
人工的に建設した洪水調整用ダム、調整池、遊水地などに一時的に洪水水量の一部分を貯めることで、下流の河川に流れる水量を現象させることができます。洪水調整量とは、この減少した流量のことをいいます。

・計画高水流量
計画高水流量は、河道を設計する場合に基本となる流量で、基本降水を河道と各種洪水調整施設に合理的に配分した結果として計算される河道を流れる流量です。

・計画高水位
計画降水量が河川改修後の河道断面を流下するときの水位

4.河川工事の流れ・手順

4.河川工事の流れ・手順

河川工事を行う場合は、どのような手順になるのでしょうか?ここでは、河川工事の流れ・手順について分かりやすく解説します。

4-1.河川工事の許可の申請方法

洪水被害の防止のために河川工事(治水)、上流ダムの貯留・放流によって下流河川の流量を調整する行為(利水)、生活環境を向上させる行為(環境)を行う場合は河川法で制限されているため、河川管理者の許可を取得しなければいけません。河川の等級によって、河川管理者は異なります。

等級 河川管理者 概要
一級河川 国土交通大臣管理 最も重要とされている河川
二級河川 都道府県知事 公共の利害に関係する河川
準用河川 市区町村 本河川から分かれた末端の河川
普通河川 市区町村 河川法が適用されていない小河川

4-2.河川工事の許可で必要な申請書

河川法で制限されている河川工事を行う場合は、河川管理者から許可をもらわなければいけません。そのため、必要な申請書類を用意して提出します。

【必要な申請書】

  1. 許可申請書
  2. 工作物の新築改築除去
  3. 事業計画概要書
  4. 位置図
  5. 実測平面図
  6. 横断面図
  7. 構造図
  8. 公図の写し
  9. 土地登記簿謄本
  10. 土地使用承諾図
  11. 建築場所の写真
  12. 委任状(※建主の代理で工事を行う場合に必要)
  13. 印鑑証明書
  14. 他の行政庁の許可書等の写し

4-3.河川工事を行う際の注意点

河川工事は事前準備が大切です。一般的に、河川工事は水上で作業を行うため、工事用の仮設道路を盛土で作成します。仮設道路を作る場合は、雨が降って水嵩が増しオーバーフローしないように注意しなければいけません。また、大雨が降った際には、河川工事は行えないので、これらのリスクを見据えた工期スケジュールを計画しなければいけません。そのため、河川工事に携わる場合は、施行管理技士の資格が必要になるのです。

5.河川工事の安全対策【訓練内容】

5.河川工事の安全対策【訓練内容】

河川工事は、命に係わる危険があるため、徹底的に安全対策を行います。

例えば、クラウドロガー(無人監視システム)で水位の計測をして、水位が警戒基準値以上になったら、作業を中止するなどの対応が図られているのです。

また、緊急時の連絡先などが記載されている「携帯用安全マニュアル」を用意している会社もあります。一般的な訓練内容としては、以下のような訓練があります。

5-1.訓練内容

さまざまな安全対策が行われていますが、従業員に対する安全意識の訓練も必要不可欠です。

屋外において実技訓練等で体を動かして、視覚で危険を認知し刺激を与えることで、安全意識の向上を狙う企業も増えてきています。実際に行われる訓練内容としては、以下のような訓練があがります。

(1) 作業機械の危険性を体感
刈刃に接触した場合を想定して、ダミー人形をおいて体感訓練を実施。

(2) 熱中症対策の応急処置訓練
熱中症や骨折等の事故が発生した場合に、迅速に対処できるように実技訓練を実施。

(3) 水防作業の実技訓練
水防作業の所要時間や危険行動が学ぶ実技訓練を実施。

(4) クマ対策の実技訓練
クマに遭遇した場合を仮定したで襲撃時の対策訓練を実施。

(5) 自動車運転適性診断
交通災害防止のため、交通安全教育車を活用した運転適性診断を実施。

6.河川工事を受託している会社・ゼネコン

6.河川工事を受託している会社・ゼネコン

河川工事の受託会社は、主に以下の通りです。

受託会社名 業務実績
熱海建設株式会社 広瀬川長町地区漏水対策整備工事、北上川下流長面地区築堤工事、小山地区下流堤防整備工事、広瀬川右岸長町地区外堤防整備工事
第一建設株式会社 安倍川中野地区堤防補強工事、飯間谷川河川関係受託工事、巴川総合治水対策特定河川工事
株式会社小島組 三河港改修工事、総合治水対策特定河川工事、名古屋港

外港地区防波堤改良工事

株式会社平成建設 中小河川改修(特定治水)工事
株式会社takac 四日市市小牧町地内河川災害復旧工事、小島地内町単災害復旧工事、四日市市水沢野田町・水沢町他河川改修工事他

「河川工事」のまとめ

河川工事とは?工事の手順・種類・時期・注意点を徹底解説!

河川工事は、河川の等級や上流・中流・下流によって工事内容が異なります。

河川工事は、あまり聞きなれない言葉ですが、2018年7月に西日本を襲った集中豪雨では、河川が氾濫して大きな被害が出ました。そのため、全国で河川工事が行われており注目を浴びています。建設業界で転職を検討している場合は、河川工事を行っている建設業者であれば、安定的に仕事があるでしょう。

また、地域に貢献できる仕事なので、遣り甲斐を持って取り組めるはずです。ぜひ、河川工事に興味がある方は、今回の記事をお読みになって転職しようかどうかを良く検討してみてください。

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