不動産鑑定士は働きながら合格できる?可能性や勉強方法を解説【短答・論文・実務修習】
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「不動産鑑定士」の受験は難易度が高く、短答式試験・論文式試験の合格までで1年から3年、実務修習から最後の修了考査まで1年から2年かけて合格を目指す、長丁場のスケジュールです。
「働きながら試験勉強できる?」
「実務修習期間も社会人で続けられる?」
「費用はどのくらい?」
「時間をかけても取る価値はあるの?」
受験資格のない「不動産鑑定士」なので、様々な立場の人が様々な思いで、様々な工夫をしながら受験します。「みんなどうやっているのか」気になりますね?
今回は、働きながらの「不動産鑑定士」受験について見ていきましょう。長い戦いを乗り切る参考に、ぜひ最後までお読みください。
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目次
1.不動産鑑定士は働きながら合格できる?【難しすぎるのでは?】
学生のうちなら頭も柔らかいですし、社会に出る前に試験をパスし、実務修習に入れれば理想かもしれません。事実、対策講座や実務修習が履修できる大学などもあります。
しかし、学生の間に合格できる人はそう多くはないようです。(2018年時点で登録鑑定士のうち30歳未満は0.5%)
つまり、社会人になってから受験を志し、色々工夫しながらチャレンジしている人の方が多いということになります。
マークシート式の単答式試験に出題される法令の数だけで40前後と範囲が広く科目数も多いのが不動産鑑定士です。短答式試験に合格すると3か月後に論文式試験です。
民法、経済学、会計学など必要とされる知識の幅も広く、鑑定では数字を扱うため「数学」に強いことも必要で、「丸暗記」で対応できる内容のウエイトは、かなり下がります。
平成18年から受験資格が撤廃されたため、誰もが受験可能になったのですが、依然として受験者・合格者ともに、なかなか人数が増えない背景には、これだけの高いハードルがあるわけです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|
2006 | 4,605 | 1,160 |
2007 | 3,519 | 846 |
2008 | 3,002 | 678 |
2009 | 2,835 | 752 |
2010 | 2,600 | 705 |
2011 | 2,171 | 601 |
2012 | 2,003 | 616 |
2013 | 1,827 | 532 |
2014 | 1,527 | 461 |
2015 | 1,473 | 451 |
2016 | 1,568 | 511 |
2017 | 1,613 | 524 |
2018 | 1,751 | 584 |
2019 | 1,767 | 573 |
2020 | 1,415 | 468 |
2021 | 1,709 | 621 |
2022 | 1,726 | 626 |
2.不動産鑑定士を働きながら合格するのに必要な勉強時間
不動産鑑定士の2つの試験に合格して実務修習に入れる状態になるまでに要する勉強時間は、2000〜4000時間、人によっては5000時間かかると言われています。
短答式試験と論文式試験の間に3ヶ月あるため、その間も論文式試験の勉強期間となるのですが、必要時間を3,000時間として、勉強開始時期と一日あたりに割った勉強時間との関係は、以下のようになります。
3年前開始 | 2時間42分 |
---|---|
2年前開始 | 4時間6分 |
1年前開始 | 8時間12分 |
半年前開始 | 16時間24分 |
合格に必要な勉強時間はあくまで平均値で、資格試験や実務の経験、テスト慣れなどの個人差があるのですが、こうして見るとだいたい2年が現実的な線というのが分かります。
また、公認会計士や司法試験の合格者は免除科目があることと、資格試験慣れもあるため勉強時間は相応に減ります。
3.不動産鑑定士に働きながら合格する勉強方法
では、社会人はどのように工夫して試験勉強に臨めばいいのでしょうか?
3-1.まずは全体像と勉強プラン
大前提として、まずは試験の概要を理解することから始まります。試験は二次試験まであり、マークシートの他、論文式の試験もあります。そして実務修習から考査に受かって登録するまでのスケジュールを意識する必要があるのです。
そのうえで、広すぎる試験範囲から、消化不良になるのを避けるため、「ここまでをちゃんとやって受かろう」と、勉強の範囲、教材などを絞り込む工夫が必要です。
この「絞り込み」は、毎年の経験から傾向と対策を練っている予備校・通信のカリキュラムや、その教材の「目利き」を参考にする、あるいは乗ることもできます。
短答式試験に合格するとその年含め3年間は有効で、以降の受験だけで良くなるため、社会人は1年目は短答合格のみ狙いの手もあります=そうすればスケジュールに余裕ができます。
併せてライフプランも、この期間は勤務しながら、ここは退職して勉強一本、あるいはパートに切り替えなど、お金と時間の計画を決めましょう。
3-2.理解・暗記・過去問を解くの順で
不動産鑑定士の試験は論文や実地も含みます。語呂合わせなどの暗記ありきだと応用が利かなかったり、記憶定着の効率が悪かったりするので、理解学習ののちに暗記や過去問に入るのがセオリーの順番です。
3-3.論文対策は独学困難
鑑定士の成果物である「不動産鑑定評価書」は、客観的な事実の積み重ねで、依頼者や利害関係者を納得させることが必要です。
その下地を見るための論文試験ですので、表現力以外の文章力も必要になります。添削は独学では厳しいので、講座や通信を利用しましょう。
4.不動産鑑定士の実務修習は働きながら受講できる?
不動産鑑定士は、合格したらすぐ働けるわけではなく、「実務講習」をうける必要があります。実務講習は、実際に鑑定書を作成するまでのプロセスを実地で学ぶものです。
実務講習は「講義」「基本演習」「実地演習」の3つに分かれ、全カリキュラム終了後に「終了考査」を受け、合格する必要があります。
コースは1年と2年があり、社会人などの事情で集約して時間が取れない人はカリキュラムに余裕のある2年を選択します。
ここで改めて社会人にとって問題になるのは、平日にも月に2日から場合によっては3日以上、授業や実習があるため、前述のように理解ある職場環境でないと難しいことになります。
4-1.実務修習の構成
4-1-1.講義
講義では、不動産の鑑定評価業務の実務知識を身に付けます。これは現在インターネットによる「eラーニング」での受講が可能となり、受講生の通学負担が軽減されました。
講義後に確認テストに合格すると、その科目は修了です。
4-1-2.基本演習
基本演習は、鑑定評価報告書を作成する一連の流れを実践形式で学びます。10日間にわたる演習で、指定期日までに鑑定評価報告書を作成・提出し、それを元に単元認定が審査されます。
4-1-3.実地演習
実地演習は、現実に存在する不動産を題材として、鑑定士の指導の下で鑑定報告書を作成します。期間内に計13件の物件を調査し、評価書を作成し、単元認定が行われますが、実務経験が一定以上ある人については、一部課程が免除されます。
4-1-4.修了考査
講義、基本演習、実地演習すべての単位を修得すると、修了考査を受けます。修了考査は「口述考査」と「記述考査」の2形式で実施され、合格率は例年85%前後で、不合格者は再試験となります。
4-2.費用について
不動産鑑定士試験の受験料はおよそ13,000円です(書面と電子の申請で少し異なる)。
大学や短大で知識習得を目指す場合は年間120~170万円、専門学校の場合でも年間30~50万円、通信学校の場合で30~100万円の学費が発生します。(参考書代など含まず)
4-3.苦労の価値は?
ここまで読んで当然、「働きながら、そんな大変な思いをする価値はあるの?」という問いも浮かびます。
不動産鑑定士は難関ですが、不動産関連には珍しい、安定した収入源を取れる可能性のある資格です。
しかし目的は人によりさまざまで、自分のキャリアにどう生かすか、合格したらどうしたいか、どこまで不動産のことを勉強したいかなど、最後は自分で決めるしかありません。
そして、決めたらそれを時々ふり返って、頑張る燃料にしましょう。
5.「不動産鑑定士 働きながら」のまとめ
以上、「不動産鑑定士 働きながら」というテーマで解説をしました。働きながら受験する大変さや方法など、参考になったでしょうか?
確かにハードルの高い資格なのですが、受験資格が撤廃された背景に、思うところがあります。
経費=税金を投入してもたくさんの人に門戸を開くということは、ひとつに、鑑定士の有資格者がこれから求められる人材であるということと、もうひとつに、誰にでもチャンスがあることを意味しているのではと思います。
特別や環境や素質を求められるのではなく、コツコツでもいいので勉強を継続して合格することは、誰にでもできる。そう考えたら、大変な勉強も少し楽しく感じられるようになってくるかもしれません。
- 「不動産鑑定士」の試験合格に要する勉強時間は2000から5000時間。
- 試験合格後も実務修習を終えるまでに1年から2年かかる。
- 社会人の受験はスケジュールの工夫、職場の理解、お金の計画が必須。
- 「受ける意味」「何がしたいか」を思い出し、モチベーションキープを。
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