宅建業の免許番号とは?会社の信用を見抜く数字?更新で変わるのかも解説【期間は3年?5年?】
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宅地建物取引業を営むには「宅建業免許」が必要です。
宅建業免許には「免許番号」が付与されており、「東京都知事(1)第○○○○○号」といったかたちで表記されます。
免許番号は事務所のわかりやすい場所に掲示する義務があるため、見たことのある人も多いはずです。
「免許番号がわかると、その業者の信頼度がわかる」という声もありますが、本当なのでしょうか。そこで今回は、宅建業免許の種類や免許番号の見方について解説します。
また「業者の信頼度や信用度をはかるために、免許番号をどう活かせるか」という点もまとめました。この記事を読めば、宅建の免許番号について、より詳しくなれるはずです。
- 宅建業免許の種類とは?
- 宅建の免許番号の見方
- 免許番号の数字は業歴の長さと関係ある?
- 書類やウェブを使って宅建業者の信頼度をはかる方法
1.宅建の免許番号とは
宅地建物取引業を営むには「免許」が必要です。
宅建の免許番号は「宅地建物取引業者免許証」に記載されている番号のことを指します。宅建業者に与えられるID番号のようなものだと考えればよいでしょう。
たとえば「東京都知事(1)第○○○○○号」とか「国土交通大臣(1)第○○○○○号」などのように表記されます。免許番号の見方を確認する前に、まずは免許の種類と掲示義務から見ていくことにしましょう。
1-1.「大臣免許」と「知事免許」という2種類の免許
宅建業免許は「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」という2つの種類があります。
これは、その宅建業者の本社や支社など、「事務所」がどこにあるかという配置状況により決まります。「大臣免許の方が知事免許より格が上だ」というようなことはありません。
1-1-1.国土交通大臣免許
1つ目の「国土交通大臣免許」は、複数の都道府県に事務所を置く場合の免許です。
たとえば東京都に本社を置き、神奈川県に支社を置くといった場合は、「知事免許」ではなく「国土交通大臣免許」を取得する必要があります。
この場合は「国土交通大臣(1)第○○○○○号」という表記の宅建業免許になります。
1-1-2.都道府県知事免許
2つ目の「都道府県知事免許」は、1つの都道府県のエリア内でのみ事務所を展開するという場合の免許です。
たとえば地域密着型の宅建業者として、東京都だけで展開するという場合は、「国土交通大臣免許」ではなく「東京都知事免許」を取得しなければなりません。
この場合は「東京都知事(1)第○○○○○号」という表記の宅建業免許になります。
1-2.免許書番号は事務所に掲示する義務がある
宅建業免許を取得した宅建業者は、免許書番号を事務所に掲示する義務があります。
この用紙を「宅地建物取引業者票」といいます。宅建業法の第50条の「標識の掲示等」で定められているもので、内容は次のとおりです。
標識(宅地建物取引業者票)の具体的な様式は、施行規則の別記様式で定められています。サイズは「横30cm以上、縦35cm以上」となっています。国土交通省が以下のサイトでサンプルを示しているので参考にしてください。
これを掲げないと、50万円以下の罰金となります。ただし「免許証」そのものを掲示する必要はありません。
2.宅建の免許番号の見方・確認方法【会社の信用度が分かる!?】
今度は具体的に「免許番号の見方」を確認していくことにしましょう。
2-1.宅建業免許の数字の見方は?
先ほども紹介したとおり、宅建免許の番号は次のように記載されます。
- 国土交通大臣(1)第○○○○○号
- 東京都知事(1)第○○○○○号
ここで見るべきポイントは2つです。まず1つは「国土交通大臣」と「都道府県知事」のいずれに属する免許なのかということです。そしてもう1つは、カッコの中の数字です。
カッコの中の数字は免許の更新回数を示します。宅建業免許の有効期限は5年間です。更新した回数に1を加えた数字が記載されます。
たとえば新たに免許を取得して、その5年後に初めての(1回目の)更新手続きを行ったとします。この場合、新たに交付される免許証には「東京都知事(2)第○○○○○号」と記載されるようになります。
2-2.「カッコ内の数字が小さい=業歴が浅い」とは限らない
カッコ内の数字は更新回数を示すため、「数字が大きい=会社歴が長い=信用できる」と考える人もいます。
そのため「カッコ内の数字が小さい=業歴が浅い」とイメージされがちです。
しかしこの見方は必ずしも正しいものだとは言えません。誤解する人も多いので注意してください。たとえば、
- 「都道府県知事免許」から「国土交通大臣免許」に切り替わる場合
- 「個人事業主」から「法人」に切り替わる場合
の場合には、どんなに業歴の長い業者(あるいは個人事業主)でも、カッコ内の数字が(1)に戻るからです。
また、業界未経験の人でも「不動産会社を事業譲渡によって手に入れた」という場合だと、カッコ内の数字は(1)にはなりません。元々その会社がもっている免許の更新回数がそのまま維持されます。
このように、カッコ内の数字は必ずしも「不動産業務歴」を示すものとは限りません。詳しく説明します。
2-2-1.「都道府県知事免許」から「国土交通大臣免許」に切り替わる場合
まずは「都道府県知事免許」から「国土交通大臣免許」へと免許が切り替わる場合です。
たとえば、東京都で事業展開を行う1997年創業の宅建業者「A社」があったとします。宅建免許は5年で更新を迎えるため、2020年現在、A社の免許番号は「東京都知事(5)第○○○○○号」となります。
「都道府県知事免許」は、1つの都道府県のエリア内だけで事務所を営む宅建業者の免許です。A社が、業務拡大にともない埼玉県にも支店を出す場合、「複数の都道府県に事務所を置く」という状態になるため「国土交通大臣免許」への切り替えが必要です。これを「免許換え」と言います。
「免許替え」の申請をすると、従前の免許である「東京都知事(5)第○○○○○号」は無効となります。手続き上は「新規免許」の申請と同じ扱いになるため、新たに交付される免許番号は「国土交通大臣(1)第○○○○○号」です。
創業が1997年の会社なら、2020年時点での業歴は23年です。A社は23年間も不動産業を営んでいる会社ですが、カッコ内の数字は業歴ゼロの会社と同じ(1)に戻ってしまいます。
この「地域変更」(事務所の新設や廃止など)にともなう免許替えには、次の3つのパターンがあります。
- 都道府県知事免許→国土交通大臣免許(他の都道府県にも事務所を新設する場合)
- 国土交通大臣免許→都道府県知事免許(1つの都道府県エリア内に事務所を集約する場合)
- 都道府県知事免許→他の都道府県知事免許(他の1つの都道府県に全ての事務所を集約する場合)
ここで説明したのは①のパターンですが、②と③のパターンも同様になります。
2-2-2.「個人事業主」から「法人」に切り替わる場合
次は「個人事業主」から「法人」へと免許が切り替わる場合です。これも先ほどのパターンと似ています。
まず「宅建業免許」は、それを申請した会社(個人事業主)に対して交付されるものです。他人に譲渡を行ったり、相続して継承することはできません。免許を受けたいという場合には、新たに免許の申請が必要です。これは、個人事業主が法人化する場合も同じです。
たとえば、個人事業で都内で宅建業を営むBさんがいたとします。同じく1997年に始めたため、宅建免許の番号は「東京都知事(5)第○○○○○号」です。
ある時Aさんは「個人事業のままでは拡大が見込めないから、法人化しよう」と考えたとします。そこでもし「株式会社B不動産」を立ち上げた場合は、「株式会社B不動産」として新たに免許を申請しなければなりません。
ここで新たに交付される免許番号は「東京都知事(1)第○○○○○号」となります。個人事業主として23年もの長きにわたって事業を続けてきたBさんですが、法人化することで、カッコ内の数字は業歴ゼロの会社と同じ(1)に戻ってしまうというケースです。
2-2-3.事業譲渡された場合
ここまでは、業歴の長い業者(あるいは個人事業主)でも、カッコ内の数字が(1)に戻ってしまうケースを紹介しました。
今度は逆のパターンを紹介します。それは「事業譲渡された場合」です。
たとえば、業界未経験のAさんが「不動産会社を事業譲渡によって手に入れた」とします。買収のためAさんは新たな株主となります。そしてAさんは新たな代表取締役に就任したと仮定します。
この場合、Aさんが業界経験の無い素人だからといって、カッコ内の数字がゼロに戻るようなことはありません。もし買収した会社の更新回数が(9)という会社であれば、株主や代表者が業界未経験者であっても、免許番号のカッコ内の数字は(9)のままです。
2-3.免許番号で会社の信用度がわかる?全日本不動産協会の見解は?
業界経験があってもカッコ内の数字が(1)に戻ってしまったり、逆に業界経験が無い株主や代表者でも(1)にならないというケースを紹介しました。
「免許番号」と「会社の信用度」の関連性について、業界ではどのような判断がされているのでしょうか。
1952年(昭和27年)に設立された不動産業者の全国組織「全日本不動産協会」は、この件について次のような見解を発表しています。
免許番号から、不動産会社の免許権者(国土交通大臣か都道府県知事か)と免許の更新回数を確認することができます。免許は5年ごと(平成8年3月以前は3年ごと)に更新されますので、更新回数が多い会社は営業歴が長く、一定の経験を有すると判断できますが、更新回数が少ない場合でも、高いノウハウを有する会社もあります。あくまでも免許の更新回数は、不動産会社を選択するに当たっての参考情報として確認しましょう。
カッコ内の数字は更新回数を示します。そのため数字が大きい宅建業者は免許の更新回数が多く、それだけ業歴が長いことがわかります。しかし数字が小さいからといって、業歴が短いとは限りません。
「カッコ内の数字が小さい=業歴が浅い」とイメージする人は、業界の中にも意外といます。しかしこれは誤解なので注意してください。
3.宅建の免許番号で「行政処分履歴」が分かる!【最重要確認ポイント】
宅建免許番号のカッコ内の数字は「免許の更新回数」を示すものです。しかし数字が小さいからといって業歴が短いとは限りません。つまりカッコの数字だけでは、「業歴の長い信頼すべき会社かどうか」の判断はつかないということです。
しかし、この宅建の免許番号を使うことで「信頼できる不動産会社かどうかを調べる方法」はあります。それは「行政処分履歴」をチェックするというやり方です。
3-1.行政処分の履歴はウェブサイトや役所で開示されている
宅建業者が「業務停止処分」や「免許取消処分」のいずれかの監督処分を受けた場合、その旨が公告されます(ただし監督処分の種類が指示処分であった場合は公告されません)。
この公告は、都道府県の広報またはウェブサイトへの掲載などによって行われます。また「指示処分」と「業務停止処分」の実績は、「宅地建物取引業者名簿」への登載事項となっているため、一般の人にもチェックが可能です。
- 監督処分情報のウェブサイトでチェックする
- 役所の担当窓口で「宅地建物取引業者名簿」をチェックする
という2つの方法について説明していきます。なお、その不動産会社が宅建業者として登録されているかどうかは、国土交通省のウェブサイトで確認することができます。
3-1-1.監督処分情報のウェブサイトでチェック
まず1つ目は、監督処分情報のウェブサイトでチェックするという方法です。国土交通省が公開しているもので、たとえば東京都の場合は、以下のサイトになります。
このページでは、東京都知事が2009年4月以降に行った監督処分情報のうち、処分実施から5年間に限定してまとめられています。項目は以下のとおりです。
- 社名
- 住所
- 処分の種類
- 違反行為の概要
「違反行為の概要」を見ると、たとえば「専任の宅地建物取引士を設置しないまま、平成●年●月●日から令和●年●月●日に至るまでの約●年●か月間、事務所を開設していた」というように記載されています。以下に全国版のページがあるので、ぜひチェックしてみてください。
3-1-2.役所の担当窓口で「宅地建物取引業者名簿」をチェック
2つ目は、役所の担当窓口で「宅地建物取引業者名簿」をチェックするという方法です。この名簿には以下の内容が登載されており、過去の行政処分の履歴も確認することができます。
- 免許証番号
- 免許年月日
- 事務所の名称と所在地
- 役員の氏名、政令で定める使用人の氏名
- 専任の宅建士の氏名
- 指示処分と行政処分の年月日と内容
- 宅建業以外の兼業の状況と種類
なお「宅地建物取引業者名簿」が閲覧できる場所は次のとおりです。
- 国土交通大臣の免許業者:本店所在地を所管する地方整備局等などでも名簿を閲覧可能
- 都道府県知事の免許業者:各都道府県の宅地建物取引業者を所管する部署で閲覧可能
3-2.不動産選びは会って話すのが1番確実
ここまでは、会社の信用度を推し量る方法として、宅建の免許番号や「行政処分履歴」をどう参考にすべきかを解説してきました。
役所の資料を閲覧したり、ウェブサイトをチェックするといった方法で、ある程度の情報をつかむことができます。
しかし、信頼すべき不動産会社を選ぶ上で大事なことは、役所の情報やネットの情報だけでなく、実際に店に足を運んだり、担当者と話をしてみたりすることです。
お店の雰囲気や、スタッフの対応に触れることにより、体験を通じて肌感覚で知ることも大切です。
不動産会社の営業スタイルは多種多様です。売主を重視する会社もあれば、買主を重視する会社もあります。
社長だけが優秀で、社員はそれほどでもないという会社もあるでしょう。店に貼られている物件情報を見れば、どんな物件を主力にしている店なのかがわかります。
今回の記事では、宅建業免許の番号について解説してきました。不動産会社を知る上での出発点となる指標です。
ただし、判断の指標はそれだけではありません。オンライン情報とオフライン情報を総動員し、あらゆる情報を参考にしながら判断するようにしてください。
4.「宅建 免許番号」のまとめ
宅建業免許の種類や宅建の免許番号について解説しました。
不動産屋に行くと、入口のわかりやすいところに標識(宅地建物取引業者票)が掲示されています。
「東京都知事(1)第○○○○○号」といった免許番号の表記は、多くの人が目にしているはずですが、その数字の意味や読み取り方を知っている人は多くありません。
しかし宅建の免許番号からは多くのことを知ることができます。この記事を参考に、ぜひ宅建業者をの信頼度をチェックするための訓練をしてみてください。
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※「宅建業免許の種類」に関しては、こちらの記事「宅建の登録実務講習とは?」でも詳しく紹介しています。
※参照「宅地建物取引業者票様式:国土交通省」
引用元:不動産会社について調べる | 公益社団法人 全日本不動産協会
※参照「国土交通省 | 宅地建物取引業者 検索」
※出典:宅地建物取引業者に対する行政処分|東京都
※参照「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」
※参照「地方整備局に関する窓口」
※参照「宅地建物取引業免許(知事免許)に関する窓口一覧」
※参照「宅地建物取引業者票様式:国土交通省」
※参照「地方整備局に関する窓口」
※参照「宅地建物取引業免許(知事免許)に関する窓口一覧」
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