木組みの種類は200以上!?建築技術や日本伝統の歴史についても解説!
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奈良県の法隆寺は、1300年の歴史を数え、世界最古の木造建築として有名ですが、この法隆寺の長い歴史を保てた理由として「木組み」という日本の伝統的な木工技術なしにはあり得ないといわれています。
「木組みってどんなもの?木組みの家の特徴は?」
「木組みの種類、歴史、技術が簡単に知りたい」
「木組みのメリット・デメリットは?」
「木組みの街、木組み博物館、木組みの家と石畳の街とは?」
木組みで作られた家は沢山のメリットがあります。また、木組みは建築のためだけでなく、様々に利用されています。どんな技術なのか、詳細が気になりますね?
そこで今回は「木組み」を分かりやすく解説します。建築の仕事と社会の接点になるようなお話です。ぜひ最後までお読みください。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
目次
1.木組みとは?【種類・利用メリット】
「木組み」とは、釘やボルトなど金物=金属の部品を使用せずに木材を組み合わせる技術のことで、仕口や継手といった凸凹を加工して接合します。現代ではおもに宮大工の建築技術として知られています。
これらは建築だけでなく建具や家具の工法としても生きており、日本では平安時代には既に使用されていた伝統的な技術ですが、今でも残っているその技術の高さは、世界でも注目されています。
1-1.種類
木組みのテクニックは枘(ほぞ)組み、相次ぎ、仕口、継手など、種類がたくさんあり、200以上と言われているそれぞれに名前がついて受け継がれています。
相欠き | 双方の材料を、半分ずつ欠きこんで嵌め合わせる。 |
---|---|
ほぞ(枘)組み | 一方の材料にホゾを作り、他方の材料にホゾ穴を加工して挿し込む。 |
三枚継ぎ | 双方の材を3等分に欠き込み加工し、嵌め合わせる。 |
組手 | 板材と板材をそれぞれ欠きこんで嵌め合わせる。 |
天井、階段、床など、場所によって様々な技法を用いて木材を加工してゆきます。驚きの加工技術をご覧ください。コンピュータ制御の工具などを使わずとも、カンナ・ノミ・ノコギリだけで作ることができます。
https://youtu.be/AdFxnPNBBrs
昔ながらの木組みの構法は、現在の一般的な木造の軸組工法とどのように違うのでしょうか?
木組み | 軸組工法 | |
---|---|---|
接合部 | 金物を使用せず、材の状態から木の特性を活かして利用場所を決め、接合を行う。
※現代では、建築基準法の関係で、最低限は金物を使用。 |
金物を使用し、ボルトやナットで材料を接合。
使用される木材も、材の個性に関係なくプレカットされた木材を使用する。 |
屋根・天井 | 伝統的な瓦を用いることで、長期にわたって品質を保持しつつ、家屋の湿度も調整。メンテナンスの手間が少ない。 | 屋根材は瓦以外の様々なものを使用。 |
壁部・床 | 真壁つくりといった土壁で仕上げることで柱を表し、趣のある意匠となるほか、柱が外気に触れているため、湿度を調節してくれる。
土壁も湿度をコントロールする機能がある。 |
壁面をボードやパネルで建て込み、覆って施工することが多い。軸組みをした柱は通常、むき出しにはならず隠れてしまう。 |
基礎 | 「石場建て」と呼ばれる石の上に、直接柱を建て込む方法がある。
床部までの高さを取ることができ、隙間がある為、風通しが良く湿気もたまらないといった利点がある。 |
基本的にコンクリートで基礎を作りその上に躯体を建て込んでいく工法。
建物の下には土台を敷き、金物で固定。 |
このように、木組みを用いる伝統工法は「良いことずくめ」のように思えるのですが、さらに多様な観点でメリット・デメリットを見てみましょう。
1-2.利用メリット
木組みの建築は、耐久性、耐震性、環境性能など、様々な面で優れています。
耐久性
実際に、世界最古の「法隆寺」などは、地震大国の木造建築にも関わらず、一回も崩壊しておらず、その頑丈でしなやかな構造上の強みを証明しています。
修理が容易
木は再生可能な素材です。建物の一部分が腐ったりした場合、そこだけ交換して作り直すことも出来るため、文化財のような建物は、当時と同様の技術で修復したり再建したりが可能です。
加工が自由
また、加工の自由度や柔軟性にも優れています。木は組み手をすることで、強度を保ったまま延長することも出来るので、理想的な材を選びながら、無駄なく利用することも可能です。
移築が可能
さらに、金物を使わないと、不可逆的な加工がなく錆も生じないため、解体して、別の場所で建て直す「移築」をすることも出来ます。
サビない
ちなみに、錆が生じないということは、それに伴う強度低下もないということです。
1-3.デメリット
品質面の安定
高い技術が求められる木組みなので、職人によって品質にばらつきが出てしまう可能性があります。
工期が長い
加工に時間を要する分、現代の標準的な木造に比べ、当然工期は長くなります。
コスト
上記2点から、よい職人さんを長期にわたって確保して施工することで、建築コストは高くなります。
伝統工法を坪単価65万ほどで施工する工務店はありますが、それを高いと考えるかは価値観の問題となります。
火災には弱い
地震・水害・多湿などには強さを発揮するものの、全焼レベルの火災では、やはり木組みの木造は不利でしょう。これさえなければ、日本中に歴史的・伝統的な建築物は大量に残っているはずです。
ただし、他の材質と違い木材は火災の熱を受けても強度が下がらないため、部分的な焼損なら、再建はやりやすいです。
1-4.なぜ今木組みの工法?
戦災によって当時の木造住宅は大きな被害をこうむり、それを再建する際に「安くできて、燃えにくい建材や工法を!」となった結果、伝統的な工法は不利な立場になり、林業も衰退しました。
さらに、核家族化・都市部への人口移動が進行した結果、「地元に代々永く住み続ける」という価値が薄らいでゆき、木造住宅は耐用年数30年程度のものが主流となり「着工戸数が経済を支える」流れも起こったのです。
しかし、不況やコロナ禍で新しい生活観=都市部の住居にこだわらない、いいものを長く使いたいなどの変化が生じ、さらに木材の供給状況、材質の耐火加工、工具や工作機械の技術進歩が進んできました。
その結果、木組みなどの技術を使用した住宅の見直し、古くて価値のある木造建築を正しく治して再利用しようという動きが活発化してきています。
2.木組みの建築物
木組みの技術は法隆寺をはじめ、日本の伝統的な寺社建築の建物にも見ることができます。
法隆寺 金堂及び五重塔 |
670年再建 | 奈良県生駒郡斑鳩町にある聖徳太子ゆかりの寺院。国宝。ユネスコの世界文化遺産にも指定。 |
---|---|---|
法起寺 三重塔 |
706年建立 | 法隆寺同様、奈良県生駒郡斑鳩町・聖徳太子ゆかりの寺院。国宝・世界遺産。 |
薬師寺 東塔 |
730年建立 | 奈良県奈良市西ノ京町。天武天皇が創立した寺院。国宝・重要文化財。ユネスコ世界遺産。 |
※最古の建築物については、こちらの記事もぜひご覧ください。
現存する、世界一古い木造建築物は法隆寺!古い順にランキングで詳しく解説
3.木組みの魅力を伝えるコンテンツ
木組みは木工の技術という枠組みから出て世界中で人々から愛され、その美しさや希少性から様々な形で紹介されています。
3-1.文化施設
木組みの技術を伝え、身近に感じられる施設のご紹介です。
3-2.木組みの街
ドイツのハン・ミュンデンと、フランスのコルマールに、木組みで出来た建築が並ぶ街があります。
知名度の低さが信じられないほど美しいドイツの木組みの街、ハン・ミュンデン(GOTRIP!)
3-3.アニメ
「ご注文はうさぎですか?」という人気4コマ漫画・アニメの中で、「木組みの街」別名「木組みの家と石畳の街」=東フランス一帯のコルマールをはじめモンマルトル・ストラスブール・リクヴィルといった街がモチーフとなっています。
アニメの聖地巡礼はもう社会現象といっていいでしょうが、風景写真を見ているだけでも夢が拡がります。
TVアニメ『ご注文はうさぎですか?』で巡るヨーロッパの旅(animate Times)
3-4.Twitter
木組みの動作をGIFで紹介するTwitterアカウントがあります。こちらは実写動画ではなくアニメなのですが、ちょっと無機的な感じがする分、印象的です。
雇い枘差し仕口 Yatoi-hozo-sashi-shikuchi pic.twitter.com/WbVFBpDLmD
— The Joinery (@TheJoinery_jp) February 25, 2017
3-5.ワークショップ
「き」組というワークショップがあります。こちらは施主・職人・設計士・林業従事者を結び付けて、よい住まいづくりの普及に貢献する目的の団体で、健全で優れたビジネスモデルということで「グッドデザイン賞」を受賞しています。
DIYで木組みの基礎を自分でやってみたいという人には、このようなサイトもあります。
3-6.おもちゃ
木組みを利用したおもちゃは、優しい手触りと精巧さ、安全性などで昔から人気がありますね。
※全集中で頭のトレーニング。木組みの精巧さも表現するパズル。
※ハリネズミの動きが驚異のかわいらしさです。
https://youtu.be/J4pYdGJUPVE
4.「木組み」のまとめ
以上、「木組み」というテーマで解説をしました。木組みの活かされ方や歴史などは、理解をいただけたでしょうか?
「伝統技術を絶やしてはいけない」と口で言うのは簡単ですが、メリットが沢山ある以上、それを実際に生活に取り入れるというのが、最も良いありかたなのでしょうね。
- 木組みは日本が誇る木工技術。建築の他、建具・家具・雑貨にも活かされる。
- 世界最古の法隆寺等も、木組みを用いて作られ、補修され続けている。
- 木組みの伝統工法を用いた建築物は耐久性や居住性等抜群な反面、高コスト、技術のばらつきなどが敬遠されがち。
- 木組みの伝統工法は現在でも施工可能。今後復権する可能性も。
- 木組みの良さを伝えるコンテンツが多数ある。中でも職人のYouTubeは一見の価値あり。
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