宅建業の開業に必要な営業保証金とは?弁済業務保証金との違いは?還付など分かりやすく解説!
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宅建業を開業するにあたって必要なお金に「営業保証金」があります。
宅地建物取引士試験=宅建試験にも出題される「営業保証金」ですが、いったいどんな主旨で、いくらくらい必要なものなんでしょうか?
この記事では、「営業保証金」に関連した、宅建業者の保証金供託のシステムを解説します。開業を考える方、宅建試験準備で宅建業法を暗記中の方、必見です!
- 宅建業の「営業保証金」とは何?
- 「営業保証金」と「弁済業務保証金」の違いは?
- 「営業保証金」の還付と取り戻しとは?
- 「営業保証金」宅建試験での出題ポイント
目次
1.宅建業の「営業保証金」とは何?
不動産取引で、「問題が見つかって、土地建物の価値が最初の想定より下がってしまった!」など、業者と消費者との間でトラブルがあった場合、業者は消費者に損害賠償しますが、その時点で業者に資力がない場合でも、消費者の損害を確実に埋め合わせる必要があります。
そこで、業者が開業する前に、一定のお金をプールしておくことが「営業保証金」制度です。有価証券での供託も可能となっています。
ちなみに「土地建物の価値が最初の想定より下がってしまう」ケースとは、測量の結果面積が減ったり境界が違った・土壌汚染が見つかった・工期が大幅に遅れて入居に響いた・賃貸物件で近隣問題が起きて引っ越す、ほか色々とあります。
2.「営業保証金」はどのように使われるか?【宅建】
供託したお金はどうなるか?ですが、その前に「営業保証金」と同じ目的の「弁済業務保証金」という制度があります。
2-1.営業保証金と弁済業務保証金
営業保証金として業者が開業時に供託を求められる金額は最低1,000万円と高額で、これでは普通に宅建業を開業することは大変です。
そこで、宅地建物取引業保証協会を通じてお金をプールするという制度が設けられ、こちらから損害を弁済する制度を「弁済業務保証金制度」といいます。こちらの供託額は主たる事務所のみなら60万円と、設立準備資金から手の届く金額になっています。
この保証協会は業界団体も兼ねており、日本国内に「全国宅地建物取引業協会」(通称:全宅連・ハトマーク)と「全日本不動産協会」(通称:全日・うさぎマーク)2つの団体があります。
この2団体を通じて業者免許更新・宅建士免許更新・法定講習・研修など様々な業務を行うため、不動産業者は2団体のどちらかに加入しています。
供託金の使い道
では、供託されたお金はどのように使われるのでしょうか?弁済の必要が生じた場合の流れは以下です。
弁済金還付のプロセス(弁済業務保証金のケース)
- 還付により還付額相当の還付充当金が発生
- 大臣は保証協会に還付があった旨を通知
- 保証協会は通知を受けた日から2週間以内に還付相当額を供託
- 保証協会は社員に不足を通知
- 社員は通知を受けた日から2週間以内に還付充当金を保証協会に納付(期間内に収めなければ社員の地位を失う)
- 社員の地位を失った業者は1週間以内に営業保証金を供託し、その旨の届出を免許権者にするまで事業の継続は不可。
結局のところ保証協会は一時立て替えを行うだけで、保険とは異なり宅建業者が営業保証金額を上限基準に賠償を負担するのに変わりはありません。相手方が弁済を受ける権利に差はないですから、当然ではありますね。
では、何のための供託金制度なのでしょう?
営業保証金は1000万と高額で開業の障壁になるので、保証協会の制度で必要な供託額を減らす代わりに、各業者は開業後に内部留保の中から、いざという時の弁済のためのお金を作っていく。このプロセスを通じて、業者の開業時から取引の相手方を保護する供託金制度が機能していると考えるべきでしょう。
不動産業は開業から年数を経過して企業体力ができると共に、多額な弁済を要する大規模な取引が増えてゆくものですから、ちょうどよいバランスになっているとも言えます。
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2-2.営業保証金のゆくえ【還付・取り戻し他】
利 息:
預けてある供託金は、運用しているわけではなく利息がつくことはありません。
還 付:
業者と取引した相手方が、その取引により受けた損害を営業保証金の中から弁済してもらうこと。前述のように、この還付の限度額は供託金の額ではなく、営業保証金の上限です。
取り戻し:
預けた業者が供託金を返還してもらうことを言います。取り戻しが可能になるのは廃業時か、支店を閉店した場合です。
廃業の場合、取引の相手方を保護するため6か月以上の公告期間を設けて還付対象の案件が存在しないことを確認の上、取戻しが可能になります。支店の閉店の場合はすぐに取り戻し可能です。
保管替え:
主たる事務所の移転により、供託所の変更が必要になる場合のことです。
1.金銭のみで供託している場合
現に供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への「保管替え」を請求する。
2.有価証券と金銭、または有価証券のみで供託している場合
「保管替え」請求ができず、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所へ供託した後、従前の供託所に供託してある営業保証金を取り戻す。
3.宅建試験での「営業保証金」の出題は?
営業保証金は宅建業運営上のきまりですので、宅建の試験では「宅建業法」分野で出題されます。簡単な定番問題が多く、整理して暗記すれば点を取れる箇所です。
2-1.宅建試験で押さえるべきポイント
供託金に関して、宅建試験勉強で押さえるべきポイントは下記の表を参照してください。この基本的な点に注意して覚え込んでいきましょう。
どこにどのように いくら供託するのか? |
弁済業務保証金 供託所(最寄りの法務局、地方法務局、支局・出張所) 有価証券可 1.主たる事務所…1,000万円 2.その他の事務所…500万円(一か所あたり)営業保証金 加入している保証協会へ 有価証券不可 1.主たる事務所…60万円 2.その他の事務所…30万円(一か所あたり) |
---|---|
開業手続きの順番 | 弁済業務保証金 事務所新設の日から2週間以内に供託。営業保証金 供託してから宅建業務開始。 |
営業保証金・弁済業務保証金 を受け取れる者とは? |
業者と消費者との間でトラブルがあった場合、業者は消費者に損害を賠償する。宅建業者間の取引では、以下の場合営業保証金は適用されない。
1.自己の所有に属しない物件の取引についての制限 |
宅建業者が営業保証金を 取り戻せるケースとは? |
1.社員である業者が社員でなくなった場合 2.一部事務所の廃止で弁済業務保証金分担金が超過した場合※取り戻しのルール 保証協会は6カ月以上の期間を定めて、還付請求権者(取引を行った相手方)に保証協会の認証を受けるための申し出をすべき旨を公告。この期間内に申し出が無ければ保証協会は供託金を取り戻してよい。 |
2-2.過去問の例
「営業保証金」に関する出題はたとえばこんな、暗記力を問う問題です。
営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aと宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員である宅地建物取引業者Bに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 新たに事務所を設置する場合、Aは、主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべき営業保証金に、Bは、保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金に、それぞれ金銭又は有価証券をもって充てることができる。
- 一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金又は弁済業務保証金を取り戻すときは、A、Bはそれぞれ還付を請求する権利を有する者に対して6か月以内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。
- AとBが、それぞれ主たる事務所の他に3か所の従たる事務所を有している場合、Aは営業保証金として2,500万円の供託を、Bは弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしなければならない。
- 宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、Aに関する債権にあってはAが供託した営業保証金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有し、Bに関する債権にあってはBが納付した弁済業務保証金分担金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有する。
- 誤り 新たに事務所を設置した場合、その事務所も営業保証金を供託する必要あり。Bは有価証券は使用不可。
- 誤り Bは保証協会に対して公告をする必要なし。
- 正しい
- 誤り Bも営業保証金額相当を上限とする弁済義務がある。
設問の正解は3です。このように「営業保証金」と「弁済業務保証金」の運用の違いは出題ポイントです。
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5.「宅建 営業保証金」のまとめ
今回は「宅建 営業保証金」というテーマで解説をしました。「営業保証金」のシステムや、宅建試験でのポイントは整理いただけたでしょうか?
- 宅建の「営業保証金」はユーザー保護のルール
- 「弁済業務保証金にすれば、供託額は安く済む
- 宅建試験では弁済業務保証金との手続きの違いが重要
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