宅建士の法定講習は内容と費用を紹介!どこで?時間は?確認テストはある?かも解説
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宅建の「法定講習」は、宅建士が宅建士証を更新する場合や、新たに宅建士証を申請する人の一部が受講する講習です。
宅建士にまつわる講習には「法定講習」の他に「登録講習」や「登録実務講習」などもあります。名前も似ているため、複雑でよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、宅建の「法定講習」について、その内容や位置づけ、参加費用や開催場所などを説明します。業界でも混同されがちな「登録講習」や「登録実務講習」との違いも解説しました。
これを読めば「法定講習」の内容がわかるだけでなく、3つの講習の位置づけの違いもクリアになるはずです。
目次
1.宅建士の法定講習とは
宅建士として仕事をする上で、欠かすことができないのが「宅建士証」です。宅建試験に合格しただけでは「宅建士」を名乗ることはできません。宅建士として業務に従事するには、「宅建士証」が必要です。
その「宅建士証」の交付を受けるためには「法定講習」を修了する必要があります。「法定講習」の内容について、詳しく説明していきましょう。免除されるケースもあるので注意して下さい。
1-1.法定講習の受講が必要な場合は?
「法定講習」の受講が必要となるケースは、以下の2つです。
- 宅建士証を取得する場合(ただし試験に合格した日から1年を超える場合)
- 宅建士証を更新する場合(有効期限を迎える5年ごと)
上記2つの場合には、宅建士証の交付を受けるために「法定講習」を受講しなければなりません。
②の「更新」の場合は、有効期限が満了する6ヶ月前から受講が可能です。もし有効期間が切れてしまった場合は、登録先の都道府県に取引士証を返納した上で、新たに受講の申込みをする必要があります。
なお、「宅建士登録」や「宅建士証の交付」は任意です。宅建試験に合格したからといって、「宅建士に登録して、宅建士証の交付を受けなければいけない」というわけではありません。必要になった場合に交付の申請をしましょう。
1-2.宅建士証の交付で「法定講習」が免除されるケースは?
ただし、次の場合は「法定講習の受講」が免除されます。
- 試験に合格した日から1年を超えない人が宅建士証の交付を受ける場合
- 宅建士証をもつ人が「登録の移転」を行い、新たな都道府県知事から宅建士証の交付を受ける場合
①の場合は、合格から間もないため「最新の法令等を理解しているはず」との前提で「法定講習」が免除されています。
また②については、以下の記事も参照してください。
宅地建物取引士の登録情報に住所変更があった場合の手続きを紹介!【義務と任意の違いも解説】 |宅建Jobコラム
1-3.宅建業法が規定する「法定講習の受講と免除」
法定講習の受講と免除について説明しましたが、宅建業法では次のように規定されています。
「条文」は文章が難解のため敬遠されがちですが、念のため確認しておきましょう。
(宅地建物取引士証の交付等)第二十二条の二
2 宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、登録をしている都道府県知事が国土交通省令の定めるところにより指定する講習で交付の申請前六月以内に行われるものを受講しなければならない。ただし、試験に合格した日から一年以内に宅地建物取引士証の交付を受けようとする者又は第五項に規定する宅地建物取引士証の交付を受けようとする者については、この限りでない。
2.宅建士の法定講習の内容
法定講習は6時間以上にわたって行われます。テストはなく、座学による講義形式です。メインとなるのは、過去5年間の法改正の内容や、最近の判例などです。
ここでは法定講習の内容について、学習する科目や時間割を説明します。また実際に参加した人たちの感想や、新型コロナウイルスの特別対応についても紹介します。
2-1.講習の科目は?
法定講習で学習する科目は「4科目」です。宅建試験で学習した内容の復習というよりは、不動産の法改正や、実務寄りの事例紹介が多くを占めます。
- 宅地建物取引士の使命と役割
- 法令改正の主要な改正点と実務上の留意事項[前半:宅建業法、その他][後半:都市計画法、建築基準法]
- 紛争事例と関係法令及び実務上の留意事項
- 改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項
なお①の「宅地建物取引士の使命と役割」は2015年に新たに追加になった科目です。
2014年に宅建業法が改正され「宅地建物取引主任者」という名称は「宅地建物取引士」へと変更されました。「使命と役割」という倫理面の講習が追加されたのは、士業の仲間入りをしたことが影響しているようです。
2-2.講習のスケジュールと時間割は?
法定講習は1日で終了します。具体的なスケジュールと時間割は次のとおりです。
なお会場や実施機関により異なる可能性もあるため、参加する場合は、それぞれの公式サイトを事前に確認するようにしてください。
内容 | 時間 | 詳細 |
---|---|---|
受付開始 | 9:30~ | 受講票の確認、および、現在の宅建士証が回収されます。 |
事務説明 | 9:55~ | 注意事項等の事前説明 |
講習(午前) | 10:00~12:40 | ・宅地建物取引士の使命と役割
・法令改正の主要な改正点と実務上の留意事項(前半:宅建業法、その他)(後半:都市計画法、建築基準法) |
昼休み | 12:40~13:20 | 講習会場内での食事も可能です。 |
講習(午後) | 13:30~17:10 | ・紛争事例と関係法令および実務上の留意事項
・改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項 |
宅地建物取引士証交付 | 17:10~ | 新しい宅建士証が交付されます。 |
2-3.「法定講習」の参加者の感想は?
「法定講習」に参加した人の口コミを調べてみたところ、次のような投稿が見つかりました。
宅建士の法定講習が終わりました。
新しいライセンスカードもゲットしました〜( ̄▽ ̄)今日は宅建の改正点を勉強したけど、建物調査だとか、用途地域が増えるとか、来年の4月に改正することが多くて多くて….今年宅建士受ける人は何としても今年中に合格できますように。
— あおい@駆け出しIT社長 (@HackerAoi) April 19, 2017
今日の宅建法定講習会は一般的なスタイル。
弁護士・一級建築士・税理士の先生方が、
約60分の持ち時間で講義を行う。
ほぼ喋り続けるので、時折水を飲む。この際、心の中で「飲んでる姿も~」と言ってしまうのはもはや『職業病』なのだよ( *`ω´)
— まさお カメムシ9号 (@masao_ume) November 2, 2017
スケジュールを見てもわかるとおり「法定講習」は一日がかりの長丁場です。6時間超の講義は「座学」が中心のため、眠くなってしまう等の意見もありました。
会場によりますが、講習中は「居眠りもスマホも厳禁」というところが多いようです。係員がチェックしているところもあるようなので気をつけましょう。
ただし、講義はそれぞれの専門家(弁護士や税理士など)が最新の法律や税金等の事例を解説するという内容になっているため「非常に興味深く聞くことができた」との声も多くありました。
2-4.コロナ特別対応で「自宅学習」というケースも
なお2020年夏現在、「法定講習」の実施については、特別体制がとられています。国土交通省等からの特例措置の通達により、新型コロナウイルスの感染拡大を予防することが目的です。
しばらくの期間は、教室での講義ではなく「自宅学習と効果測定に返送」というシステムが採用されています。参考までに、東京都のケースを紹介します。
以下2つの方法のいずれかを選択するという形式です。
- 郵送対応の場合
- 会場に行って教材と宅建士証を受け取る場合
2-4-1.郵送対応の場合
1つ目は、郵送で申し込む方法です。届いた教材を使って自宅で学習し、解答用紙を提出します。修了すると、新しい「宅建士証」が送られてきます。
【受講の流れ】郵送対応の場合
※お手元に取引士証がない期間が生じますのでご注意ください。
①お送りする教材によりご自身で学習後、配付の様式を用いて効果測定を実施し「解答用紙」を提出していただきます。
②学習が終わりましたら「法定講習会学習報告書」を記載のうえ提出していただきます。
③簡易書留にて①及び②と旧取引士(主任者)証(※返納・紛失届をご提出済みの方はそれらの受領証)受講票(写真入り、はがきサイズ)、返信用封筒(404円切手貼、新しい取引士証送付先住所記入、長3封筒)の計5点を同封の上ご返信ください。
*事前にお送り頂きましても、新しい取引士証の送付は申込頂いている講習日以降となりますのでご注意ください。
出典:宅地建物取引士法定講習のご案内
2-4-2.会場に行って教材と宅建士証を受け取る場合
2つ目は、会場に行って教材と宅建士証を受け取る場合です。会場に行くと、教材と一緒に「宅建士証」が交付されます。その後、受け取った教材を使って自宅学習を行い、解答用紙を返送します。
【受講の流れ】受講日当日ご来館での受け取りの場合
①受講日当日、10時~12時に全日東京会館へご来館いただき受付を行います。
*通勤混雑時間帯を避けてご来館ください。②個別説明終了後、新しい取引士証を即交付いたします。
③お渡しする教材により、ご自身で学習後、配付の様式を用いて効果測定を実施し、「解答用紙」を後日提出していただきます。
④学習が終わりましたら「法定講習会学習報告書」を記載のうえ後日提出していただきます。
*当日お渡しする返信用封筒に③及び④を同封の上、一週間以内にご返信ください。
出典:宅地建物取引士法定講習のご案内
3.宅建士の法定講習の費用
法定講習に必要な費用は次のとおりです。
- 法定講習の受講料:12,000円
- 宅地建物取引士証の交付手数料:4,500円
法定講習の受講料は12,000円ですが、法定講習を修了すると宅建士証が交付されるため、交付申請の手数料として4,500円も必要になります。
なお支払いには現金が必要です。収入証紙ではないので注意しましょう。
また前述した通り、コロナ特別対応で「郵送対応」を選択した場合は、返信用封筒に貼り付ける切手代として404円が別途必要です。
4.宅建士の法定講習の場所・持ち物
法定講習は日本全国で行われています。法定講習の場所と持ち物について説明することにしましょう。
4-1.場所
詳しい場所については、各都道府県の宅地建物取引業協会のウェブで確認することができます。
開催日程も確認できるので、ぜひチェックしてみてください。場所にもよりますが、ほぼ毎月開催されています。
なお法定講習を受ける対象者は、次のとおりですが、
- 宅建士証を更新する人(有効期限を迎える5年ごと)
- 宅建士証を新たに取得する人(ただし試験に合格した日から1年を超える場合)
このうち、①の場合は「宅建登録をしている都道府県」の講習を受講する必要があります。また②の場合の受講先は「宅建試験を受験した時の都道府県」になります。
4-2.持ち物
宅建講習の際に持参するものは次のとおりです。講習団体によって若干異なる場合もあるので、注意してください。
- 認印(シャチハタは不可です)
- 写真(同一のもの3枚:交付申請書用、取引士証用、受講会場用。サイズは縦3cm × 横2.4cm、顔の大きさ2cm、撮影6ヶ月以内、カラー、無帽、正面、上半身、無背景。ポラロイド写真、不鮮明なものや劣化の可能性のあるものは不可)
- 受講経費:16,500円(収入証紙ではありません:内訳は受講料12,000円、取引士証の交付申請手数料4,500円)
- 宅地建物取引士証(更新の場合のみ)
なお更新の際には、講習会場で古い宅建士証を返納する必要がありますが、もし紛失している場合には、紛失届を出す必要があります。
5.宅建士には「法定講習」の他に「登録講習」と「登録実務講習」も
今回の記事では、宅建の「法定講習」について解説しましたが、宅建関連の講習には、他にも「登録講習」と「登録実務講習」があります。
この3つの講習は、名前も似ているため混同されがちです。そこで簡単に整理しておくことにしましょう。
- 登録講習(宅建試験の5問免除)
- 登録実務講習(2年の実務経験)
- 法定講習(宅建士の5年更新)
5-1.登録講習(宅建試験の5問免除)
まず1つ目は「登録講習」です。これは「5問免除講習」とも呼ばれています。
この講習の対象は「宅建試験を受ける前」の人たちです。この講習を受けると、50問ある宅建試験のうち、問46から問50までの5問が免除されます。
この制度が利用できるのは、宅地建物取引業に従事する人のみです。所定の修了試験に合格すると、約1週間後に「登録講習修了者証明書」が交付されます。
2ヶ月の通信教育と2日間のスクーリングを修了するだけで5問が免除されるため、業界の人にはお得な制度と言えるでしょう。
詳しくは、以下の記事を参照してください。
宅建試験の配点割合は?科目別の目標点を紹介!【5点免除についても解説】 |宅建Jobコラム
5-2.登録実務講習(2年の実務経験)
2つ目は「登録実務講習」です。
この講習の対象者は「宅建試験に合格した人」です。宅建士に登録するには「2年上の実務経験」が必要です。しかし宅建合格者の中には、宅建業に従事していない人もいるはずです。
この「登録実務講習」を修了すると「2年上の実務経験がある」と見なされるようになります。
そのため、宅建業界に入って間もない人や、その他の仕事に就いている人、また就業前の学生の方々でも、「登録実務講習」を修了すれば、この基準をクリアすることができます。
50時間の講習と1時間の修了試験で構成されており、無事に修了すると「登録実務講習修了証」が授与されます。
これを添付すれば、2年以上の実務経験がない人でも、宅建士登録が可能になります。詳しくは、以下の記事を参照してください。
宅建の登録実務講習とは?おすすめ実施機関とスケジュールを紹介 |宅建Jobコラム
5-3.法定講習(宅建士の5年更新)
3つ目が「法定講習」です。今回の記事で取り上げた講習です。
すでに紹介した通り、主な対象は「宅建士の5年更新を申請する人」になります。更新期限が満了する6ヶ月以内の法定講習を受講することで、宅建士証の更新が可能となります。
また「宅建士証」の新規取得者でも、もし宅建合格の日から1年以上が過ぎてしまったという人は「法定講習」を受講する必要があります。
5-4.【まとめ】宅建関係の講習3種類
このように、宅建関係の主な講習には3種類あります。まとめると次のとおりです。
講習の種類 | 受講の効果 | 受講対象者 |
---|---|---|
登録講習 | 宅建試験の5問が免除される | 宅建試験を受験する前の人 |
登録実務講習 | 「2年の実務経験あり」と認められる | 宅建合格後で宅建士登録前の人 |
法定講習 | 5年更新および合格1年以上経過者の宅建士証の受け取り | 「更新期限を迎える現役の宅建士」と「宅建登録後で、合格から1年以上が経過した人」 |
名前が似ていることもあって、現役の宅建士でも間違えてしまうことがあります。よく整理して確認するようにしておきましょう。
6.「宅建士 法定講習」のまとめ
宅建の「法定講習」について解説しました。
宅建士の有効期限は5年です。更新する場合は「法定講習」を受講しなければなりません。「5年に1度」なので忘れがちですが、大事な制度なのでぜひ覚えておきましょう。
また、3つの講習の違いも説明しました。
- 登録講習(宅建試験の5問免除)
- 登録実務講習(2年の実務経験)
- 法定講習(宅建士の5年更新)
①は宅建受験前の人、②は宅建合格後で宅建士登録前の人、そして③は「更新期限を迎える現役の宅建士」と「宅建登録後で、合格から1年以上が経過した人」が対象です。
似ているので混乱しがちですが、しっかり理解しておきましょう。
宅建がなくても不動産業界に転職できます
宅建を取ろうとしている方の中には、「宅建がないと不動産業界に転職できない」と思っている方がいますが、それはよくある誤解です。
不動産業界特化の転職エージェントである”宅建Jobエージェント”が保有する求人のうち、宅建がないと応募できない求人は全体の約1~2割です。
宅建を持っていなくても、不動産業界に転職できるんです。
実際、宅建Jobエージェントではこれまで数百名の方が宅建なし・業界未経験から不動産業界への転職を成功させてきました。
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