宅建の権利関係の勉強法を解説!民法改正の影響や合格する過去問題の選び方も紹介!
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j宅地建物取引士の資格試験=宅建試験の科目の中で、比較的難しくて点の取りにくいといわれる「権利関係」分野。宅建を受験する人にとっては結構とっつきにくい、敬遠されがちな部分です。
さらに、民法の中の「債権法」と呼ばれる部分が今年令和2年4月より改正となりました。120年ぶりの民法大改正であり、連帯保証制度など宅建試験にも深くかかわる箇所なので、今年の試験では重要視されるとみられています。
この記事では、宅建試験の「民法」で登場する法律の意味から、科目の攻略法、法改正の出題対応まで解説します。
宅建試験で合格ラインに達するには「権利関係」で8点から9点の得点は必要です。
そこまで到達するために必須の情報まとめです。ぜひ最後までお読みください!
- 宅建の試験科目の中の「権利関係」ってどんなもの?
- 「権利関係」4つの法律の意味を知って、理解に役立てよう
- 「権利関係」は難しい?優先順位は?
- 「権利関係」の最短で合格できる効率的な勉強方法は?
- 「民法」の大改正対応は?
目次
1.宅建の試験科目「権利関係」の範囲は?
「権利関係」は民法を中心に4つの法律で構成されます。文字通り法律を通して「どちら(だれ)に権利があるか」「権利はどのように調整するか」を示します。
暮らしの中で主に人と人とのかかわり・人と土地家屋金銭物品などとの関わりに関する決まりを定めています。
「権利関係」分野の構成と出題
民法 | 問1~問10 (例年10問出題) |
代理、請負、債権・債務、抵当権など |
借地借家法 | 問11~問12 (例年2問出題) |
借地関係 借地権の存続期間と更新、借地権の対抗力、定期借地権 |
不動産登記法 | 問13 (例年1問出題) |
借家権の存続期間と更新・解約の申入れ、同居者・転借人の保護、定期建物賃貸借など |
建物区分所有法 | 問14 (例年1問出題) |
専有部分と共用部分、区分所有者と管理者の役割、規約・集会による管理の仕組みなど |
別名「民法等」と呼ばれるくらいに民法の出題ウエイトの高い分野ですが、他の3つの法律も「権利関係」の指針・読み解き方についての規定をしていますので、民法と合わせて同様の役割を負っています。
2.権利関係の4つの法律【目的を理解しよう】
「権利関係」の4つの法律それぞれのざっくりとした意味は以下です。目的を理解することが、「この場合はこう」というケース対応の基礎となりますので、自分なりにかみ砕いてみてください。
それぞれの法律でどんな出題がされるか、過去問の例題も挙げていきます。
①「民法」 (例年10問出題)
人と人、人と物、家族親族の関わりのルールが「民法」です。宅建試験の分野では不動産を売買する上で起こる様々なパターンのトラブルにどう対応するのかを主眼になっています。
「民法」は「AさんとBさんがこうなった。この場合土地の権利はどっちのもの?」というような事例問題が多く、「こうなる」という事例を頭にストックする形で勉強が進みます。
宅建の「権利関係」学習の中ではあまり具体的には語られないですが、人と人との権利関係の背後で、私権に優先されるものがひとつあります。憲法の方で規定されている「公共の福祉」です。
つまり街づくり=都市計画などの際には、区画整理・公共建築物のための収用など私権が制限される場合があるということです。「法令上の制限」科目との兼ね合いの上で、知っておくと整理されると思います。
以下は民法のあらまし、法律の意味です。
総 則 民法すべての共通項の決まり |
財産法 所有や売買、賃貸借などの財産関係の決まり |
物権法 人と物との関係についての決まり |
債権法 人と人との関係についての決まり(法改正) |
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家族法 夫婦・親子・兄弟姉妹の身分関係、死後の相続などの関係の決まり |
親族法 婚姻、離婚、親子、親権などの決まり |
|
相 続 死亡などによる相続、遺言などによる財産移転などの決まり |
法律条文はこちら:「民法」条文-e-gov
A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいものとする。
- Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたC
この肢は誤り=正解
⇒ 土地の所有権者がBである信じて、Bに金銭を貸したCは、AB間の虚偽の表示の目的につき法律上の利害関係を有する者ではないので、第三者に該当しない。
②「借地借家法」 (例年2問出題)
「借地借家法」は借地・借家について貸主・借主との間の権利関係を定めた法律です。おもに借主の居住権など人権保護を背景に定められた歴史があります。
一般的には「借地」というのに馴染みが薄いかと思いますが、まず「土地も賃料が発生する貸し借りがある」ということを意識しましょう。そのうえで建物の賃貸物件との決まりの違いを学びます。
借地借家法でややこしいのは、「現行の法律と旧法の両方がいまだに生きている」ということに尽きます。実務上、旧法借地権物件の扱いは普通に行われますので、試験上旧法との違いもおろそかにできません。
ちなみに市街部の物件で相場に対して極度に安い土地建物は、事故物件、再建築不可、それとこの旧法借地権の底地・建物のどれかです。
法律条文はこちら:「借地借家法」条文-e-gov
Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Aは借地権登記を備えていないものとする。
- Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。
この肢は正しい=正解
⇒ 建物保存登記が借地権者Aではなく、Aの子Cの名義で行われているので、対抗要件を備えたことにならず、AはDに対して、借地権を対抗することができない。
③「不動産登記法」 (例年1問出題)
「謄本」と言えばまず戸籍謄本ですが、土地建物や法人にも謄本があります。戸籍は市役所ですが、不動産と法人の謄本は法務局が管轄です。
謄本に登録する「登記」は、不動産や不動産に関する権利をハッキリさせ、定着させるための手続きです。不動産の登記で、所在・権利者・抵当権の有無など、日本全国誰でも閲覧可能になります。
「不動産登記法」は土地建物に関する登記のしかた、見方に関して定めています。設問では土地建物の取引の際の登記の義務や、「謄本のこの部分にはなにが書いてある?」などがきかれます。
法律条文はこちら:「不動産登記法」条文-e-gov
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
この肢は正しい=不正解
⇒ 建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
④「建物区分所有法」 (例年1問出題)
「建物区分所有法」はマンションなど、それぞれ独立した部分を別々の人が買ったり借りたりしている建物の権利関係や管理運営について定めた法律です。
例えばみんなで所有している建物全体に、建て替えや修理などが必要になったとき、どのようにして意見をまとめ進めていくかなどの決まりを定めていますので、「何分の1の賛成があれば大規模修繕ができるか?」などの形で出題されます。
法律条文はこちら:「建物の区分所有等に関する法律」条文-e-gov
建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 区分所有者の団体は、区分所有建物が存在すれば、区分所有者を構成員として当然に成立する団体であるが、管理組合法人になることができるものは、区分所有者の数が30人以上のものに限られる。
この肢は誤り=正解
⇒ 現行法では、管理組合は区分所有者の数に関わらず、管理組合法人となることができる。
3.宅建の試験科目「権利関係」は難しい?【優先順位の付け方】
4つの法律それぞれの難易度・優先順位を極力シンプルにまとめました。
法令 | 難易度 | 頻出項目 |
民法 | 範囲も広く難易度が高い。法律への理解を具体的事例の形で問われる。 | 代理・抵当権・意思表示・連帯債務・保証債務・連帯保証 不法行為・時効・物権変動・所有権・共有・契約解除・賃貸借契約・法定相続分・遺産分割など。法改正関連項目にも注意 |
借地借家法 | 暗記要素と理解求める部分と両方あり。基本は借地・借家で1問づつ。 | 借地:建物の滅失と再築・建物買取請求権
借家:更新と解約・造作買取請求権・定期建物賃貸借契約 |
不動産登記法 | 難解で深入り禁物。謄本の見方などは平易かつ重要なので押さえておく。 | 登記手続きの原則と例外・仮登記 |
建物区分所有法 | 暗記が有効で比較的易しく得点源。 | 集会の決議 |
4.権利関係の効率的な勉強方法ポイント【理解が必要!】
勉強法については民法のみが、暗記よりも法令を背景にした理解を身につけることを要求される度合いが高く、得点するための「慣れ」が必要です。
民法以外の3つの法律は、過去問等を通して自分なりの「あ!これが頻出問題だ!」という感覚をつかむことが、効率的な得点の上で重要です。
4-1.各法律の勉強方法
民法
得点できるようになるまでに少し時間を要するため、勉強を始めた最初のうちに理解を深める方向性でテキストをしっかりやりましょう。状況を図に書いたり、誰かに説明できる状態を目指しましょう。誰かを練習台にして話してみるのもいいです。試験本番が近くなってきたら、得点しやすい他の分野にウエイトを移し、深入りしないことです。
借地借家法
「何年で終了となる」等の数字の暗記、および旧法・新法の違いの把握はしっかりやっておきましょう。旧法の問題点を受けて新法が改正施行されたという視点で暗記してゆきましょう。
不動産登記法
土地登記の義務事項や、謄本に何が書いてあるかなど実務に関わる部分に注意が必要です。ここでも民法のような理解を問う問題が出るケースもあります。
区分所有法
暗記してさえいれば1点取れる可能性の高くなる事柄があります。決議に必要な賛成数などの暗記項目はしっかりやりましょう。
4-2.おすすめテキスト
情報量が多く、どんな傾向にも安心の全方面対応型テキストです。学習を始めた最初のころに取り組むのに適した本格派。
通勤時間といえば暗記勉強や過去問の単肢解説が主流ですが、このテキストは電車の中で条文の解説を対話式で学べます。法改正にも対応し、kindle版で安価なのも魅力です。
4-3.おすすめ動画
【宅建みやざき塾】このシリーズはYouTube宅建講義No,1の超人気宅建ユーチューバーと銘打たれています。勉強法などもわかりやすくアップされています。
【宅建2021】宅建みやざき塾 超特急合格講座・超重要ポイントまとめ講義 権利関係
5.2022年の宅建試験「権利関係」は民法大改正に注意【過去問の答えが変わる!】
2020年4月1日、「民法」が改正施行されました。
改正されたのは宅建の試験にもかかわりの深い「債権法」と呼ばれる部分で、200項に及ぶ点が改正になっています。
過去の例でも法令改正のあった分野は出題必至なので、今年の試験から改正部分が出題されるのは間違いないです。
逆にそこの部分をしっかり押さえれば、範囲の膨大な民法の中で、ポイントの絞り込みになり得ます。(ただし該当する問題の正答率は高くなると思われます=つまりみんなが正解しやすい)
5-1.宅建試験への影響例
「民法」改正対策の要点は以下の3つです。
- 改正部分が試験の出題にどのように影響するかしっかり把握。
- 過去問は正答が変わっているものがあるので、要注意!
- テキスト等教材は必ず新しいものを。
5-2.民法改正で変わる過去問の例
法改正の影響は過去問にも及びます。2019年まで正解だった肢が、2021年には不正解になっている例も出てくるのです。変更点は最新の過去問解説を参照するなど、注意しましょう。
A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいものとする。
- DがAに対して履行の請求をした場合、B及びCがそのことを知らなければ、B及びCについては、その効力が生じない。
2019年まで:誤り
2020年以降:正しい
⇒ 「履行の請求」に絶対的効力がある(=他の連帯債務者に影響する)点は、改正によって削除。したがって(知っているかどうかにかかわらず)効力が生じないため正しい。(440条)
6.「宅建試験の科目・権利関係」のまとめ
以上、宅建試験の科目「権利関係」について解説をしました。民法改正の部分は未知数の部分が多いですが、全受験者が同じ境遇にいますので、チャンスに変えるようなつもりで取り組みましょう。
範囲も広く難しいけど、「頑張って取り組んでみよう!」と感じて頂けたでしょうか。
- 「権利関係」は人と人・ものと人との関係を定める4つの法律
- 「権利関係」攻略向きの最新テキスト・動画
- 民法の攻略は図に書いて理解。その他の法律は頻出問題を把握。
- 民法大改正の準備はしっかりと!
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