宅建の相続をわかりやすく解説!計算問題の覚え方や過去問の使い方も紹介!
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宅建試験(宅地建物取引士試験)には、「相続」に関する問題が出題されます。
「まだ相続とか全然縁がないから、よくわからない・・・」
「遺産の配分を計算で出すんでしょう? 難しそう。」
でも大丈夫!用語を覚えて、計算の理屈を把握すれば、いつの間にか簡単になります。
今回は相続の攻略方法の概要をご説明します。あなたも「相続」で確実に得点しましょう!
- 宅建試験に出題される「相続」とは?
- 相続の関連用語とは?
- 遺産分割の計算方法
- 具体的な攻略方法
目次
1.宅建試験に出題される「相続」をわかりやすく解説
「相続」の問題は「権利関係」分野に属し、例年1問出題されています。
出題されない年もありますが、2020年に「相続」は法改正があった関係で、しばらくは出題の可能性アップが言われています。
比較的解答しやすい問題が出るケースが多いですが、2015年のように難しく正答率が低かった年もあります。
不動産の実務でも、売買取引時に相続が関連するケースが非常に多く、基本的なことは覚えておかないとお客様に「頼りないな、この人」と思われることもあります。
2.宅建試験の「相続」と関連用語の意味は?【遺留分・直系卑属・非嫡出子・代襲】
そもそも「相続」とは、死亡した人の財産を特定の人に引き継がせるためのルールです。
相続の出題は、まず「だれ」が相続できて(=相続人)、つぎに相続する人それぞれが「どれだけ」相続できるのか(=相続分)を問うものです。
相続に関する用語はそのため=「だれがどれだけ」のための言葉と考えて覚えると分かりやすいです。
以下、代表的な相続関連の用語を説明します。
被相続人 相続人 |
死亡した人=相続される人を被相続人、財産を引き継ぐ人を相続人と呼ぶ。 相続人の指定順位は、配偶者と子→直系尊属→兄弟姉妹→特別縁故者の順 |
---|---|
配偶者 子 |
配偶者は被相続人の妻か夫。 子は実子・嫡出子・非嫡出子・養子の総称。 |
直系尊属 兄弟姉妹 |
直系尊属は父母または祖父母のこと。直系尊属の次の相続順位が兄弟姉妹。 直系卑属は実子・孫。非嫡出子も認知や養子縁組で直系卑属となる。 |
特別縁故者 | 相続人に該当しないが、〇被相続人と生計を同じくしていた 〇無報酬で被相続人の療養介護をしていた。〇被相続人の遺産分割意志があった などで相続が認められる場合がある立場。
上記の療養介護者は相続人に金銭請求も可能(法改正・2019年7月施行) |
法定相続分 | 各相続人の取り分として法律上定められた割合。 被相続人が遺言書を残していた場合、原則としてその内容に従うことになる。 |
遺留分 | 相続人に法律上で保障された一定の割合の相続財産のこと。=これだけは権利がある 遺留分の権利があるのは配偶者又は子(※場合によっては直系尊属)に限られる。 |
相続放棄 | 被相続人の負債=借金なども含めて、何も相続しないこと。 この他、すべてを相続する単純承認と、資産で負債を返して残りの負債を放棄する限定承認がある。 |
非嫡出子 | 法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものこと。以前は「嫡出子の2分の1」の相続分と定められていたが現在は嫡出子と同じ。認知や養子縁組によって相続上の立場は大きく変化する。 |
代襲相続 | 相続人が相続より先に死亡などの理由で相続できないときに、その人の子が代わりに相続する制度。 |
欠格事由 | 相続の資格をはく奪される事由。相続に関係する法律を犯すような行為=被相続人の殺害か殺人未遂、被相続人の殺害を非告発、詐欺強迫による遺言状の作成等妨害、偽造などを行うと欠格事由となる。 |
国庫に帰属 | 遺言もなく、法定相続人もいない場合は、財産は国庫に帰属する=税金と同じ国の財源になる。特別縁故者がいる場合は、その取り分の残りが国庫帰属。 |
相続時精算課税制度 | 相続時、遺産に以前の贈与を受けた財産を加えて相続税計算を行う制度。2500万円までの贈与は贈与税非課税。住宅建築・増改築目的の贈与の特例は試験に頻出。 |
難しい単語が並んでいるようで、目的はシンプルなので、意味が明快なのが相続関連用語の特徴です。
3.宅建試験の「相続」遺産分割の計算問題はこうすればOK
3-1.遺産分割計算の基本
相続の計算問題は、計算といっても電卓を使うようなものではなく、相続の理屈が分かっているかを問うものなので、理屈が分かっていれば暗算でできる問題です。
図表で基本のセオリーを確認してください。
配偶者と子 がいる場合 |
配偶者 1/2 子 1/2(子に兄弟がいれば1/2を兄弟で均等分け) |
---|---|
配偶者と直系尊属(親) がいる場合 |
配偶者 2/3 直系尊属 1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 がいる場合 |
配偶者 3/4 兄弟姉妹 1/4 (子と直系尊属がいる場合兄弟姉妹は法定相続人にならない) |
代襲相続人 の場合 |
代襲相続人の親の立場=取り分をそのまま引き継ぐ |
3-2.例外あり!過去問を例に確認
相続のセオリーを順番に当てはめていけば、相続分の問題は必ず解けます。
欠格事由や代襲など、変化球的な例外に関する知識を問われるケースもあるので、注意しましょう。
(2002年 問12)
相続の承認及び放棄に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 相続の放棄をする場合、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
- 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
- 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に、限定承認又は放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
- 被相続人の子が、相続の開始後に相続放棄をした場合、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
- 正しい 相続の放棄をする場合には、家庭裁判所に申述しなければならない。
- 正しい 限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
- 正しい 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、限定承認又は放棄をしなければ、単純承認をしたものとされる。
- 誤り 相続を放棄した者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる。したがって、その者の子には代襲相続が認められない。
3-3.図に書いてみよう
「相続」も「権利関係」分野の設問だけあって、立場の異なる登場人物がたくさん登場します。
その関係性や利益を問われる問題が主体です。図に書いて整理し、答えを導くようにするとよいです。
4.2022年宅建試験「相続」の攻略ポイント【法改正に注意!】
2022年宅建試験に「相続」の出題が依然確実視される理由は、2020年におこなわれた民法の大改正です。
民法の債権法部分が最も要注意ですが、相続法部分も改正があります。改正部分を把握し理解しておくのが、重要な攻略ポイントとなります。
4-1.相続法改正の主な改正事項は大きく次の3つ
1.配偶者の居住権を保護 | 夫婦の一方が死亡した場合、その他方(生存配偶者)が、夫婦で居住していた建物に引き続き居住することができるよう、2つの居住権を新設。
(1) 配偶者短期居住権:遺産分割が終了するまでの間など比較的短期間に限り、生存配偶者の居住権を保護する。 |
---|---|
2.相続された預貯金債権 の仮払い |
相続人が、被相続人の遺産である預貯金債権について、一定額までは、他の相続人の同意がなくても、単独で払戻し(引出し)ができるとする制度を新設。葬祭費用や相続税の支払いなどについて遺産分割協議なしに、被相続人の預貯金債権を充当可能に。 |
3.自筆証書遺言の方式緩和 | 自筆証書遺言に添付する財産目録(相続財産の一覧表)に限り、財産目録の各ページに署名押印することを条件に、手書き不要に。財産目録のパソコン作成や、預金通帳のコピー添付が可能。 |
4-2.法改正で過去問の正答が変わっている例が
過去問の回答の変化で、相続でもっとも身近な例といえば、非嫡出子の相続分が嫡出子の1/2であったものが平成29年から嫡出子と同じになっています。過去問の解説で嫡出子の相続分を間違って覚えてしまえば、最悪本番で1点落とすかもしれません。
また、民法関連の設問は法改正の施行前から「民法の条文に規定されているものはどれか。」という形の出題がなされる場合があります。
これは令和2年の場合(令和2年4月1日現在施行されている)という意味となり、改正後未施行の法規は×で、施行後は〇に回答が変わります。
改正点がどんな風に設問に反映されるかは、法律か宅建試験の専門家でないと難しい部分があります。例えば相続法の改正点3つはどれも、「相続人」「相続分」とは直接関連の薄い項目だけに、予想が困難です。
自分で考えてみるのも勉強ですが、予想問題などをチェックして情報を集めておきましょう。
「自筆証書遺言の方式緩和」【宅建動画の渋谷会】
※2019年分ですが、法改正の捉え方と、2022年の出題予測にしてください。
法律に関することは、自分の人生にも関わってくるものです。もしもあなたに「相続」が現実味のあることだったなら、自分の場合に置き換えて考えてみると、非常に覚えやすくなりますよ。
相続法改正の施行に関する資料です。
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律・法務局における遺言書の保管等に関する法律 法務省民事局
民法改正の詳細は、こちらの記事もぜひご覧ください。
宅建の問題は民法改正の影響で難しくなる?過去問の正誤が変わる事例も解説!
5.「宅建 相続」のまとめ
以上、「宅建 相続」というテーマで解説をしました。まだ細かいことは覚えきれなくても、「相続」の問題を解いていく流れはお分かりいただけたでしょうか?
- 「宅建試験」の「相続」の問題は、シンプルに考えて!暗記で得点できる。
- 「相続」の問題は「相続人」と「相続分」を常に考えよう。
- 「相続」は法改正箇所にもしっかり目を通して!
- 「相続」の問題は図に書き整理して解く習慣を!
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