宅建業に不可欠な標識の掲示義務とは?掲示場所・中身・その他の義務も解説
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宅建業者の事務所に掲げる「標識」。これは毎年宅建試験に関連問題が必ず1問は出題されるくらい、宅建業には大事なものです。
「標識はなぜ出すの?」
「標識と看板って何が違うの?」
「標識を出さないと違反なの?」
結論、違反になってしまうからです。何がそんなに大事なんでしょう?どんな決まりなんでしょう?
今回は宅建業者の「標識」をわかりやすく解説します。不動産の事務所が「どんな場所」と決められているかが、この記事でよく分かりますよ!
目次
1.宅建の標識の掲示とは?
不動産業の事務所というと、オフィスや商談の場が思い浮かびますが、事務所以外の場所にも「標識」は必要になります。
免許証番号などを記載した「標識」を、宅地建物取引業者の事務所その他の一定の場所に掲示することを「標識の掲示」という。
この事務所以外の場所というのは後述しますが、要するに宅建業について一定の業務を行う場所には、必ず「標識」を掲示しなさい、というルールになっているのです。
1-1.宅建の標識の掲示様式
標識のことを「宅地建物取引業者票」といいます。(以下この記事では標識とも書きます)宅地建物取引業者票は、宅建業を営む上で必須の義務で、掲示しないと違法になってしまいます。
簡単に言えば、ナンバープレートを付けていない車で公道を走って捕まるようなものですね。「ナンバープレート」ですから、標識は掲示のし方、ザイズ等、掲示する場所や位置なども細かく決められています。
宅建業を営み土地や建物の取引を行う場所は、標識以外にも従業員証や取引記録など、作成保管義務があることがいくつかあります。
1-2.標識の掲示義務は何のため?
標識の掲示ほか、宅建業の仕事の環境に細かくルールがあるのはもちろん理由があります。
土地建物の購入・貸借を検討したり、契約・重要事項説明の場として、環境を整え、必要な情報を伝えることで、消費者を保護するためです。
土地や建物に専門知識のない普通のお客さまが、安心して物件選びと契約をできること、逆に言えば判断を急いだり十分な情報を欠いたりした状態で「大きな買い物」を決断することのないように守っている法律の一環なのです。
2.宅建の標識の記載内容は?
標識は大きさや記載内容が決められています。どんなものなのでしょうか?
標識には掲示場所によって10種類ほどありますが、いちばん基本的な、事務所に掲示する標識(様式第9号)は、これです。
表示すべき内容は以下です。
- 免許証の番号
- 免許の有効期間
- 会社の商号(または名称)
- 代表者の氏名
- 事務所に設置した専任の宅地建物取引士の氏名
- 主たる事務所の所在地と電話番号
この様式第9号標識の規格は、以下に留意することになっています。
「宅地建物取引業者票」(様式第9号)
- 大きさが縦30センチメートル以上、横35センチメートル以上
- 事務所の外部から見える位置に掲示
- 自作も可能ですが、耐候性があり風雨などにより脱落して危険でないこと
- 背景色は白色又は淡色、黒色又は濃色・太字で文字記号を表示し、明瞭に読み取れること
- 標識の記載事項に変更が生じたときには、速やかに書き換えること
すべての標識の規格はこちらで確認できます。
参考:宅地建物取引業免許申請等様式 国土交通省
3.宅建の標識の掲示位置は?
3-1.標識はどこに掲示すればよいのか?
標識は事務所以外含めて、どこに掲示すればよいのでしょうか?標識を掲示すべき場所は3種類の場所が法定されています。
1) 事務所
2) 事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所
3) 1)および2)以外の場所であって標識を掲示すべき場所
3-2.掲示場所の説明【事務所とは?・案内所・クーリングオフの適用】
掲示場所の3つの分類の詳細は以下です。事務所以外の場所は、そこで契約の締結(予約を含む)又は契約の申込みを行うために、宅地建物取引業法 第50条第2項にしたがって都道府県に届出を行う場所となります。
1)事務所 | 1.本店または支店 登記簿等に記載され、継続的に宅地建物取引業の営業の拠点となる実体を備えているもの(宅地建物取引業を営まない支店は「事務所」ではない)本店は支店の業務を統括する立場にあり、本店が宅地建物取引業を直接営んでいない場合でも、「事務所」に該当する。
2.上記1.以外で「継続的に業務を行なうことができる施設」を有する場所で、宅地建物取引業に係る「契約を締結する権限を有する使用人(宅建士に限らない)」を置く場所。「継続的に業務を行なうことができる施設」とは、固定的な建造施設=テント張りや仮設小屋は含まない。 |
---|---|
2)事務所以外で 専任の宅地建物取引士を 置くべき場所 |
契約の締結 契約の申込みを受ける |
3)1)および2)以外の 場所であって 標識を掲示すべき場所 |
3)は契約の締結・申し込みの要件はない |
標識を掲示しなければならない宅建業の「事務所、その他の場所」とは、ざっくりというと、消費者が購入判断・契約をする場所すべてといって良いでしょう。
購入判断・契約をする場所は、消費者の権利を守る「クーリングオフ」にも影響します。
このクーリングオフとは、一定の条件を満たしていれば、一度結んだ契約を書面による通知でキャンセルできる制度です。このクーリングオフの条件のひとつに、売買契約をどの場所で契約するかが含まれるのです。
〇売主が宅建業者
〇契約場所が宅建業者の事務所
〇買主が指定した契約場所
この3つを満たしたうえ、クーリングオフに関する説明を事前に受けていれば契約から8日以内にクーリングオフを利用でき、説明を受けていなくとも、代金の決裁までにクーリングオフ制度が利用できます。
しかし、契約場所が宅建業者(不動産会社)の事務所の場合、クーリングオフが利用できません。それほどに、「契約場所は消費者の判断に大きな影響がある」と考えるのが、宅建業法の「消費者保護」の見解なのです。
4.その他、宅建業者が事務所に掲示する内容【誰が・何を】
「宅地建物取引業者票」の標識以外に、事務所等に掲示・作成・保管義務があるものは何でしょうか?
4-1.報酬額表
宅建業者はその事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならないとされています。その「報酬額表」の内容は以下です。
- 定義
- 売買又は交換の媒介に関する報酬の額
- 売買又は交換の代理に関する報酬の額
- 賃借の媒介に関する報酬の額
- 賃借の代理に関する報酬の額
- 権利金の授受がある場合の特例
- 第2から第6までの規定によらない報酬の受領の禁止
なお、宅建業法改正に伴って報酬額表は内容が改訂され、令和元年10月1日より、新しいものに変更して掲示する必要があります。周りで気づいていない業者さんを見かけたら、教えてあげましょう!
4-2.取引台帳、契約書及び重要事項説明書
取引を行った契約書及び重要事項説明書の保管の他、「取引台帳」を備え保管することを要します。取引台帳は事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間保存、業者が自ら売主となる新築住宅については10年の保存です。
帳簿の内容は以下です。
- 取引年月日
- 宅地建物の所在・面積
- 取引態様(売買・交換又は売買・交換・賃借の代理・媒介の別)
- 取引相手もしくは代理人の氏名・住所
- 取引に関与した宅建業者の商号または名称
- (宅地の場合)現況地目・位置・形状その他の概況
- (建物の場合)構造上の種別・用途その他の建物の概況
- 売買金額・賃料・交換物件の品目及び交換差金
- 報酬額
- 特約
- その他
4-3.従業者証明書・従業者名簿
宅建業の従業者に対し従業者証明書を発行し、携帯させ、事務所ごとに従業者名簿【保存期間10年】を備える必要があります。必要な内容は以下です。
- 従業者の氏名
- 従業者証明書の番号
- 生年月日
- 主たる職務内容
- 宅地建物取引士であるか否かの別
- 当該事務所の従業者となった年月日
- (当該事務所の従業者でなくなった者は)その年月日
従業者証明書の様式
4-4.事務所の仕様
これは本店・支店などに関してのみですが、事務所として使用する場所には、構造上の仕様も規定されています。
自宅など戸建住宅の一部やシェアオフィスを事務所にする場合、
- 専用の出入り口がある
- 居住スペースときっちり分けられている
- 他法人との間がきちんと間仕切りされている
- 事務所としての形態が整えられている
などを備えることが規定されています。
宅建業の開業については、こちらもぜひご覧ください
宅建士の独立開業は儲かる?必要資金・流れ・失敗しないための準備方法を解説!
5.「宅建 標識」のまとめ
以上、「宅建 標識」というテーマで解説をしました。
宅建受験を準備している人も、宅建業開業を目指している人も、「一生に一度の買い物」を決断する場所は、法で厳しく管理されていることをお分かりいただけたと思います。
- 宅建業法で決められた「宅地建物取引業者票」=標識の掲示は消費者保護のため。
- 標識は決まった場所に決まった内容の掲示が必要。やらなければ違法になる。
- 「宅建業の事務所」として、その他報酬額表示等掲示や備え付け義務がある。
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