不動産コンサルティングマスターとは?難易度・資格をとる意味を解説
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不動産コンサルティングマスターとは、どんな資格なのでしょうか。はたして勉強時間をかけてとる価値がある資格なのでしょうか?
実は不動産コンサルティングマスターの資格が役立つかどうかは本人次第と言えます。
なぜならコンサルタントとして深い知識があることを証明できる一方で、取得ハードルの高い試験だからです。
今回は、不動産コンサルティングマスター資格の概要や試験内容についてお伝えします。年収アップに効果があるのかも解説していますので、興味がある人はぜひ参考にしてください!
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
目次
1.公認 不動産コンサルティングマスターとは?
不動産コンサルティングマスターとは、幅広い知識を有する不動産のプロであることを証明する資格です。
位置づけとしては宅建士の上位資格のようなもので、一部からは略して「不コン」とも呼ばれています。
不動産コンサルティングマスターの資格は、近年になって注目を集めています。なぜなら、不動産の有効活用ニーズが高まったことにより、高い専門性をもって対応できる人が求められているからです。
資格の内容については、以下で詳しく紹介します。
1-1. 民間資格(準公的資格)である
不動産コンサルティングマスターは国家資格ではありません。
国土交通大臣の許可を受けて「公益財団法人不動産流通推進センター」が認定している民間資格です。
しかし、資格保持者は肩書きとして名刺に書くことができます。
公認 不動産コンサルティングマスターは、名刺等において、次のように表示することができます。
公認 不動産コンサルティングマスター(○)第○○○○○号
認定試験である不動産コンサルティング技能試験は1993年から開始されており、平成30年2月時点で約17,000名の方が資格認定を受けています。
1-2.受験資格
公認 不動産コンサルティングマスターの受験対象者は、「宅地建物取引士資格登録者」「不動産鑑定士登録者」「一級建築士登録者」の3つの国家資格登録者の方しか受験資格がありません。
現に各資格の業務に従事している、あるいは今後従事しようとしている人に限られます。
宅建はそれほど難関ではありませんが、不動産鑑定士と一級建築士の資格はかなりレベルが高いので簡単に取得はできません。
これらの資格を取得してからでないと受験できないため、ハードルが高めの資格といえます。
1-3.資格の登録条件
資格登録を行うには、不動産コンサルティング技能試験の合格に加えて、以下3つの条件のうち1つ以上を満たす必要があります。
- 宅地建物取引士資格の登録後、不動産に関する5年以上の実務経験がある
- 不動産鑑定士として登録後、不動産鑑定に関する5年以上の実務経験がある
- 一級建築士として登録後、建築に関する5年以上の実務経験がある
1-4.更新の手続き
なお、資格登録後は5年に1回の更新が必要です。
不動産コンサルティングマスター資格に合格して、公益財団法人不動産流通推進センターの登録を受けた後は5年ごとに更新手続きを行います。
1-4-1.更新時期
不動産コンサルティングマスター資格の更新申請受付期間は以下の通りです。
有効期間の満了時期 | 申請受付期間 |
---|---|
2022年3月31日に有効期間が満了 ※認定証には平成34年3月31日と記載 |
2021年(令和3年)10月1日~ 2022年(令和4年)2月28日 ※11月末・1月末・2月末・3月末毎に手続き完了分を締切り、翌月下旬に認定証を発送 |
2023年3月31日以降に有効期間が満了 ※認定証には平成35年3月31日以降と記載 |
有効期間満了の半年前(前年の10月1日)から更新申請手続きが可能 |
不動産コンサルティングマスターの申請受付期間(2021年11月時点)は、2022年3月31日に有効期間が満了する場合は2021年10月1日~2022年2月28日、2023年3月31日以降に有効期間が満了する場合は有効期間満了日の半年前(前年の10月1日)から更新申請手続きができます。
登録を更新していない場合は、期間を問わず受付が可能です。
1-4-2.更新の要件
更新する際には、更新申請時に「宅地建物取引士」「不動産鑑定士」「一級建築士」(登録申請時に申請した資格)のいずれかが有効であることが要件となります。
宅地建物取引士については、現に有効な宅地建物取引士証の交付を受けていることが必要です。
また、登録の抹消要件に該当する人は更新できません。
なお、その他の要件としては以下の2点が必要です。
- 不動産コンサルティングに関する研究報告を提出すること
- 不動産コンサルティング地方協議会が実施する「専門教育」を受講すること
※受講料は、1日コース21,000円(消費税込)
研究報告書は2,000字以上の記述が必要となります。「専門教育」とは、不動産に関する幅広い高度な知識や技能などを養成することが目的です。
1-4-2.更新手数料
更新手数料は以下の通りです。
一度払い込んだ手数料は返還されませんが、審査の結果、登録の更新ができない場合は、審査手数料として1,090円(消費税等込)及び振込に係る手数料を控除した金額が返還されます。
更新(交付)手数料 | 10,900円(消費税等込) |
---|---|
審査の結果、登録ができなかった場合の審査手数料 | 1,090円(消費税等込) |
2.不動産コンサルティングマスターになるメリット
不動産コンサルティングマスターになると、仕事をしていくうえでさまざまなメリットを得られるようになります。
ここでは、「報酬面」「業務面」についてのメリットをご紹介しましょう。
2-1.不動産コンサルティング業務に関して正式に報酬を受け取れるようになる
不動産コンサル自体は資格無しでもできる仕事であり、誰でも名乗ることができるといえます。
ただし、不動産コンサルティングマスターは、「宅建士」や「不動産鑑定士」「一級建築士」など不動産に関する国家資格を持っていないと、そもそも受験が認められない資格です。
受験を申し込みする時点で「不動産のプロ」であるかどうかが問われます。決して自分でただ名乗っているだけの「自称 不動産コンサル」ではありません。
すでに「不動産の専門家」であるという根拠の上に成り立つ「不動産コンサルティングマスター」は、世間から「不動産コンサル」として一定の能力を持っているとみなされる存在です。
したがって、資格を取得することで、宅地建物取引業務とは別に正式な報酬を受取ることができるようになります。
2-2.各種要件を満たす資格を得ることができる
不動産コンサルティングマスターの資格を取得すると、不動産関連業務の各種要件を満たせるようになります。
おもな要件は以下の3つです。
- 「不動産特定共同事業」の業務管理者となるための資格
- 「不動産投資顧問業登録規程」における登録申請者及び「重要な使用人」の知識についての審査基準を満たす資格
- 「金融商品取引法」における「不動産関連特定投資運用業」を行なう場合の人的要件を満たす資格
たとえば、「不動産特定共同事業」の業務管理者になるには資格に関する要件があり、不動産コンサルティングマスターも必要な資格として指定されるようになりました。
不動産投資顧問業に関する人的要件にも定められ、国土交通大臣の登録を受けるなど公的な機関に登録する際に必要な資格です。
3.不動産コンサルティング技能試験の概要【2021年最新版】
2021年度(令和3年度)の不動産コンサルティング技能試験の内容は、以下のとおりです。
試験日 | 令和3年11月14日(日) |
出題科目 | 事業、経済、金融、税制、建築、法律 |
試験方式 | <択一式試験>50問 四肢択一
事業、経済、金融、税制、建築、法律の6科目
<記述式試験> 【必修科目】 実務、事業、経済の3科目 【選択科目】 金融、税制、建築、法律の中から1科目選択 (選択科目は、試験当日に問題を確認の上、選択して解答) ※記述式試験時のみ電卓使用可。 |
試験時間 | <ガイダンス> 午前10時15分~10時30分
<択一式試験> 午前10時30分~12時30分(2時間) <記述式試験> 午後 2時00分~ 4時00分(2時間) |
試験地 | 札幌・仙台・東京・横浜・静岡・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄 |
申込受付期間 | 令和2年7月20日(月)10:00~9月17日(木)23:59 (Web申込) |
合格発表 | 令和3年1月8日(金)10:00
※合格者の受験番号をホームページに掲載 ※A4サイズの合格証明書を希望する場合は、手続のうえ3,500円(消費税等込)で発行可能 |
受験料 | 31,000円(消費税等含む) |
受験票の送付 | 令和2年10月中旬に普通郵便により発送
※受験番号・試験会場名・試験会場地図等を記載 |
その他 | 住所変更、受験地変更等の申し出は「令和2年10月上旬まで」の問い合わせで変更可能。 |
3-1.試験当日の注意点
試験当日の注意点としてはまず、昼食を持参することです。
試験時間は午前と午後に分かれるため、ご飯をしっかり食べて午後の試験も万全の状態で挑みましょう。
そして、以下4点を忘れないことも大切です。
- 受験票(写真を貼付)
- 筆記用具(HBまたはBの鉛筆・シャープペンシル、消しゴム)
- 腕時計(携帯電話等の通信機器を時計として使用することはできない。)
- 電卓(記述式試験のみ使用可。辞書機能付き・通信機能付きのものは使用不可、計算機能のみのものに限る。)
とくに受験票は必ず忘れないように注意が必要です。
紛失した場合は、速やかにホームページ記載の問い合わせ先に連絡しましょう。試験当日まで紛失の連絡がない場合は、試験が受けられない可能性もあります。
4.不動産コンサルティング技能試験の難易度
不動産コンサルティング技能試験は、比較的難しい試験であると言えます。
試験範囲が広いことや受験ハードル自体が高いことが、難易度の高い理由です。
実際の合格率は、以下のとおりです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和元年度 | 1,323 | 538 | 40.7% |
平成30年度 | 1,393 | 589 | 42.3% |
平成29年度 | 1,404 | 608 | 43.3% |
平成28年度 | 1,304 | 648 | 49.7% |
平成27年度 | 1,320 | 654 | 49.5% |
(データ引用元:不動産コンサルティング技能試験 年度別受験者数・合格者数 -公益財団法人 不動産流通推進センター)
ここ数年は40~50%前後の合格率で推移しています。約2人に1人が合格しているため、簡単そうに思えるかもしれません。
しかし「不動産鑑定士」や「一級建築士」などの難関資格合格者が受験してこの数字であることがポイントです。受験ハードル自体が高いため、受験者数は毎年約1,300人前後と少数です。
合格率が毎年下がってきていることから、難易度自体が上がってきていると考えてもいいでしょう。
合格基準については、以下のとおり合計200点満点中120点前後がボーダーラインとなっています。
年度 | 合格基準点 |
令和元年度 | 120点以上 |
平成30年度 | 110点以上 |
平成29年度 | 115点以上 |
平成28年度 | 110点以上 |
平成27年度 | 115点以上 |
(データ引用元:試験要項 – 公益財団法人 不動産流通推進センター)
試験では税制や建築、法律といった専門的な知識から、経済や金融といった広い視点の知識まで求められます。その中で一定以上の得点を得なければ、合格できません。
5.不動産コンサルティング技能試験の勉強方法【おすすめテキストも解説】
不動産コンサルティング技能試験の勉強方法は、「独学」または「講座受講」に分かれます。
それぞれの勉強方法や勉強時間については、以下で紹介します。
5-1.独学でも合格できる
結論から言うと、独学でも試験合格は可能です。
一番効果があった勉強方法を合格者に聞いたアンケートでは、「テキスト等を購入して独学で勉強」が「40.4%」ともっとも多い回答でした。
(出典:令和元年度不動産コンサルティング技能試験合格者アンケート結果 -公益財団法人 不動産流通推進センター)
独学で使用するテキストは、以下がおすすめです。
- 試験科目全般:令和3年度 不動産コンサルティング基本テキスト
- 税制:令和3年(2021年)度版 背景・趣旨がよくわかる 改正点付き 不動産税制の手引
- 法律:令和3年(2021年)度版 背景・趣旨がよくわかる不動産関連法令改正のポイント
各テキストは、不動産流通推進センターの販売ページで購入できます。
1年分の過去問は公式サイトにありますが、以下の問題集を購入すると3~5年分の過去問が入手可能です。
テキストを一通り読んだ後は、過去問を解いて知識を固めていきましょう。
5-2.講座受講でも勉強できる
独学では不安な場合は、「講座受講」でも勉強可能です。
講座は、日本で唯一「不動産コンサルティング技能試験の対策講座」を扱っているアットホームスタディがおすすめです。
わかりやすいテキストや問題集で勉強できるほか、WEBで閲覧可能な一問一答形式の〇×問題でスキマ時間の学習もはかどります。
なお、公益財団法人不動産流通推進センターでも、インターネット通信講座「不動産コンサルティング入門研修」という講習が受けられます。
5-3.不動産コンサルティング技能試験の勉強時間・期間
勉強時間についての合格者へのアンケートでは、平日は1~2時間以内と答えた人が大半を占めています。
また、休日は2時間以内と答えた人がもっとも多く、次いで4時間超えとなっています。
勉強時間についての質問では、合計で50~100時間という回答がもっとも多く、勉強期間は2~3ヶ月程度という回答が大半です。
(出典:令和元年度不動産コンサルティング技能試験合格者アンケート結果 -公益財団法人 不動産流通推進センター)
難関資格の合格経験者が受ける試験ということもあってか、想像よりも短い勉強時間で合格を果たした人が多い傾向が読み取れます。
なかには「最短1週間で合格した」という人のブログ記事(一週間で不動産コンサルティングマスターに合格の勉強法!)もあります。
6.不動産コンサルティングマスターの仕事内容
不動産コンサルタントの仕事は、不動産に関わる問題について専門家として解決策をアドバイスすることです。
法律上、資格が必要な業務ではないため、無資格でも「不動産コンサルタント」の仕事はできます。
しかし不動産コンサルティングマスターの資格を取得すると、通常のコンサルティング業務だけではなく以下の業務も可能となります。
- 「不動産特定共同事業法」における「業務管理者」(宅地建物取引士の資格を有していることが条件)
- 「不動産投資顧問業登録規程」における「登録申請者」および「重要な使用人」
- 「金融商品取引法」における「不動産関連特定投資運用業」
簡単に説明すると、投資のアドバイスを行ったり不動産ファンドなどを運営したりする者として許可・登録を得られるということです。
つまり、不動産コンサルティングマスターを取得すると不動産投資に関わる業務にも携われるようになり、仕事の幅を広げられます。
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不動産コンサルタントの仕事内容は?年収や必要な資格まで紹介!!
7.【暴露】不動産コンサルティングマスターに取得する価値はあるのか?【年収は上がる?】
「不動産コンサルティングマスターの資格をとることに意味はあるの?価値はあるの?」という声はよく聞きます。
確かに不動産コンサルティングマスターの資格を取得したからといって、宅建士のように手当がついてすぐに年収が上がるという訳ではありません。
しかし不動産コンサルタントの仕事には相場や料金規定がないため、条件の良い仕事を取ってこられれば年収は青天井に伸びます。
不動産コンサルティングマスターの資格は民間資格ですが、国土交通大臣の認定する資格のため取得すると社会的信用が上がります。その結果、仕事を受けやすくなり、年収が増加する可能性はあるでしょう。
ただし、受験ハードルと登録要件が厳しいため、必ずしも「コスパ」の良い資格とは言い切れません。
仕事において、どこに重きを置くのかは人それぞれです。顧客からの信頼を得たい場合や業務の幅を広げたい場合は、有効な資格と言えます。
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8.「不動産コンサルティングマスター」のまとめ
不動産コンサルティングマスターの資格を取得すると、知識を実務に活かせるうえ、不動産コンサルタントとしての信用度が上がります。
しかし資格取得が年収アップに結びつくかどうかは、コンサルタントとしての実力次第とも言えるでしょう。また会社員の場合は、インセンティブがもらえるコンサルタント会社に勤めているかどうかも大切です。
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出典:試験に合格された方の技能登録申請について – 公益財団法人 不動産流通推進センター
出典:更新申請手続きについて – 公益財団法人 不動産流通推進センター
出典:試験要項 -公益財団法人 不動産流通推進センター
出典:試験要項 -公益財団法人 不動産流通
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