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ビルメンテナンス・管理業界の動向は?課題や将来性・売上ランキング10社も解説!

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ビルメンテナンスは、ビルやマンションを維持管理するのが仕事です。たとえば水道や空調の管理清掃警備など、さまざまな業務があります。

私たちの日常と密接に関係する仕事ですが、「仕事の内容や業界の動向についてはよくわからない」という人が多いのではないでしょうか。そこで今回は、ビルメンテナンス業界の現状と将来を解説しました。

いま、ビルメンテナンス業界時代の転換点に立っています。大きな課題がある反面で、大きな可能性も併せ持っているのが実態です。売上大手10社の特徴も解説しました。これを読めば、業界の現状と今後の可能性が見えてくるはずです。

監修者棚田健大郎

この記事・サイトの監修者

棚田 健大郎

保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有…続きを読む

不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数10万人以上。

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1.ビルメンテナンス業界の現在

1.ビルメンテナンス業界の現在

まずは、ビルメンテナンス業界の全体像を概観してみましょう。業界の現況と、売上上位10社の概要を解説します。

1-1.ビルメンテナンス業界の現況

ビルメンテナンス業界の市場規模は、4兆円前後と言われています。2020年度コロナの影響で減少すると見られていますが、この数年の動向を見る限り安定して成長しているのが特徴です。

矢野経済研究所の調査によれば、市場規模の推移は次のとおりです。

年度 市場規模
2015年度 3兆8,352億円
2016年度 3兆7,433億円
2017年度 3兆7,403億円
2018年度 3兆9,952億円
2019年度 4兆2,763億円(見込み)
2020年度 3兆9,335億円(予測)

出典:ビル管理市場に関する調査を実施(2020年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

これを「建物別」で見てみると、次のようになります(2019年の場合)。

建物の種類 市場規模 シェア
事務所ビル 9,332億円 21.8%
店舗商業施設 7,832億円 18.3%
学校施設 4,241億円 9.9%
医療福祉施設 4,236億円 9.9%
工場・作業所 4,092億円 9.6%
住宅 1,515億円 3.5%

参考までに「2019年-2020年」における主要企業10社の売上合計は、9,893億円です。業界の市場規模は4兆円前後なので、上位10社で全体の25%を占める計算です。

また「上位10社の売上合算値」は、2009年から2019年にかけて右肩あがりで伸び続けています。このように、ビルメンテナンス業界が安定して成長している背景としては、次のような点が挙げられます。

  1. マンションやオフィスなどの管理物件の増加
  2. オフィス賃料の上昇や、空室率の減少
  3. 業界における人件費の高騰で、契約単価も上昇

世の中にビルが存在するかぎり、ビルメンテナンスの仕事がなくなることは考えられません。そのため今後も安定した需要が見込まれています。

また、ビルメンテナンスにはさまざまな業務がありますが、「ビルメンテナンス情報年鑑2020」によれば、平均的な売上構成は次のようになっています。

  • 一般清掃:63.5%
  • 設備管理: 17.4%
  • 警備:7.1%
  • その他のビルメンテナンス業務:12.1%

出典:図表 2-1-2-1 月商規模別 ビルメンテナンス業務の売上構成「ビルメンテナンス情報年鑑2020」公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会

もっとも比率が高いのが一般清掃の事業ですが、小さな会社ほど清掃に依存する傾向があります。企業規模が大きくなるほど清掃業務の比率は小さくなっています。また、近年よく伸びているのは警備に関する業務です。

ポイントビルメンテナンス業界安定的に成長しています。「世の中にビルが存在するかぎり、ビルメンテナンスの仕事はなくならない」ということが影響しています。

1-2.ビルメンテナンス業界の会社

続いては、ビルメンテナンスの主要10社の特徴を見てみましょう。売上高ランキング1位から10位までの企業を紹介します。

出典:ビル管理業界 売上高ランキング(2019-2020年)-業界動向サーチ

1-2-1.イオンディライト(3,085億円)

1-2-1.イオンディライト(3,085億円)

売上高の第1位は、年商3,085億円のイオンディライトです。社名からわかるとおり、イオングループに属する企業です。

もともとは総合スーパー「マイカル」が立ち上げたビル管理会社が前身ですが、2001年マイカルが経営破綻したことでイオンの子会社となりました。

その後、イオンのビル管理会社「イオンテクノサービス」と統合され、現在のイオンディライトに至ります。

ビルメンテナンス業界の売上ではダントツのナンバーワンで、第2位と比べると約2倍の数字になっています。ビル管理の上位10社の売上合計(9,893億円)のうち、3割を占めているのがイオンディライトです。

事業拡大に熱心で、2018年に策定された「イオンディライト ビジョン2025」によれば、2025年度までに売上高で4710億円、アジアでナンバーワン、グローバルでトップ10に入ることが目標に掲げられています。

国内市場では、2015年にJ・フロントリテイリング傘下のビルメンテナンス会社「白青舎」TOBにより買収したことが話題になりました。

また海外には2007年中国を筆頭に、2012年にはマレーシアベトナムにも進出しました。中国では進出10年にして、受託件数が200物件、管理面積で2,000万平方メートルを超えるまでに成長しています。

また2018年10月にはインドネシアの清掃事業で国内2位となるPT Sinar Saranaを買収しています。海外進出は今後さらに加速していくと見られています。

イオンディライト株式会社

1-2-2.東急不動産ホールディングス(1,711億円)

1-2-2.東急不動産ホールディングス(1,711億円)

売上高の第2位は、東急不動産ホールディングスです。

同社は不動産に関するさまざまな事業を展開するホールディングカンパニーですが、このうち管理事業の売上高のみを抽出すると、年商1,711億円となっています。

管理・運営する物件の数は膨大で、オフィスや商業施設は1,100件マンションの管理戸数は約83万戸にもおよびます。

代表的な管理物件としては、二子玉川ライズJPタワー名古屋、UR賃貸住宅のコンフォール霞ヶ丘ブランズシティ品川勝島などがあります。

また民間施設だけでなく、公共施設の管理にも強いのが特徴で、たとえば、参議院議員会館北九州空港ターミナルビル小笠山総合運動公園(エコパスタジアム)や五反田文化センター内のプラネタリウムなどが有名です。

東急「次世代型のビルメンテナンス企業」への変革にも熱心で、省人化や省力化への取り組みも、他社を抜きん出ています。

2019年5月には「技術研修センター NOTIA(ノティア)」を稼働させました。新しい技術を実証実験する場所で、たとえば「清掃ロボット用に開発した新技術」の実験が進んでいます。

「将来のビルやマンション清掃は、人ではなくロボットが行うようになる」との前提で開発された技術で、これが普及すると、国内主要メーカーの清掃ロボットならエレベーターへの自動乗降が可能になるという計画です。

管理事業 │ グループ事業紹介 │ 会社案内 │ 東急不動産ホールディングス株式会社

1-2-3.共立メンテナンス(1,697億円)

1-2-3.共立メンテナンス(1,697億円)

第3位は、東証一部上場企業共立メンテナンスで、年商は1,697億円となっています。

当初は受託の給食事業を展開する企業でしたが、事業の拡大につれて学生寮や社員寮の運営も手掛けるようになりました。

現在では、ホテルや温浴施設、老人ホーム等の「シニア向け賃貸住宅」まで展開しています。運営や管理を行う建物の総数は500棟以上あり、受託を受けている社数は3,000を超えています。

また、自治体向けのサービス展開を強化していることでも知られており、主に以下のような公共サービスの受託を進めています。

自治体の業務が効率化されるだけでなく、コスト削減にもつながると評判のようです。

  1. 庁舎の総合受付、案内、各課の事務や庶務業務など
  2. 庁舎や施設の管理、清掃、公園の管理
  3. 車両の運行管理(スクールバスやコミュニティバス、公用車など)
  4. 学校の給食や保育園の給食の調理
  5. 保育や子育てに関する業務、児童館の運営
  6. 図書館や資料館・公民館の運営

共立メンテナンス|よい朝のために。KYORITSU HOTELS & DORMITORIES

1-2-4.日本ハウズイング(1,165億円)

1-2-4.日本ハウズイング(1,165億円)

第4位は、年商1,165億円の日本ハウズイングです。リログループの関連会社、現在では東証2部に上場しています。創業は1958年です。

管理物件の数は業界トップクラスで、賃貸マンションが1,210棟、ビルが600棟、マンションが約1万棟(約47万戸)です。海外も含めれば全部で約60万戸にもなります。しかも、この受託件数は毎年のように増加し続けています。

大手のメンテナンス会社の場合、デベロッパーである親会社の系列で受託できるケースも多いですが、日本ハウズイングの親会社であるリログループはデベロッパーではありません。

同社によれば、この増加の8割は「管理会社の見直し」によるものだといいます。日本ハウズイング高い提案力を裏付けるものと言ってもよいでしょう。

海外進出については、2016年ベトナムの清掃企業を買収したのがスタートです。その後もシンガポールの同業を買収するなど、アジア展開にも積極的な姿勢を示しています。

日本ハウズイング株式会社

1-2-5.日本管財(1,063億円)

1-2-5.日本管財(1,063億円)

第5位は、年商1,063億円の日本管財です。ビルメンテンナス業界で初めて上場した企業として知られ、現在は東証1部に上場しています。

日本管財という社名「お客様の大切な資産を管理する」という理念から来ており、ビルやマンションなど、さまざまな建物の管理をメインとしています。

珍しいケースとしては「環境衛生施設の管理事業」があります。おもに扱うのは清掃工場浄水場、下水処理場などですが、「放射性廃棄物処理施設」にも対応することが可能です。

また社名に込められた理念から、建物のライフサイクルコストを下げるための提案が熱心な企業です。一般的に、建物を建設してから解体するまでのコストは、建築コストの5倍以上になると言われています。

ビルメンテナンスのノウハウを活用しながら、ライフサイクルコストの最適化をはかる提案を行うのが同社の強みです。

またM&Aによる業容拡大にも取り組んでおり、たとえば2016年7月には沖縄で120棟のビル管理を扱うビルメンテナンス企業「沖縄星光」を買収しました。

また2013年にはオーストラリアへの進出を果たしました。現在では業界トップとして、オーストラリア国内で8%のシェアを獲得するまでになっています。

その後、2016年にはカリフォリニア2020年にはハワイにも進出しています。

日本管財株式会社

1-2-6.ビケンテクノ(368億円)

1-2-6.ビケンテクノ(368億円)

売上高の第6位は、年商368億円のビケンテクノです。1963年創業東証2部上場企業です。

メインはビルのメンテナンス事業ですが、関連分野への進出にも意欲的です。

たとえば、ビルメンテナンス事業で得られた知見をもとに、不動産の資産価値向上をふまえた管理事業を展開したり、介護施設保育施設、医療機関の運営、またFC店舗の展開などにも進出しています。

2016年にはホテルの運営も開始しました。その他、バイオクリーンの技術を活かすことで、病院研究機関、食品工場の製造ラインにも対応可能になりました。高度な殺菌洗浄(サニテーション)も得意としています。

また業界でもいち早く海外進出を果たし、シンガポール、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどへも拠点を広げています。

同社は「アジア全体がマーケット」としており、「日本人スタッフによる現地指導」というかたちで、日本のメンテナンス技術をアジアに広げることもミッションに掲げています。

株式会社ビケンテクノ

1-2-7.大成(264億円)

1-2-7.大成(264億円)

売上高の第7位は、年商264億円の大成です。本社は名古屋にあり、名証2部に上場しています。創業は1959年です。

もともとは、清掃や警備、設備管理などを中心とするビルメンテナンス企業でしたが、リニューアル工事の事業ホテルの客室清掃業務、公共施設の運営管理太陽光発電事業にも進出するなど、業容拡大に熱心な企業としても知られています。

海外進出にも意欲的で、近年では中国香港、ベトナム、シンガポール、インドネシアなどでも事業を展開しています。

また、ビルメンテナンス業界では人材不足が深刻化していますが、外国人技能実習生を受け入れたり、ロボットやIoTを活用したサービス開発にも注力する動きを見せています。

次世代型の「総合ビルサービス会社」として、新たな管理手法の模索に熱心な企業の一つだと言えるでしょう。

大成株式会社|ビル管理・ビルメンテナンス・ファシリティマネジメント

1-2-8.東洋テック(248億円)

1-2-8.東洋テック(248億円)

売上高の第8位は、年商248億円の東洋テックです。

関西エリアで最初に設立された警備会社として知られ、創業は1966年です。現在はセコムのグループ企業になっており、東証2部に上場しています。

ビルメンテナンスについては、テナントビルやオフィスビル、マンションやスーパー、量販店、老人介護施設など、幅広い種類の施設を取り扱っています。

ただ、もともと警備会社としてスタートしたことやセコムとの関連もあり、セキュリティ方面に強みを持っているのが特徴です。

たとえば機械警備やホームセキュリティ、コインパーキングの管理や輸送警備、ATM管理などがあります。

また業容拡大にも意欲的で、2020年4月には同業の「新栄ビルサービス」を買収しています。

東洋テック株式会社

1-2-9.ハリマビステム(233億円)

1-2-9.ハリマビステム(233億円)

売上高の第9位は、年商233億円のハリマビステムです。大手のグループに属しない、独立した総合ビルメンテナンス企業です。ジャスダックに上場しています。

1961年創業の老舗で、2021年10月創業60年を迎えます。本社は横浜にあり、横浜ランドマークタワーや横浜赤レンガ倉庫、横浜新市庁舎なども、ハリマビステムの管理物件です。

その他、取り扱う物件数は2,400以上(マンションの運営管理数は1,300物件)にものぼり、有名な施設としては次のようなものがあります。

  • 虎ノ門ヒルズビジネスタワー
  • クイーンズスクエア横浜
  • 慶應義塾大学矢上キャンパス
  • 桜美林学園
  • 芝浦工業大学
  • 日産スタジアム

事業のメインはビルのメンテナンスやマネジメントですが、M&Aや海外進出による業容拡大も進めています。1995年には上海に進出し、2016年8月には関西に強みをもつビルメンテナンス会社「協栄ビル管理」を買収しています。

またハリマビステム堅実な企業としても知られており、50期に渡って連続して黒字を出しているという珍しい企業です。

ハリマビステム |首都圏を中心としたビル・建物の管理やマネジメント

1-2-10.アール・エス・シー(59億円)

1-2-10.アール・エス・シー(59億円)

売上高の第10位は、年商59億円のアール・エス・シーです。サンシャインシティの子会社で、ジャスダックに上場しています。

設立されたのは1971年で、当初は「建物の安全や維持管理」を目的として立ち上げられました。少しずつ業容を拡大し、清掃や警備、人材派遣や介護など、幅広く展開していることで知られています。

また、総合警備保障会社としてセコムとの業務提携を行っています。

なお介護事業については、2021年6月末をもって撤退することが表明されました。今後は、ビルメンテナンスの総合管理企業として、本業に集中特化していくものと見られています。

警備保障・ビルメンテナンス・受付・設備管理・清掃・人材派遣サービス・介護サービスの株式会社アール・エス・シー

2.ビルメンテナンス業界の課題

2.ビルメンテナンス業界の課題

ビルメンテナンス業界の概況と、主要10社の特徴を解説してきました。

安定的に伸びている業界ですが、今後の成長という観点からすると、どのような懸念点があるのでしょうか。ここでは次の2つの課題を紹介します。

  1. 若年層・マネジメント層の人手不足
  2. 大手企業と中小企業の格差
ポイント安定して成長している業界ですが、課題もあります。これらの課題を制した企業が、これからの成長企業です。

2-1.若年層・マネジメント層の人手不足

まず1つ目の課題「若年層・マネジメント層の人手不足」です。人材不足は年を追うごとに深刻化しています。

しかも不足しているのは若年層やマネジメント層だけではありません。パートやアルバイトも含め、業界全体で人手不足に陥っています。改善の兆しは見られません

ポイント慢性的な人手不足喫緊の課題となっています。

2-1-1.「ビルメンテナンス情報年鑑2020」に見る業界の声

「ビルメンテナンス」労働集約型の産業です。機械や金銭よりも「人間の労働力」への依存度が高いため、「いかにして優秀な人を大量に確保するか」が勝負になります。人が足りなければ、新規受注も受けられなくなります。

「ビルメンテナンス情報年鑑2020」を見ると、「全国ビルメンテナンス協会」の会員を対象とする調査結果として、以下のような回答が寄せられています。

■従業員の過不足(常勤従業員)について

  • 本社:「不足」35.8%、「やや不足」43.7%:合計79.5%(2018年は78.2%)
  • 営業所:「不足」31.1%、「やや不足」43%:合計74.1%(2018年は72.7%)

また「ビルメンテナンス業務での悩み事」という質問では、事業所の87.2%「現場従業員が集まりにくい」と回答しています。2013年調査「悩み事トップ」になって以来、ずっとトップを維持しています。

第2位の悩み事「現場従業員の若返りが図りにくい」です。事業所の73%が回答しており、2009年53.5%を記録して以降、ずっと右肩上がりで増えています。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2020(公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会)

2-1-2.人手不足を解決する3つの方法

慢性的な人材不足の解決策としては、以下のような方策が考えられています。

  1. 外国人の活用
  2. 清掃ロボットの活用
  3. 警備ロボットの活用

まず1つ目は外国人の活用です。

たとえば前述の「ビルメンテナンス情報年鑑2020」を見ると、「外国人技能実習生」の受け入れに関心をもつ企業は増加しています。

「受け入れを積極的に拡大していきたい」「今後も受け入れを継続したい」「受け入れを前提に検討している」という3つの回答の合計は、「本社:29%」「支社・営業所:35.6%」となっています。

前年の2019年調査では「本社:24%、支社:34.5%」だったので、明らかに増加していることがわかります。

なお、ビルクリーニング職種の外国人技能実習生制度詳細については次の記事を参考にしてください。

外国人技能実習制度事業 – 公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会

また「清掃ロボット」「警備ロボット」についても、実証実験が進められています。とは言え、まだまだ時間がかかるのが実態です。

ビルメンテナンス業界サービス面の差別化が難しく、他社に抜きん出るには優秀な人を数多くそろえることが重要です。

業界内の競争が激化する中、中小企業の中には人材難も一つの要因として身売りを検討するところも出ています。このまま人材難が続けば、M&Aによる経営統合は増加することは間違いないでしょう(M&A事例については、後ほど解説します)。

2-2.大手企業と中小企業の格差

ビルメンテナンス業界2つ目の課題は「大手企業と中小企業の格差」です。さまざまな格差がありますが、なかでも大きな問題となっているのが次の2点です。

  1. IT化についていけるか
  2. 人材難と戦えるか
ポイント大手企業と中小企業の格差が広がっています。後ほど解説するように、国内の同業間でのM&Aも増えています。

2-2-1.IT化についていけるか

「大手と中小の格差」1つ目「IT化についていけるか」という問題です。

ビルメンテナンス業界でも、IT化の波が押し寄せています。ビルでもマンションでも、円滑で効率の良い管理を行うためにはネット活用が不可欠です。

しかしビルメンテナンス業界を見渡せば、古くからの老舗中小企業も少なくありません。IT技術を取り入れられる大手企業とそうでない企業との格差は、どんどん広がっていくと見られています。

もちろん、ITに強い中小企業ならチャンスです。なかでもIT化の恩恵を受けやすいのが警備業務です。機械警備ホームセキュリティーの分野は日増しに進歩しており、大手企業の中にはこの領域を活かして業績を伸ばしているところもあります。

また前述の通り、大手企業の多くは「業務用清掃ロボット」の活用に関心を強めています。専用の研究所を設けて実証実験を進めている会社もあります。いかに新技術に対応するかが強く問われています。

ポイントビルメンテナンスの業界には非効率がたくさんあります「IT化」が得意な会社ならチャンスです。

2-2-2.人材難と戦えるか

「大手と中小の格差」2つ目「人材難と戦えるか」という問題です。

すでに紹介したとおり、ビルメンテナンス業界は人材難が深刻になっています。労働人口が減少していることに加え、この業界は「きつい」「きたない」「危険」の「3K産業」として毛嫌いされています。

一方で、ビルメンテナンス事業労働集約産業です。委託管理を受注できても人が足りなければ業務を進めることができません採用は大手企業の方が有利のため、中小企業にとってはさらに厳しい時代になっています。

大手企業の中には、人材難をM&Aで解決しようとする動きも出ています。同業他社を買収できれば、人材も有資格者もまとめて手に入るからです。

たとえば近年では、以下のような同業M&Aが話題になりました。興味のある人は、ぜひそれぞれの事例を調べてみてください。

年月 買収側の企業 買収された企業
2013年2月 東急コミュニティー ユナイテッドコミュニティーズ
2015年12月 イオンディライト 白青舎(上場企業)
2016年7月 日本管財 沖縄星光
2016年8月 日本管財 協栄ビル管理
2019年5月 三幸 都市総合サービス
2020年3月 ホクタテ ふきのとう
2020年4月 東洋テック 新栄ビルサービス
ジャパンエレベーターサービスホールディングス セイコーエレベーター
2020年7月 ファーストブラザーズ 富士ファシリティサービス
2020年11月 TOKAIホールディングス イノウエテクニカ
2020年12月 穴吹ハウジングサービス 建衛工業
ポイント人材難は深刻です。採用力を上げるためには個別企業の努力だけでなく、業界全体のイメージアップも欠かせません。

3.ビルメンテナンス業界の将来性

3.ビルメンテナンス業界の将来性

ビルメンテナンス業界の概況主要10社の特徴、そしてこの業界の2つの課題を取り上げました。最後に、この業界の将来性を見てみることにしましょう。

1つは「今後も順調に伸びていく」ということ、そしてもう1つは「海外展開が増加する」という点です。

3-1.今後も順調に伸びていく

冒頭で解説したとおり、ビルメンテナンス業界は安定して成長しています。その要因には次のような点があります。

  1. マンションやオフィスなどの管理物件の増加
  2. オフィス賃料の上昇や、空室率の減少
  3. 業界における人件費の高騰で、契約単価も上昇

世の中にマンションやビルが存在する限り、メンテナンスの需要はなくなりません不況が続くとは言え、オフィスビルもマンションも、新規の供給戸数は減っていません

また、高度経済成長期に建設されたマンションやビル老朽化が進んでおり、建て替えの需要が迫っています。建て替えが難しい場合は相応のメンテナンスが必要です。

ビルメンテナンスの需要は、まだまだ止まることがないと考えて良いでしょう。

ポイント日本国内では、高度経済成長期のビルやマンションの建て替え需要が目前にひかえています。ビルメンテナンスの需要は引き続き旺盛と見込まれています。

3-2.海外展開が増加する

2つ目に言えるのは「海外展開が増加する」ということです。

今回の記事では「売上高の上位10社の特徴」についても解説してきましたが、どの企業も海外進出の勢いは旺盛です。

中国ASEANを筆頭に、海外では旺盛な建設需要があります。その反面で、ビルメンテナンスの技術に欠けるところもあります。また、日本国内では人材不足が深刻ですが、海外には多くの人材がいます。

ビルメンテナンスの需要があり、かつ、豊富な人材があることをふまえれば、海外進出はまだまだ加速していくと考えるべきでしょう。

ポイント海外では旺盛な建設需要がある反面、メンテナンスの技術に欠けるところがあります。ここに大きなチャンスがあります。

4.「ビルメンテナンス 業界」のまとめ

ビルメンテナンス業界の現状と今後について解説してきました。

ビルやマンションが存在する限り、ビルメンテナンスの需要はなくなりません。しかしその反面で、慢性的な人材不足が深刻化しているのも事実です。

今回の記事では売上上位10社の特徴や、現状の課題と将来性をまとめてみました。海外志向のある人なら大いにチャンスのある業界です。少しでも興味を感じた人は、さらに詳しく調べてみることをオススメします。

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