不動産を仕事にしている人以外には関わりが薄い「レインズ」ですが、「これ抜きには不動産物件情報の流通は語れない」ことになっています。なぜなのでしょうか。

「レインズとは何?」「何が出来るのか？」
「不動産ジャパンとの違いは？」
「エリアの名前は何を意味している？」

不動産の構成で円滑な流通のために、レインズは重要な役割を果たしています。とはいえ、物件情報はレインズが全て・絶対ではありません。なぜなのでしょう？

そこで今回は「レインズ　不動産」と題して解説します。不動産業に関わる人も、一般ユーザの人も、レインズの意義と用途について整理しましょう！

1.レインズとは？【不動産流通機構会員専用の情報交換サービス】

「レインズ（REINS）」とは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営している、コンピューターネットワークシステムです。「Real Estate Information Network Systems for IP Services」の頭文字をとって（REINS）です。

会員の不動産業者は個々に物件情報を登録したり参照したりして、日頃の業務に役立てます。

物件は市場価格・相場に沿って取引きしていくことが消費者保護につながるという観点で「では相場というものを可視化しよう」というのがレインズの目的でもあります。

この場合、今売っているものも大事ですが、「過去類似物件がいくらで取り引きされたか」も重要な指針になるわけです。

また、消費者の安心感を醸成してゆこうということで、会員の会社の店頭には「レインズマーク」が掲示してあります。店頭で見かけるこれです。
1988年以降、宅建業法に基づき、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」を結んだ場合は、その物件のレインズへの掲載が必要となります。
出典：レインズ　IP型システム（要パスワード）

逆に言えば、一般媒介や業者売主・貸主の場合登録義務はなく「積極的に登録する」ことになっているのみです。

これは、一般消費者が売主・貸主として立った場合に、契約業者の一方的なハンドリング（両手間狙いの囲い込みなど）を防ぎ、保護することが一義に考えられているからです。

また、情報データベースの性質から、同じ物件が重複登録されるのは厳に避けなければなりません。一般媒介の業者は登録ができないのはそのためです。

登録された物件はレインズから不動産会社に登録証明書が発行され、それを物件オーナーに提示します。

利用形態はインターネットを利用するＩＰ型と、それにファックス利用を併用するＩＰ／Ｆ併用型があります。さすがに昨今インターネットを使えない業者はほぼいないのでしょうが（いたらよほどの目玉物件でもない限り付き合いはお勧めしません）、低リテラシーへの配慮です。

出典：東日本レインズ

2.全国に4つあるレインズ【不動産流通機構会員専用の情報交換サービス】

「相場をあきらかにしてゆこう」という意図のもとでは、当然全国展開が求められます。レインズのシステムは全国に4つ稼働しており、この4つで日本全国の都道府県を網羅します。

・東日本レインズ（東日本不動産流通機構）
・中部レインズ（中部圏不動産流通機構）
・近畿レインズ（近畿圏不動産流通機構）
・西日本レインズ（西日本不動産流通機構）

 

エリア	物件所在地
東日本レインズ （東日本不動産流通機構）	北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、 山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、 新潟県、長野県
中部レインズ （中部圏不動産流通機構）	富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、 愛知県、三重県
近畿レインズ （近畿圏不動産流通機構）	滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、 和歌山県
西日本レインズ （西日本不動産流通機構）	鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、 徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、 佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、 鹿児島県、沖縄県

情報の入力・閲覧・検索などは日本全国どのシステムも見ることができます。入力や検索の窓口は、東日本と中部のレインズが現在一本化されています（システム共同利用）。将来的にはすべての地域が乗り入れる形となるでしょう。

3.レインズを利用するメリット【不動産流通機構会員専用の情報交換サービス】

では、不動産業者がどのようにレインズを利用するか、具体的な取引のシーンに当てはめてみましょう。

3-1.不動産を購入したい場合

あるいは顧客に依頼を受け、物件探しをしている時を想定されます。最新の物件情報を自分で調べ、取引の候補とすることができます。物件情報の中には、販売（賃貸）図面まで登録されていることも多いので、とりだして流用も可能です。

また、自分がさほど多く取引実績のない場所でも価格が明示されていて相場が分かるので、取引の検討材料になります。登録時には必ず住所も書かねばならないので、現地を見に行くこともできます。

3-2.不動産を売却したい場合

「売り物件が出た」「賃貸で空き部屋が出た」という情報を近隣業者にいち早く流すことができ、早期にお客様をキャッチする足掛かりになります。

また、情報掲載前に過去の取引事例から相場を参照し、価格決定の参考とすることもできます。「自分の物件が適切な条件か」他の事例と比較し、確認にもなります。

※レインズや物件ポータルへの入力も、宅建事務の重要な仕事です。

宅建事務とは？土日休み・未経験歓迎・重説だけの求人も解説

4.レインズを利用する際の注意点【不動産】

このレインズの物件情報、不動産業者ではない個人は見ることができません。

レインズに登録すると、「その物件が売りに出た・空いた」という事実と、その物件の具体的な住所がレインズのネットワークに公開されます。

「売りに出した」というのは場合によってはデリケートで知られたくない場合もあります。また、住所は個人情報です。これらを「守秘義務」を持たない一般消費者に公開はできないというのがその理由です。

物件情報を悪用される危険性と、その責任所在を問えないのが問題だということです。

5.個人でレインズの不動産情報を見る方法

とは言うものの、一般の人でも取引をするのに自分で相場を調べたり、値付けの参考にしたくなることはありますね？　そんな場合に備え、住所や築年数、価格などいく分ぼかしたかたちで、一般の人も見ることのできるWebサイトがあります。

5-1.レインズマーケットインフォメーション

成約価格を基にした不動産取引情報提供サイトは、全国４つのレインズの指定流通機構で構成されている全国指定流通機構連絡協議会の、実際に売買が行われた物件の価格（成約価格）等の取引情報を検索することができます。

成約価格を基にした不動産取引情報提供サイト

5-2.不動産ジャパン

こちらは取引実績情報ではなく、現在取引できる情報で、扱い業者も明記されています。いわばレインズベースの物件ポータルで、suumoやatHomeなどと同じ機能です。当然細かい住所などは書かれておらず、業者に問い合わせするまで物件特定はできません。

不動産ジャパン

これら２つのサイトで一般の方が物件情報を見ていて、たとえば「うちに条件の近いこの2つの物件、どうしてこんなに値段の差があるか分からない？？」というケースが出てくると思います。

物件の値付けの根拠には、法令制限や心理的瑕疵など様々な要素がありますので、プロの業者に聞いてみてください。単に売主がそんな変則的な値付けを希望しただけ、ということもありますが。

6.「レインズ　不動産」のまとめ

以上、「レインズ　不動産」というテーマで解説をしました。4つのレインズの概要や意義、利用方法などは、理解をいただけたでしょうか？

レインズの存在価値のエッセンスは言うまでもなく「公正で円滑な取引」です。そしてその役割は果たされていると思います。

一方で、レインズの流通に乗らない取引は存在します。

たとえば、「こんな物件を欲しい」とリクエストされていた業者のところに、条件に合ったものを売りたいという話が持ち込まれた場合、あるいは超目玉物件で登録期限までに成約した場合、レインズの介在する余地はありません。

また、いずれの業者とも専任媒介契約を結ばない物件はレインズには掲載されません。

また、相場よりもかなり高い値付けの物件があったとして、その値段で買いたい！という人がいるなら取引は成立し、法的には何も問題はありません。

レインズはあくまで相場のアベレージを形成して提示するもので、こういった例外があるのも、意識すると良いです。

不動産への転職に興味がある方へ！

不動産の仕事にご興味がある方は、宅建Jobエージェントまでご相談をしてみてはいかがでしょうか？

宅建Jobエージェントは不動産に特化した転職エージェントで、信頼できるきちんとした企業の求人を多数保有しております。

プロのキャリアアドバイザーが親身になって、面接対策や志望動機の書き方まサポートしますので、不動産業界は初めてという方でもご心配には及びません。

登録やご相談は一切無料ですので、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

スタッフ一同、心よりお待ちしております。

出典：東日本レインズ

出典：レインズ　IP型システム（要パスワード）