宅建の農地法の覚え方をわかりやすく解説!贈与・3条4条5条の許可とは?
不動産業界で転職をご検討の方!
宅建Jobに相談してみませんか?
「農業や農地のことは、遠い世界でわからない!」
「田んぼや畑がどうして土地建物と関係してくるの?」
宅地建物取引士試験=宅建試験に出題される「農地法」に、こういう第1印象の人は沢山おられることと思います。
確かに今までは、かかわりのない人には全くかかわりのない世界ですね。
大丈夫!農地法は難しくないですし、これからの不動産取引に重要度を増していく法律ですから、力も出ると思います。
今回は農地法が「どんな法律か」と、「攻略の基本」を解説します。あなたも「農地法」で確実に1点取りましょう。
- 宅建試験に出題される「農地法」をわかりやすく説明
- 農地法はこれから注目を集める法律
- 農地法の攻略【過去問・法改正】
目次
1.宅建試験に出題される「農地法」とは?
「農地法」は「法令上の制限」科目の6つの法律の中のひとつです。
食料供給を守り農地を失う開発を規制する=農地と農業を守るための法律です。
条文「3条・4条・5条」の許可に関する問題が例年1問ほぼ必ず出題されています。複雑な法令ではなく、理解より暗記で対応できます。やればとれる「得点源」と考えてください。
1-1.農地法の許可と不動産の関係
農地を守る法律がなぜ宅建に関係あるのでしょう?
農地を宅地に転用する目的の取得は非常に多く、とくに郊外や地方では比較的安価に、環境のいい場所にマイホームを持ちたいというニーズに応える必要があります。
それで農地の宅地転用は常に行われ、今後もますます注目される分野といえます。
1-2.市街化区域の農地に動きが!これから注目の農地法
実務上は郊外や地方の業者にはなじみが深く、都市部の宅建士の中には「全くかかわったことのない」人もいるかもしれません。
市街化区域内の農地については、市町村へ転用の届出をすることで、許可は不要だということもあり、都市部の取引は農地法の関わりが薄いです。
ただし都市部でも今後2022年の生産緑地の廃止(延期)や、用途規制の田園住居地域新設などにからみ、生産緑地の宅地転用に関係する人が増えてくる可能性が高いでしょう。
そうなれば、農地法の重要度は上がってゆくことになります。
そして、新型コロナウイルスのもたらした社会情勢から、「テレワーク」「郊外移住」の促進が起きて、都市部から1時間~2時間離れた場所に住居を移す方が増え始めました。
郊外の農地でも、宅地転用して購入可能な物件を探す動きはこれからも続くと思われます。
e-gov 農地法条文
「法令上の制限」科目全体の詳細は、こちらの記事もぜひご覧ください。
宅建の試験科目・法令上の制限とは?難しい?おすすめの勉強攻略テキストを公開!【法改正の影響も解説】
2.「農地法」の覚え方・出題される用語は?【3条・4条・5条、農地転用、特例】
2-2.農地法の要点整理
宅建試験で関係する条文は3条・4条・5条の許可です。
それぞれについて要点を覚える必要があります。まず、この表で大まかな違いを整理してください。
条文 | 目的 | 適用対象 | 許可権者 |
---|---|---|---|
3条の許可 | 権利移動 (農地のまま所有者 が変わる) |
農地→農地 採草放牧地→農地 採草放牧地→採草放牧地 |
農業委員会 |
4条の許可 | 転用 (所有者は同じ) |
農地→宅地 農地→採草放牧地 農地→その他 |
都道府県知事 (市町村長) |
5条の許可 | 権利移動 + 転用 (所有者と地目の 両方が変わる) |
農地→宅地 農地→採草放牧地 農地→その他 採草放牧地→その他 |
都道府県知事 (市町村長) |
宅建みやざき塾 独学者応援! 農地法1
「宅建試験の合格のカギを握る重要テーマの1つ! 農地法は考え方を身につければ、覚えることはほとんどありません。」 農地法の考え方の参考になります。
2-2.農地法の例外・都市計画との関連は?
農地法3条・4条・5条の原則以外の例外はどんなものがあるでしょう?
また、農地法が土地建物・都市計画にどのように関係するかも大事なポイントです。他にもありますが以下の代表的な内容は要チェックです。
4条2アール未満の特例:
農地の所有者が自己所有の農地を2アール未満の農業用施設に転用する場合、4条の許可は不要。
市街化区域内農地の特例:
市街化区域内の農地は、市町村へ届出をすることで転用が可能。(調整区域の農地については、都道府県知事の農地転用許可が必要)
抵当権の設定:
農地を農地のまま抵当権を設定する場合、3条許可は不要。(抵当権の設定で農地から使用収益をすることにはならないので、権利移動に含まれないため)
土地区画整理事業の換地:
区画整理事業の施行により道路、公園等の公共施設等を建設する場合、又はこれらの公共施設に転用された宅地の代替地とする場合は、5条許可は不要。
農業振興地域:
農業振興地域=農業を振興を図るべき地域指定の区域内の農地転用は、転用許可申請の前に農用地区域から除外する申請(農振除外)が必要。
2-3.農地法の過去問例
農地法の問題もひっかけに注意しましょう。2aの農地→2a未満の農地が正しい、許可と届け出の区別など、言葉の細かい部分のひっかけがあります。
また、3条許可は抵当権設定では不要だが、使用貸借では必要になるなど、細かい違いに注意する設問があります。
例 題 ⇒ | ⇒ 解 説 |
---|---|
【1】土地区画整理事業の施行地区内にある農地で、耕作の用に供されているものは、仮換地の指定処分があっても農地法上の農地である。 | 【1=〇】土地区画整理事業の仮換地・登記簿上は山林などに関わらず、「現況が農地」ならば農地法上の農地となる。 |
【2】農業者が山林原野を取得するには農地法3条の許可を要し、当該山林原野を農地として造成するときには農地法4条の許可を要する。 | 【2=×】農業者・それ以外に関わらず、現に農地ではない山林原野を取得するのに農地法3条許可は不要。農地でないものを農地に転用するのに農地法4条許可(=農地を転用するのに必要)も不要。 |
【3】農地について賃貸借契約を締結するには農地法3条の許可を要するが、無償契約である使用貸借契約を締結するには農地法3条の許可を要しない。 | 【3=×】使用貸借のような無償契約であっても使用収益権が移転するため農地法3条の許可が必要。「無償契約である使用貸借契約」のようなひっかけを誘う記述に注意。 |
【4】宅地に転用するため農地の売買契約を締結する場合、「農地の所有権移転時期は契約から1年後」と定めていれば、売買契約締結時に農地法5条の許可を要しない。 | 【4=〇】農地法3条および5条許可が必要となるのは、「権利を設定し、または移転する」時点。所有権が移転する1年後までに許可を得ればよい。 |
(2017年 問15)
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 市街化区域内の農地を耕作のために借り入れる場合、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
- 市街化調整区域内の4ヘクタールを超える農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。
- 銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。
- 相続により農地の所有権を取得した者は、遅滞なく、その農地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
- 誤 り 農地法第3条には市街化区域内の届出の特例はない。よって、農地を耕作のために借り入れる場合には農業委員会の許可が必要。
- 誤 り 農地を転用目的で所有権を取得する場合、面積に関係なく、都道府県知事(指定市町村の区域内では指定市町村長)の許可を受けなければならない。
- 誤 り 抵当権の設定は、農地法の許可は不要。
- 正しい 相続により農地を取得した場合は、第3条の許可は不要だが、農業委員会に届け出が必要。
3.宅建試験2022 農地法の対策は?【傾向、法改正】
不動の傾向として5条の「転用目的の権利移動制限」に関する項目はもっとも頻出します。
これは、農地を買って家を建てるには「権利移動」と「転用」の両方を伴うからです。
「農地法」の直近の改正は2019年11月施行で、転用にあたらない農業用建造物の規定が追加されました。
しかしそちらよりも2016年施行の以下の方が最近の改正として、いまなお出題可能性の高い内容なので、ざっくり目を通しておいてください。
(2016年改正箇所)
農地法4条、5条の許可権者
【改正前】原則、都道府県知事の許可が必要となる。農地の面積が4ヘクタールを超えた場合、農林水産大臣の許可が必要。
↓
【改正後】原則、都道府県知事の許可が必要。農林水産大臣が指定する市町村(指定市町村)の区域内は、指定市町村の長の許可が必要。
上記以外の農地転用制度の改正
【新設】農地法4条の許可は一定の申請書を農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出する。農業委員会は、申請書に意見を付して都道府県知事等に送付。5条許可の場合も同様。
農業委員会が上記の意見を述べようとするときは、
30アール超の転用⇒ 原則、都道府県機構の意見を聴く必要がある。
30アール以下の転用⇒ 都道府県機構の意見を聴くことができる。
その他
【新設】指定市町村内にある指定市町村が、農地法4条・5条の許可が必要となる行為をする場合、指定市町村と指定市町村長との協議が成立することをもって、4条・5条の許可があったものとみなされる。
さらに、令和3年の試験に関することではありませんが、今後「農地法」が注目されるのは、延期にはなるのですが、2022年の生産緑地の期間満了です。
都市部に宅地が大量供給される事象を考えるタイミングとなるので、農地法や都市計画法ほか、宅建試験でも扱い方が注目されます。
出典:2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾(東洋経済オンライン)
4.「宅建 農地法」のまとめ
以上、「宅建 農地法」というテーマで解説をしました。「農地法」が不動産に深くかかわり、宅建試験でも大事な法律である点、お分かりいただけたでしょうか?
- 「宅建試験」の「農地法」出題は基本1問。覚えれば1点得点できる!
- 「農地法」は生産緑地の2022年問題やコロナで注目度アップの法律。
- 「農地法」の設問は土地開発のための転用許可がメイン。ひっかけ問題に要注意!
現在のお仕事に不満を抱えている方へ
現在のお仕事に不満を抱えていませんか?
いま、あなたがご覧になっている「宅建Jobコラム」の運営会社では、不動産業界専門の転職支援サービスを提供しています。
もし就職・転職を成功させたい!という方がいましたら、「宅建Jobエージェント」までお気軽にお問い合わせください。数々の転職を成功させてきた、あなた専任のキャリアアドバイザーが無料でご相談に乗らせて頂きます。
無料で相談する不動産業界で転職をご検討の方!
宅建Jobに相談してみませんか?