宅建業者の事務所に掲示義務のある「報酬額表」を解説【サイズ・内容・改正点】
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宅地建物取引業=宅建業の事務所に掲示してある「報酬額表」。実物を見たことがありますか?
「見たことない!ダウンロードできるの?」
「なんだか難しそうな法律の条文で、結局いくら払うのか分からなかった。」
「昔からの決まりみたいだけど、中身はずっと変わってないの?」
公共のものですし、ダウンロードはできるのですが、初めて見る人、宅建の勉強を始めたばかりの人には、最初は意味が分からないかもしれませんね。
今回は宅建業の事務所の必需品「報酬額表」について、具体的に解説します。難しくはありませんよ!
- 宅建業者の「報酬額表」とは?
- 「報酬額表」掲示の決まりは?目的と方法。
- 掲示の中身の改定はある?
目次
1.宅建業者の「報酬額表」とは。目的は何?
「報酬額」というのは、宅建業者が宅建業として受け取る手数料を指します。これらの上限額=「これ以上もらっちゃダメ!」を明示したのが「報酬額表」です。
「報酬額表」の正式なタイトルは、ちょっと長いですが「宅地建物取引業者が宅地または建物の売買に関して受け取ることができる報酬の額」といいます。
この表の具体的な使われ方ですが、事務所での不動産契約の際に「あの通り法定の報酬で取り引きしています」と標識を指さすような感じです。その際にはあまり詳細に中身を読み上げたりしません。
1-1.報酬額とは
報酬額の代表的なものが「仲介手数料」です。「宅地建物取引業法」で、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限額が決められています。したがって、上限額を超える仲介手数料を受け取った場合は、法令違反となります。お客さんから「お世話になったからこのくらい」と言ってもらってもダメです。
仲介手数料の支払い条件も、契約締結時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことが望ましいとされています。
以下が報酬額受領の基本になる計算の区分です。(売買の場合)
売買代金 | 計算方法 |
---|---|
200万円以下 | 取引価格×5% |
200万円を越え400万円以下 | 取引価格×4%+2万円 |
400万円を越える | 取引価格×3%+6万円 |
この区分の当てはめ方でひとつ注意点は、例えば売価500万円の物件だった場合、500万×3%+6万=21万円とするのは誤りです。
正しい計算は、500万を3区分に分け、(200万×5%)+(200万×4%+2万)+(100万×3%+6万)=29万円です。
この区分は、土地建物価格が上昇した近年は実情に合わない分け方だといわれてきました。
ところがまた最近、不動産の供給過剰・人口減から安い中古物件が増えてきたことで現実性をとり戻してきており、後述のような、安価な物件に対応する法改正も行われました。
1-2.仲介手数料以外の報酬は?
「宅建業法」では、業者は「報酬額表」以外の報酬を受けとってはならないとしており、「報酬額表」にもそう書いてあります。しかし現実には「宅建業」で受け取る報酬以外に宅建業者の報酬はあります。
この項に書いていることは、不動産の取引をする人は知っておいた方がいいと思います。宅建試験を目指す人は、「宅建業」の定義を理解する助けにしてください。
その他報酬の代表的な例を表にしました。
売主・貸主 の場合 |
・土地建物の販売利益 ・月額家賃賃貸借の礼金は、広告経費に充てられることがほとんどのため、利益とならない。 |
---|---|
賃貸物件管理 | ・管理費 ・設備維持費用設備維持費用は設備業を行っている場合のみ。水道、電気ほかの修理に発生。 請求先はほぼ貸し主。 |
建築設計兼業 の場合 |
・行政への申請手数料(開発許可など) ・建物設計料 ・耐震診断費用・補強設計施工費用(中古物件の場合) |
これらの報酬は消費者の調査判断がなされやすい項目(嫌なら買わない・借りない)でもあり、宅建業の定義にもあたらないため、規制の対象外です。
ただし、契約の前にこれらの項目についても、概算でも事前にお客さまと同意しておくことは必要なのは言うまでもありません。
2.宅建業者の「報酬額表」掲示の規定とは?【A3・ダウンロード・掲示場所】
宅建業法第46条第4項で「宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、(第1項の規定により)国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。」と規定されています。これも、掲示していないと法令違反ということです。
更にこれは常に最新のものを掲示する義務があり、例えば事務所内部を撮影する写真に「報酬額表」が写り込む場合、必ず最新版の報酬額表でなくてはならないことになっているほどです。
報酬額表はA3横サイズが基本で、国交省や全宅連・全日などの会員になっている不動産協会でダウンロードできますが、専門業者が金属製・額装の様々なデザインのものも販売しています。
「報酬額表」の中身は、賃貸・売買、取引態様の別などで報酬額の規定が書かれています。以下の表は、その要約です。
売買または交換の媒介 | 二百万円以下の金額 百分の五・五二百万円を超え四百万円以下の金額 百分の四・四四百万円を超える金額 百分の三・三※1-1の表参照。 |
---|---|
売買または交換の代理 | 売買または交換の媒介で算出した金額の2倍以内。 |
貸借の媒介 | 月額賃料に消費税を加えた金額以内。
依頼者一方から上記の半額以内。 |
貸借の代理 | 月額賃料に消費税を加えた金額以内。 |
権利金の授受(特例) | 居住用目的以外の場合。媒介・代理共に、売買の規定で計算。 |
空家等の売買または交換の媒介(特例) | 400万円以下の空家の場合、現地調査等の費用が加算可能(ただし18万円+消費税額以内) |
空家等の売買または交換の代理(特例) | 400万円以下の空家の場合、現地調査等の費用が加算可能(ただし18万円+消費税額以内) |
上記によらない報酬の受領の禁止 | 1.上記規定以外の報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告料金相当額は例外。
2.免税業者は各項目について、消費税相当額を除いた金額が報酬上限となる。 |
賃貸の場合は家賃1か月分+消費税が絶対ということですね。
宅建業の事務所には「報酬額表」の他にも、標識、専任の宅建士など、事務所に掲示しておく義務があるものが色々あります。
その他宅建業者の事務所開設に関する決まり等は、こちらの記事もぜひご覧ください。
宅建業に不可欠な標識の掲示義務とは?掲示場所・中身・その他の義務も解説宅建士の独立開業は儲かる?必要資金・流れ・失敗しないための準備方法を解説!
3.「宅建業者の報酬額表」に最近の改正点は?【2022年最新版の注意点】
「報酬額表」はここ数年でも改訂項目があります。直近の改正点は以下の通りです。
3-1.低廉な空き家等の売買に関する特例
平成30年1月1日に施行されました。低廉な空き家等の売買などで、通常と比べて現地調査などの費用が発生する場合、空き家の売り主または交換をする者から受け取れる仲介手数料が、通常の上限額と現地調査などの費用を合計した額(ただし、上限は18万円+消費税)までとなりました。
この場合の仲介手数料については、事前にお客さまとの間で合意をしておく必要があります。
この項目は報酬額表では「第七 空家等の売買または交換の媒介における特例」「第八 空家等の売買または交換の代理における特例」として追加されました。
3-2.消費税率
令和元年10月1日の消費税及び地方消費税の税率10%引き上げに伴い、税率部分の記述が改訂されています。
4.「宅建 報酬額表」のまとめ
以上、「宅建 報酬額表」というテーマで解説をしました。宅建受験をする人も、家を借りる・買う人も、宅建業の報酬額と、その掲示義務は押さえられましたか?
- 宅建業者の事務所の「報酬額表」掲示は、宅建業法で決められた義務。
- 「報酬額表」は国交省や宅建協会でダウンロードできる。
- 掲示内容は消費税改定や、低価格の中古物件の調査費用加算改定で変更された。
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出典:仲介手数料について(全日本不動産協会)
出典:報酬額表の改訂のご案内(埼玉県宅地建物取引業協会)
出典:消費税率及び地方消費税率の引上げに伴う宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額の改正について(国土交通省)
出典:消費税率及び地方消費税率の引上げに伴う宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額の改正について(国土交通省)
出典:仲介手数料について(全日本不動産協会)
出典:報酬額表の改訂のご案内(埼玉県宅地建物取引業協会)
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