宅建の欠格事由の覚え方は紹介!道路交通法違反は当てはまる?法人の場合も解説【宅建業法】
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「欠格事由」なんだか難しそうな、重い響きがあります。宅地建物取引士試験=宅建試験に出題される「欠格事由」って、こんな声を聴きます。
「欠格事由ってたくさんあって整理できない!」
「不動産業って公務員じゃないのに、なんで欠格事由があるの?」
そうですね。宅建試験ではひとつの重要単語がそれなりの意味を持ち、広い範囲の学習にかかわる場合があります。
今回は「欠格事由」を例に、試験学習に重要な単語の攻略方法を解説します。合格のために、大事な単語の扱いをマスターしましょう。
目次
1.宅建試験で出題される単語の覚え方【宅建業法の欠格事由】
1-1.宅建士免許の欠格事由とは?
「欠格事由」とは、宅建試験では「宅建業法」の科目で出題される単語です。免許に関する問題は毎年2~3問出題され、そこに欠格事由も含まれます。
簡単に表現すると「免許を出せない理由」です。宅建業者や宅建士になることのできない、すでに従事している場合やめねばならない理由を定義したものです。
「問題のある人は、問題のある間は宅建士も宅建業もやってはダメ」ということです。
注意が必要なのは、「欠格事由」には、宅建業者に関するものと、宅建士に関するものと両方あるということです。私も受験時に、学習していく上でその辺があいまいになって、少し戸惑った記憶があります。
また、「欠格事由」というひとつの単語で定義された「理由」は、かなりな分量がありますが、難しくはないので、覚えさえすれば得点源になります。
では、「欠格事由」の中身を見てみましょう。
1-2.宅建業者免許・宅建士免許の欠格事由の内容
宅建業者免許・宅建士免許の欠格事由です。まず以下は宅建業者の欠格事由です。
宅建業者の欠格事由
免許を受ける個人(個人業者)・法人の役員・政令で定める使用人が、下記項目に一つでも該当すると、宅建業者免許を受けることができない。
- 成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者
- 免許を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者
- 免許取消処分前に廃業し、廃業届から5年を経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などに
より刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 - 一定の罰金刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などに
より刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 - 免許申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者
- 宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記1~8のどれかに該当する場合
続いて、宅建士の欠格事由です。宅建業者のものとかなり項目は重複しますが、比較をしてみてください。
宅建士の欠格事由
下記項目に一つでも該当する者は、宅建士(取引士)免許を受けることができない。
- 成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者
- 免許を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者
- 免許取消処分前に廃業し、廃業届から5年を経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などに
より刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 - 一定の罰金刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などに
より刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 - 免許申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者
- 宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
- 事務禁止処分を受け、その禁止期間中に本人の申請により登録の消除がなされ、まだ禁止期間が満了していない者
- 宅建業の営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
宅建業と宅建士の欠格事由の違いを分かりやすく表現すると、「宅建士は未成年と、事務禁止期間中は欠格になる」ということになります。未成年でも宅建試験は受験・合格可能ですが、実務はできないということになります。
宅建業法分野の学習の詳細は、こちらもぜひご覧ください。
宅建業法の勉強方法のコツを解説!満点が合格最短距離な理由とは
2.「欠格事由」とは?覚え方は?【道交法違反もダメ?】
2-1.「欠格事由」のそもそもの「考え方」
それがあると宅建業者・宅建士になれない・やめねばならない「欠格事由」ですが、どんな理由でその項目が決められているのでしょう。
そもそも「宅建業法」とは、安全かつ公平な不動産取引のために、一般消費者が業者と同じ立場でスムースに取引ができるよう、消費者を保護するのをメインの目的とした法律です。欠格事由の項目を読んでもわかるように、
- 専門知識を持った宅建業者・宅建士が詐欺や暴力、脅迫ほかの手段で、話を有利に進める。
- 宅建業者・宅建士が人格的に正常な判断能力を持っていない。
この2つの事態を避けるために、「欠格事由」の各項目は定められています。
2-2.法人と欠格事由【代表者・監査役・政令で定める使用人】
宅建業者免許の欠格事由とは、言い換えると宅建業を営む法人の役員や使用人が欠格者の場合、業者免許が受けられなくなるということです。しかし、監査役はここに含まれていないのですが、なぜでしょう?
監査役は経営を監査するのが仕事で、経営そのものには関与をしないのが原則のため、経営上の違法行為を指示する事は出来ず、業者免許が受けられなくなる対象者ではない、という考え方です。覚えておきましょう!
2-3.犯罪と欠格事由【暴力団・詐欺・執行猶予・罰金刑】
宅建業者免許・宅建士免許の欠格事由の対象は、業務遂行の責任能力=人格的に正常な判断能力が欠けている以外に、犯罪歴があります。
犯罪と言えば、道路交通法違反なども犯罪ですが、「酒酔い運転」など道路交通法違反で、宅建の欠格事由になってしまうことはありません。
先ほど書いたように、詐欺や暴力、脅迫のほか、一定以上重い刑罰(懲役か禁錮。一部罰金刑)を申し渡された人が、刑の執行が終わって5年経過するまでは欠格期間となり、免許を受けることができません。
守るべき法令としては当然「宅建業法」も欠格事由の理由になります。
- 免許申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者
- 宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
「おそれが明らかな者」というのが、定義や「誰が判断する?」というあたりがわからず、私は昔から気になっています。
しかし、かなり厳しい罰則です。本来犯罪者に更生の機会は平等ですが、「欠格事由」は、そうではないと示しています。それだけ宅建業に求められるコンプライアンスが厳しいということですね。
なお、こういう事例を見ていると「不動産業界って、反社会勢力みたいな人が多いの?」となりそうですが、あくまで消費者保護のための法令があるということで、実際はそのような世界ではありませんので、これから宅建の仕事を志す皆さんは安心してください。
2-4.「欠格事由」の覚え方
試験解答のために、欠格事由のポイントを極力シンプルに整理します。
- 成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者は、復権で5年を待たずすぐ免許を受けられる。
- 専任の取引士は、業者免許の欠格事由の対象外。
- 暴力犯罪のなかに、過失傷害罪は含まない。
- 「宅建業法違反」「暴力的な犯罪」「背任罪」は罰金刑でも執行後5年は欠格。
- 猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けられる。
- 控訴・上告中は免許を受けられる。
- 業者免許の場合、未成年でも法定代理人を立てて代表者等に任可能。
免許に関わる期間と状態については、そう複雑ではないですが、図に書いて考えるとよいでしょう。
ここに画像挿入:宅建⁻欠格事由‐2-4.jpg
(2011年 問27)
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- A社の役員Bは、宅地建物取引業者C社の役員として在籍していたが、その当時、C社の役員Dがかつて禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していないとしてC社は免許を取り消されている。この場合、A社は、C社が免許を取り消されてから5年を経過していなくても、免許を受けることができる。
- E社の役員のうちに、刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、E社は免許を受けることができない。
- F社の役員のうちに、指定暴力団の構成員がいた場合、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反していなくても、F社は免許を受けることができない。
- 宅地建物取引業者G社は、引き続いて1年以上事業を休止したときは、免許の取消しの対象となる。
- 正しい 法人が3つの事由(・不正手段により免許を取得、・業務停止処分事由に該当し情状が特に重い、・業務停止処分に違反)に該当するとして免許取消処分を受けた場合、免許取消処分の聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、その取消しの日から5年を経過しない者は、免許を受けることができない。C社は上記3つの事由以外の事由による免許取消⇒その当時、C社の役員であったBは免許欠格事由に該当しない。
- 誤 り 罰金刑で免許欠格事由となるのは、宅建業法違反や一定の犯罪(背任罪、傷害罪、暴行罪など)。詐欺罪の罰金刑は免許欠格事由には該当しない。
- 正しい 免許を受けようとする者が指定暴力団の構成員であるときは、免許欠格事由に該当する。その者が法人の役員の場合、法人も免許欠格事由に該当する。
- 正しい 宅建業者が引き続いて1年以上事業を休止したときは、免許取り消し(必要的免許取消事由)。⇒この肢は欠格事由関連ではありません。
3.その他、宅建試験で出題される単語の意味は?【欠格事由】
「欠格事由」のように、宅建試験では今までなじみがなく、広範囲の知識に影響し、知っておかないといけない単語がいくつも出てきます。
赤ちゃんがしゃべれるようになるために、まず最初にやるのは単語を覚えることですね。
宅建試験に登場する単語の中で、これらに当てはまるような単語は、学習の早い段階で意識して消化・吸収するのが大事です。
大事な単語の特徴
- 日常あまり使わない。あるいは日常とは別の意味がある、別の読み方をする
- 頻出する設問のなかのキーワード
- ほかの似た単語とまぎらわしい
- これを知らなければ問題が解けない
3-1.宅建試験の重要単語
※これらの単語の一部を表で紹介=単語・読み・語意 科目分けはしない。
見出し | 読 み | 意 味 |
---|---|---|
悪意 | あくい | その事実を「知っている」こと。悪気がある意味ではない。善意は「知らない」こと。 |
意思表示 | いしひょうじ | 希望、要求など相手方に伝えること。「購入の意思表示」という使い方をする。 |
以上 | いじょう | 100以上は100を含んで100より大きい。「100を超える」は101以上。 |
位置指定道路 | いちしていどうろ | 特定行政庁から位置指定を受けた私道。位置指定を受けると、建築基準法上の道路として扱う。 |
営業保証金 | えいぎょうほしょうきん | 不動産取引の相手方が万が一損失を受けた場合でも、相手方に対して、損失を弁済(弁償)できるように、保証金を供託所に預けておく制度 |
開発行為 | かいはつこうい | おもに建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更。土地に何かを作ること、その準備。許可や届け出が必要。 |
高度利用地区 | こうどりようちく | 市街地の土地の高度利用と都市機能の更新を図るため、建築物の容積率、建蔽率、建築面積、壁面の位置の制限を定める地区。都市の有効利用のために各基準を緩和するもの。「高度地区」との混同ひっかけ設問に注意。 |
専任媒介 | せんにんばいかい | 宅建業者Aに媒介の依頼をした場合、他の宅建業者Bに媒介の依頼をすることができず、かつ、依頼者自らが探してきた相手と対象不動産の契約をできない態様の契約。 |
課税標準 | かぜいひょうじゅん | 税額計算の基礎となる、税率をかけていく金額。 |
減歩 | げんぶ | 区画整理用語。土地の所有者等から、一定の割合で少しずつ、無償で土地を提供してもらうこと。減歩した土地で道路や公園などを作る。 |
市街化区域 | しがいかくいき | すでに市街地を形成している区域、もしくは約10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域のこと。 |
成年被後見人 | せいねんひこうけんにん | 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にあり、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者。後見される成年、と覚える。 |
双方代理 | そうほうだいり | 契約当事者(例えば、売主と買主)の代理人となること。違反行為。当事者間は仲介で業務を行う。 |
根抵当権 | ねていとうけん | 一定の範囲に属する不特定の債権を、極度額の限度までで担保する抵当権。極度額=金額上限。 |
分筆 | ぶんぴつ | 土地登記簿上の一筆の土地を二筆以上の土地に分割すること。大きな土地を分譲したり、相続で分割をおこなったりする。 |
連帯保証 | れんたいほしょう | 保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担していくこと。各自の債務は独立しながら、全員が全体の返済義務を負う。4月の民法改正で極度額の設定が必須となった。 |
この他にも沢山あります。あなたなりの単語帳を作るのも良いでしょう。
続いて単語の勉強法です。
3-2.単語の勉強のしかた
初学時、学習のあらましを把握しているときに、ひと通りの単語をまとめて暗記すると、理解が進むだけでなく、あとの学習の効率アップにもなります。
単語の勉強のしかた
- ていねいに読み込んでいかず、さらっと全体を繰り返し流す。
- 分からない、覚えづらい単語は書き出しておき、別のテキスト等で調べ直す。
- 法改正で新しく登場した単語も要注意。書き出してチェック。
単語の勉強に【教材・動画】
不動産教科書 宅建 出る!出る! 用語集740 Kindle版 Amazon
出題範囲からよく出る740語を収録。問題を解く“ツボ”を押さえた解説。調べたい用語がすぐ見つかる50音順。
宅建受験生のための宅建用語集 Amazon
試験によく出る重要キーワード260個に+新傾向に対応した10個を追加。勉強中のつまづきをすぐに解決。初学者も安心の、かみくだいた記述。
宅建業法分野の専門用語の意味の解説です(サンプル講義)
宅建業法入門 専門用語の意味 (Foresight 窪田義幸先生)
4.「宅建 欠格事由」のまとめ
以上、「宅建 欠格事由」というテーマで解説をしました。「欠格事由」ほか、宅建試験の専門用語の攻略はお分かりいただけたでしょうか?
- 宅建試験出題の「欠格事由」は消費者保護のためのルール。
- 「欠格事由」の覚え方は難しくない!例外に注意。
- 「欠格事由」ほか専門用語、難解な単語を意識しよう!
- 宅建試験勉強の最初に、分からない単語をしっかり対策。
宅建がなくても不動産業界に転職できます
宅建を取ろうとしている方の中には、「宅建がないと不動産業界に転職できない」と思っている方がいますが、それはよくある誤解です。
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