積算とはどんな仕事?計算方法・やりがい・向いている人についても解説
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建築・設計業界ではあまり耳にする機会のない「積算」という言葉。具体的に何のことでしょうか?
「積算とは何か知りたい」
「数学が必要なのか?」
「積算の仕事はある?」
「不動産で使う積算価格とは?」
積算は、建築業務の基礎になる大事な仕事で、これなしには工事の受発注は成り立ちません。建築の世界を志す人にとっては、どんな仕事なのか気になりますね?
今回は「積算とは」と題して解説します。ビジネスとしての「建築の複雑さ」を覗いてみましょう!
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
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棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
目次
1.積算とは?仕事内容【見積との違い】
積算とは、設計図や仕様書から材料や数量を算出することで合計金額を出し、建物を建てるのに必要な工事費の見積もりを算出していく仕事です。これはいわゆる実費の計算で、見積金額=請求金額とは違います。
積算は、商業施設・官公庁施設・ホテル・マンション・ダムの建設など、あらゆる建設工事において発生し、発注側にとっては「総工費を知る」ために、受注側にとっては、「いくら利益が出るか」を知っていく重要な要素となります。
つまり、受発注に必要な「工事にいくらかかるか」は、積算なしでは分からないのです。もちろん発注側は、積算で算出された金額は知らずに終わります。
積算業務を行う際の、大まかな流れは以下です、
1.人工(にんく)・材料の算出 | 図面・仕様書を基に、工事に関する材料の数量を拾い出し、積み上げ方式で計算。この結果を数量積算と呼ぶ。
工事の種類・工事の規模・施工場所・施工環境・他工事との調整・工事期間等、様々な事情を考慮した上で諸要素を煮詰める。 |
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2.単価設定 | 必要な人材・材料等に対応する価格を設定し、工事費を算出。
人工の人材内訳から人件費単価、材料の材質や相場から材料単価を算出し、「数量×単価」で工事費を計算してゆく。 |
3.書類作成 | 上記積算で出た工事費を元にして、内訳明細書・数量調書・見積書等の作成。 |
1-1.見積もりとの違い
再度整理しますと、「積算」は工事に関わる費用を出すことで、利益を載せる前のもの、「見積」は積算で算出した原価に対して利益を載せたもので、施主が最終的に見る金額です。
「建築積算は、事前に建築コストを予測することが第一の目的となっています。事前に予測される建築コストは、事前原価と呼ばれます。工事が完了した段階の建築コストは、事後原価といわれますが、建築積算は、事後原価を把握することも目的となっています。」
この事前原価と事後原価を同じにするのが積算の理想となりますが、工事費が大幅に膨張し、事後原価に狂いが出ることもあります。
中には施主からの設計変更依頼があったり、現在の「ウッドショック」のように建材費が予想外の値上がり・流通不足から工期の遅れを来たすなど、積算担当者が不可抗力の事態もあり得ますね。
1-2.計算方法
以下は積算の計算方法です。同じ設計図の工事であったとしても、工事は構造物や設計、施工場所などによって作られるものが違う単品生産となり、必要な費用も工事ごとに異なります。一つとして同じ積算結果はなく、工事規模が大きくなるほど、計算は複雑になります。
以下、積算を進める上での代表的な要素を、用語解説の形で解説します。
歩掛 (ぶがけ) |
作業手間を数値化したもの。人工(にんく)も含まれる。1人工はある作業を1人で1日=8時間かかる場合を言う。同じ作業でも、作業者の熟練度や、部材の種類(電線の太さなど)で人工は異なってくる。 |
工事原価 | 工事現場でかかるすべての費用のことで、純工事費と現場管理費に分かれる。 |
一般管理費 | 工事には直接関係はないが、その工事にかかり、企業の経営を維持するために必要な経費(広告費、事務所の維持費など)のこと。 |
純工事費 | 工事の施工対象に直接かかる費用のこと。
材料の運搬や足場、現場管理にあたる従業員の給料など、工事をする上で間接的に必要な費用である間接工事費と、工事の施工対象に直接かかる費用・材料費や労務費、機械費、工事の完成後には撤去される仮設工事などを総称する直接工事費に分かれる。 |
直接工事費 | 「材料費」、「労務費」に加え、特許使用料や水道光熱費、機械経費などの「直接経費」の3つから構成される。 |
間接工事費 | 以下で構成される。 「共通仮設費」:足場や仮囲い、管理事務所など、工事の完成時には撤去される仮設物や、その運搬にかかる費用、調査や測量等の準備にかかる費用。 「現場管理費」:現場管理にあたる従業員の給料や、労働者の募集費用、損害保険、福利厚生費など。 「一般管理費」:前出。 |
これらの構成要素に、単価を掛け算することで算出をしますが、構成要素を抜かしたりすると数字に狂いが出るため、それを防ぐためには、積算用のPCソフトウエアを使って計算を行います。
直接工事費の積算基準は、以下を参照するのが一般的です。
1-3.不動産の「積算価格」
建築設計に近い不動産業業界で用いられ、同じ積算という言葉を使いますが、「積算価格」と「積算」は別の用語です。
積算価格とは土地・建物の鑑定評価の用語で、実際の流通する価格を出すのに使われる手法です。国税庁が発表する「相続税路線価(以下「路線価」)」や、国土交通省が発表する「公示価格」を基に、土地面積を掛け、それに修正額(土地の形状や立地などの特性に応じた増減)を加えたものです。
2.積算の仕事につくメリット
2-1.成果物が物として残る
建築設計に携わる人の多くに言えることですが、積算の結果として出来上がった建築物は、形に残り続け、それが想い出ややりがいとなります。転職やキャリアアップの際にも、形のあるポートフォリオとして存在します。
2-2.未経験からでも挑戦できる
積算の仕事は経験や、積み上げた知識が仕事の出来を左右するものですが、慣れるのには時間がかかるものですが、採用にあたって未経験OKの企業もありますので、一から勉強を積んで、オンジョブで経験を積んでいくことができます。(むしろ積算の詳細を座学だけで学ぶのは無理があります)
2-3.資格手当が支給される場合がある
仕事をすること自体に資格は不要なのですが、建築積算士や建築士を取得して積算の仕事に就けば、事前に勉強になる上、給与以外に資格手当が支給される職場が多いのでおすすめです。
3.積算の仕事につくデメリット
3-1.計算ミスが許されない
少しのミスで予算オーバーの影響が見積額に及び、工事の規模に比例してそれにかかわる関係者の数も多いため、ミスの際の影響範囲が大きいです。計算ミスは会社の利益の損失、顧客への迷惑・利益損失につながる可能性があります。
金額を多く見積もっていた場合はまだよいですが、それでもスケジュールや人材押さえの面で悪影響が出ます。
3-2.繁忙期は忙しい
基本的には定時で帰れる仕事なのですが、年度末など案件が多いときは残業や休日出勤もありえます。慣れるまでは、それ以降よりも一つの業務に時間を要するでしょう。
4.積算の仕事に向いている人
最近は積算ソフトの精度があがってきたため、未経験からでも採用する企業の数が増えてきているのですが、それでも適性や予備知識に個人差はあります。
4-1.建築の基礎知識がある人
設計図、仕様書、資材の相場など、建築に関する専門知識や用語が出てくるため、そのための勉強を積んだ人が有利です。現場で施工に立ち会った、あるいは工事作業や工程管理を経験したことがあれば、それも大きな強みとなります。
実際に仕事を始めるにあたっては、具体的に算業務を行ううえでは、「設計図や仕様書の読み方」「使用する資材の相場」のほか、「工事工程や工法、用語の知識」といった建築に関する専門知識が必要となります。
4-2.数字の扱いが得意な人
ミスを防ぐため、数学に抵抗がない、あるいは得意な人は、積算に向いています。複雑な要素をとりこぼさずに反映させる「計算力」も、あれば有利と言えますね。
4-3.コミュニケーションに問題ない人
一人で黙々とやっていればいい訳ではなく、わからないところはより専門性の高い人に聞いたりできる能力も必要となります。例えば使用する建材の種類の相談を建築士に、あるいは人工を計算する上で現場の職人さんへの確認など、正確な積算のためにはコミュニケーションが欠かせません。
数字を扱うのが得意でも、人間関係苦手だと、このあたりで不利を強いられることになります。大げさに考える必要はないですが、普段から現場の人と何気ない会話を心がけるだけで、結果は変わってきます。
5.「積算とは」のまとめ
以上、「積算とは」というテーマで解説をしました。積算から見積もりの流れ、積算がどんな仕事かなどは、理解をいただけたでしょうか?
「責任がある」と「やり甲斐がある」はたいがい表裏一体です。間違えれば大変な仕事であるからこそ、達成感も貢献度も大きいということになります。
年収についてはどうでしょう?積算を業務とする人の年収は、400万円~900万円前後と幅があります。 経験者、有資格者の方が転職するケースでこのくらいの金額なのですが、有資格者でも新卒や未経験者の場合、200万~300万前後の場合もあります。
経験を積んで、手がける仕事のステージが上がれば年数が増えていく。つまり「やっただけ見返りが来る」。そういう仕事は意外に多くないですね。
興味のある方には是非トライする価値のある仕事です!
- 積算は工事費用全体の額を計算し、利益を載せた見積りを作成するための計算。どのような工事でも、仕事として受発注するためには必ず必要。
- 知識と経験が増えれば評価や年収も上がってゆく、やり甲斐の大きい仕事。
- 計算の間違いは利益や顧客の喪失に直結し、業務には緊張感を伴う。
- 知己や経験を積み上げること、計算、人間関係の得意な人におススメ。
- 建築積算士や建築士を取得すれば知識が増え、資格手当も支給される。
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