宅建の保証協会をわかりやすく解説!種類は?費用は?【申込書の書き方】
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宅建業で営業活動を始めるには「宅建業免許」が必要です。
しかし保証金をおさめて、その旨を免許権者に届けなければ「免許証」を受け取ることができません。営業活動ができるのは、免許証を受け取った後です。
保証金をおさめる方法には「営業保証金を供託する」という方法と「保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付する」という2つの方法がありますが、今回は後者について紹介します。
保証協会にも2つあり、宅建業の開業に際してどちらに入ればよいのか、迷ってしまう人は少なくありません。そこで今回は、その内容や費用、必要書類の違いなどを解説します。わかりやすくまとめたので、開業を進める際の参考になるはずです。
- 保証協会と保証金の意味
- 保証協会の種類と、加入に必要な費用
- 保証協会の加入方法と必要書類
- 弁済業務保証金分担金とは?
1.宅建の保証協会とは?(宅地建物取引業)
宅建業者は、宅建業の免許を取得しただけでは営業活動をスタートさせることはできません。営業を開始するためには、免許を取得した後に、以下2つのいずれかの選択をする必要があります。
- 「営業保証金」を供託所に供託するという方法
- 保証協会に加入して「弁済業務保証金分担金」を納付するという方法
保証金をおさめることの理由と、上記2つの方法の違いを説明します。
保証金を供託・納付する理由
不動産業では高額な物件を取引します。万が一のトラブルのため、宅建業者と取引をした人や会社が債権の弁済を受けられるよう、消費者保護の観点から用意されたのが「保証金制度」です。
あらかじめ保証金をおさめることで、弁済をしなければいけない事態が起きた時のために活用しようというのが趣旨です。
「保証金の供託・納付」は免許日から3ヶ月以内に手続きを終える必要があります。期間内に終了しなかった場合は、免許が取り消しになる場合もあるので注意しましょう。
「営業保証金」を供託所に供託する場合
1つ目の方法は「営業保証金を供託所に供託する」というものです。不動産業者が供託すべき金額は以下の数字を合算したものとなります。
- 主たる事務所:1,000万円
- それ以外の事務所:1ヶ所につき500万円
たとえば「主たる事務所」1ヶ所に加え「それ以外の事務所」が1ヶ所ある宅建業者を想定します。この業者の場合は、1,500万円もの大金を供託しなければいけない計算になります。
保証協会に加入して「弁済業務保証金分担金」を納付する場合
2つ目の方法は「保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付する」というものです。
- 主たる事務所:60万円
- それ以外の事務所:1ヶ所につき30万円
これを先ほどのケースで考えてみましょう。「主たる事務所」1ヶ所に加え「それ以外の事務所」が1ヶ所ある宅建業者の場合、わずか90万円の納付で済むという計算になります。
この方法は、先ほどの「営業保証金を供託所に供託する」という方法では金銭的負担が大きすぎるということから生まれました。消費者保護に加え、宅建業者の負担軽減を図ることが目的です。万が一のトラブルを集団で保証する仕組みとして「保証協会」がつくられたわけです。
2.宅建の保証協会の種類と加入に必要な費用
現在、日本には2つの保証協会があります。
続いては、保証協会の具体的な中身を見ていくことにしましょう。保証協会の仕組み、歴史的な経緯、2つの団体のそれぞれの内容を解説します。
保証協会の仕組み
保証協会に加入できるのは宅建業者のみです。加入した宅建業者は「保証協会の社員」という位置づけになります。
現在は2つの保証協会があり、名称は以下のとおりです。1つの保証協会に加入した宅建業者は、他の保証協会に加入することができません。保証協会に加入する場合は、いずれか1つを選択する必要があります。
- 全国宅地建物取引業保証協会(運営:ハトマークの全国宅地建物取引業協会連合会)
- 不動産保証協会(運営:ウサギマークの全日本不動産協会)
複雑で覚えにくい名前ですが、宅建業界では「ハト」と「ウサギ」の愛称で呼び分けています。順番に説明していきましょう。
「ハト」と「ウサギ」が2種類に分かれている理由は?
ハトとウサギの2つの協会に分かれている背景には、歴史的な経緯があります。
日本で「宅地建物取引業法」が成立したのは1952年のことです。この法律を周知徹底するためにつくられたのが「全日本不動産協会」(ウサギマーク)です。
その5年後に大きな法改正が行われ、宅地建物取引主任者(現在の宅建士)の試験制度がスタートしました。都道府県単位の組織をつくることになり、「全日本不動産協会」は大阪に「全国宅地建物取引員会連合会」を立ち上げます。
一方、東京では同じ役割をもつ「全国宅地建物取引団体連合会」が設立されますが、1967年に統合され「全国宅地建物取引業協会連合会」(ハトマーク)になります。
ウサギとハトの間で統合の話もあったようですが、現在までそれぞれ別の機関として活動が行われています。これがハトとウサギの2つの協会に分かれている歴史的な背景です。
全国宅地建物取引業保証協会(全宅:ハトマーク)
それでは2つの協会の違いについて見ていくことにしましょう。
まず「全国宅地建物取引業協会連合会」が運営しているのが「全国宅地建物取引業保証協会」です。ロゴマークにハトを使っていることから「ハトマーク」と呼ばれることもあります。
歴史と加盟者数
歴史的には、ウサギマークよりも新しいですが加盟者数が多いのが特徴です。
- 加盟社数:97,441社(2019年4月1日現在)
- 設立:全宅は1967年9月29日、保証協会は1972年12月
2020年3月31日現在で、日本には125,638の宅建業者がありますが、そのうち97,441社がハトマークに加盟しています。実に78%もの宅建業者がハトマークを選択していることになります。
※参照「一般財団法人 不動産適正取引推進機構:令和元年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」
加入に必要な料金
必要な料金は以下のとおりです。なお都道府県により負担額が異なるので注意して下さい。
- 入会金(東京都宅地建物取引業協会)50万円
- 入会金(全国宅地建物取引業保証協会東京本部)20万円
- 入会金(東京都宅建協同組合)5万円→3万円(入会応援パック)
- 年会費(東京都宅地建物取引業協会)48,000円
- 年会費(全国宅地建物取引業保証協会東京本部)6,000円
- 年会費(東京都宅建協同組合)18,000円
※参照「宅建業・不動産業はじめるならハトマーク | 東京都宅建協会【公式】」
※参照「公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会」
※参照「公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会」
なお2020年4月から入会金の分納制度がスタートしました。20万円の入会金について、いきなり一括で払うのではなく、分割して「初年度10万円、翌年度5万円、翌々年度5万円」という支払い方法も選択が可能になりました。
※参照「全宅保証の入会金分納制度」
不動産保証協会(全日:ウサギマーク)
続いて「全日本不動産協会」が運営しているのが「不動産保証協会」です。ロゴマークにウサギを使っていることから「ウサギマーク」と呼ばれることもあります。
歴史と加盟者数
ウサギマークはハトマークよりも設立は古いですが、加盟者数は多くありません。
- 加盟社数:35,775社(2020年6月現在)
- 設立:全日は1952年10月1日、保証協会は1973年9月27日
加入に必要な料金
必要な料金は以下のとおりです。なお都道府県により負担額が異なるので注意して下さい。
- 入会金(全日本不動産協会)465,000円
- 入会金(不動産保証協会)80,000円
- 入会金(全国不動産協会)85,000円
- 年会費(全日本不動産協会)33,000円
- 年会費(不動産保証協会)12,000円
- 年会費(全国不動産協会)25,800円
ウサギマークはハトマークよりも初期費用が安く済むのが特徴です。ただし加盟者数が少ないため、業者のつながりの幅広さより、初期費用の安さを重視する業者が加盟する傾向にあるようです。
※参照「公益社団法人 不動産保証協会」
※参照「公益社団法人 全日本不動産協会」
3.宅建の保証協会の加入方法と必要書類
それでは2つの保証協会について、会の概要や加入方法、必要な書類について見ていくことにしましょう。それぞれのウェブページに詳しく紹介されていますが、必要書類については都道府県ごとに異なるケースもあります。
以下の概要を確認したあと、必ず都道府県ごとのページもチェックするようにしてください。ここでは東京都の例にもとづいて紹介していきます。
全国宅地建物取引業保証協会(全宅:ハトマーク)に加入する場合
ハトマークの「全宅保証」に入会するためには、「都道府県宅地建物取引業協会」の会員であることが要件となっています。2つの会に同時に申し込む
かたちです。
会の概要
まず、会の概要は以下のとおりです。
※参照「全宅保証のご案内」
※参照「入会メリット:ハトマークサポートガイド」
申し込みの流れ
申し込みのタイミングは、宅建業免許をもらった後になります。具体的な入会申し込みの流れは次のとおりです。
- 入会金、弁済業務保証金分担金等の納付
- 入会申込書・連帯保証書等の提出
- 入会審査・供託手続き
入会が認められると「免許証」を受領することができます。ここでようやく宅建業の営業をスタートさせることができます。
※参照「入会手続きの流れ」
※参照「入会受付窓口」
※参照「入会案内申し込みオンライン」
申し込みに必要な書類
申込みに必要な書類は、都道府県ごとの協会で若干異なるケースもあるようです。これは東京都の場合です。
※参照「東京都の場合:入会申請書類」
■宅建協会に申請するための書類
- 入会申込書
※参照「入会申込書」
- 入会申請にあたっての誓約書
※参照「入会申請にあたっての誓約書」
- 免許申請書の写し(第1面~第4面、最寄駅より事務所までの案内図、略歴書(代表者・専任取引士)、宅建業に従事する者の名簿、履歴事項全部証明書)
■保証協会に申請するための書類
- 入会申込書
※参照「入会申込書」
- 弁済業務保証金分担金納付書
※参照「弁済業務保証金分担金納付書」
- 連帯保証書(法人のみ)
※参照「連帯保証書(法人のみ)」
- 誓約書(法人のみ)
※参照「誓約書(法人のみ)」
- 印鑑証明書 代表者個人と法人
- 供託済みの場合:免許証(写)、供託書(写)
- 未供託の場合:免許通知ハガキ(写)
不動産保証協会(全日:ウサギマーク)に加入する場合
ウサギマークの「不動産保証協会」に入会するためには、「全日本不動産協会」にも同時に加入することが必要です。ハトマークの場合と同様で、2つの会に同時に申し込む
ことになります。
会の概要
まず入会のメリットについては、ここで12のポイントにまとめられています。
※参照「入会メリット」
申し込みの流れ
申し込みのタイミングは、宅建業免許をもらった後になります。入会手続きの流れについては、以下を参考にしてください。
※参照「入会手続きのご案内」
申し込み先はこちらです。
※参照「入会資料請求」
免許を受けた後で申請をすることになりますが、具体的な入会申し込みの流れは次のとおりです。ハトマークの場合と、ほぼ同じです。
- 地方本部への入会申し込み(書類提出)
- 事務所調査
- 入会審査
- 入会説明会
- 入会金、弁済業務保証金分担金等の納付
入会が認められると「免許証」を受領して営業をスタートさせることができます。なお入会手続きには1ヶ月くらいを要します。
申し込みに必要な書類
申込みに必要な書類は、ハトマークの場合と同じように、都道府県ごとに異なる場合もあるようです。
※参照「東京都の場合:入会申請書類」
■入会資料:
- 郵送で依頼
※参照「郵送で依頼:」
- ダウンロード
■協会が指定する提出書類:
- 入会申込書(全日・保証)
- 弁済業務保証金分担金納付書
- 連帯保証人届出書(法人の場合)
- 誓約書
- 確約書
- 写真・取引士証の表・裏写し
- 公益社団法人 全日本不動産協会:個人情報のお取り扱いについて
- 公益社団法人 不動産保証協会:個人情報のお取り扱いについて
- レインズ・ラビーネット 加入申込書
- 一般社団法人全国不動産協会入会申込書
■自己で用意する書類:
- 免許申請書の写し一式(更新者は更新申請書)
- 【法人申請者】①法人印鑑証明書 原本1通、②連帯保証人(代表者)の印鑑証明書 原本1通
- 【個人申請者】個人印鑑証明書 原本1通
- 事務所地図
4.宅建の弁済業務保証金分担金とは?
最後に「弁済業務保証金分担金」という制度について、あらためて説明をしておきます。
すでに説明したとおり、免許を受けた宅建業者は、以下2つのいずれかの選択をしなければ、免許証を受領することができません。
- 営業保証金を供託所に供託する
- 保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付する
②を選択すると、①に比べて金銭的な負担を大きく減らすことができます。それは1社で「営業保証金」を供託するのではなく、多くの宅建業者が集団で供託を行うからです。それが「弁済業務保証金分担金」というシステムです。これについて解説していきましょう。
納付すべき金額は?
「弁済業務保証金分担金」は、宅建業者が保証協会に預けるお金のことをいいます。
- 主たる事務所:60万円
- それ以外の事務所:1ヶ所につき30万円
先ほどのケースでは「主たる事務所」1ヶ所と「それ以外の事務所」が1ヶ所という宅建業者を想定しました。この場合、わずか90万円の納付で済ませることができます。
弁済業務保証金分担金の流れ
上記の通り、宅建業者は「保証協会」に「弁済業務保証金分担金」を納付します。受け取った保証協会は、1週間以内に、その納付額に応じた金額を供託所に供託します。これを「弁済業務保証金」といいます。
「弁済業務保証金」の供託を終えた保証協会は、その業者の免許権者に対して、供託した旨の報告を行います。こうして納付が完了します。
事務所の数を増やした場合
なお、その後に事務所を増やした場合は、追加負担分を2週間以内に保証協会に納付しなければいけません。
たとえば事務所を1ヶ所増やした場合は、上記の表にあるとおり30万円の「弁済業務保証金分担金」を追加で納付する必要があります。2週間以内に納付しなかった場合は「社員」としての地位を失うことになるので注意しましょう。
5.「宅建の保証協会」のまとめ
宅建の保証協会の仕組みについて解説しました。宅建業の免許をもらうだけでも複雑な手続きが必要ですが、免許をもらっただけでは営業をスタートさせることはできません。保証金をおさめることが必要ですが、これもなかなか複雑です。
保証協会や保証金の意味を説明しながら、2つの保証協会の違いも解説しました。どちらに入るのが良さそうか、なんとなくイメージはついたでしょうか?
どちらの保証協会を利用するかは、不動産業者としてのスタンスによっても変わります。開業を進める際の参考資料として役立ててください。
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無料で相談する※参照「公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会」
※参照「公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会」
※参照「一般財団法人 不動産適正取引推進機構:令和元年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」
※参照「全宅保証の入会金分納制度」
※参照「公益社団法人 不動産保証協会」
※参照「公益社団法人 全日本不動産協会」
※参照「全宅保証のご案内」
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