宅建業開業に必要な免許証とは?費用・条件・試験・更新・取得の流れを解説
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宅建業を営むには「宅建業免許の免許証」が必要です。「免許」を受けるだけでなく「免許証」が交付されていなければなりません。
たとえ「免許」を受けていても、「免許証」が交付される前に営業活動を行った場合は、罰則の対象となってしまいます。
このように宅建免許は、わかりにくく制度も複雑です。そこで今回は、宅建業免許の内容や種類、取得までの流れや必要となる費用について、わかりやすく解説します。
免許証に関する問題は、宅建試験でも頻出です。よく出題される5つの論点についてもまとめました。この記事を参考に、宅建免許に関する理解を深めてください。
- 宅地建物取引業免許の内容と種類
- 宅地建物取引業免許を取得するまでの流れ
- 宅地建物取引業免許を取得するための費用
- 宅建で出題される「免許証」関連の5つの重要論点
1.宅建業開業に必要な免許証とは
まず「宅地建物取引業免許」の位置づけから確認してみましょう。全日本不動産協会は「宅地建物取引業免許」を次のように定義しています。
宅地建物取引業免許とは、宅地建物取引業を営むために必要な免許のこと
出典:宅建取引業を営むために必要な宅地建物取引業免許 | 公益社団法人全日本不動産協会
「宅地建物取引業免許」にはどのような役割があるのでしょうか。免許の種類や取得条件も含めて解説します。
1-1.免許があれば「宅地建物取引業」を営むことが可能に
宅建免許は「宅建業を営むために必要な免許」ですが、そもそも「宅建業」とはどのように規定されているのでしょうか。宅建業法では、次のように記載されています。
1-1-1.宅建業法で「取引」にあたるものは?
わかりにくい文章なので、分解して説明します。
まず不動産取引には「売買」「交換」「貸借」の3つの取引があります。そして取引のスタイルには、「自ら当事者として」「代理として」「媒介として」という3種類があります。次の表のとおりです。
売買 | 交換 | 貸借 | |
---|---|---|---|
自ら当事者として | ○ | ○ | X |
代理として | ○ | ○ | ○ |
媒介として | ○ | ○ | ○ |
このうち「自ら当事者として」行う取引のうち、「貸借」については「宅建業法上の『取引』には当たらない」とされています。
したがって、自ら所有する不動産を貸借するだけであれば、宅建業免許を取得する必要はありません。
1-1-2.宅建業法で「宅建業」にあたるものは?
なお宅建業法では「宅地や建物の取引を業として行こなうもの」で、「不特定かつ多数を相手に、反復継続して行うこと」が宅建業者だと定義されています。
特定の人を対象とする場合や、一括して売却するという場合は「宅建業」に該当しないため、この場合も免許は不要です。
1-2.免許の種類
宅建業免許には2つの種類があります。「都道府県知事免許」と「国土交通大臣免許」です。
宅建業者の事務所の設置状況によって、どちらの免許を取得すべきかが決まります。
1-2-1.都道府県知事免許
1つ目は「都道府県知事免許」です。同じ1つの都道府県内で事務所を展開する場合は、その都道府県知事から免許を受けることになります。
たとえば、事務所を東京都だけに設置する業者であれば、「東京都知事免許」が必要です。
しかし、もし東京都以外にも事務所を設定したいなら、次に紹介する「国土交通大臣免許」への「免許換え」が必要になります。
1-2-2.国土交通大臣免許
宅建業免許の2つ目は「国土交通大臣免許」です。複数の都道府県に事務所を設置する場合は、国土交通大臣から免許を受ける必要があります。
たとえば東京都と埼玉県に事務所を置く業者なら、「東京都知事免許」や「埼玉県知事免許」ではダメで、必ず「国土交通大臣免許」を取得する必要があります。
申請にあたっては、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事知事を経由して行います。
なお「国土交通大臣免許」を受けていた業者が、一つの都道府県内に事務所を集約する場合は、その都道府県の「都道府県知事免許」への免許替え」手続きが必要です。
1-3.免許申請の要件
宅建業免許は、申請すれば誰にでも交付されるというわけではありません。
書類を提出して手数料を納付すると、審査が行われます。主な審査内容は次の3点です。
- 欠格事由に該当していないこと
- 事務所の形態に問題がないこと
- 専任の取引士が設置されていること
審査の結果は、書類の提出から30日から40日程度で判明します。審査の内容を順番に解説していきましょう。
1-3-1.欠格事由に該当していないこと
まず1つ目の審査事項は「欠格事由に該当していないこと」です。
欠格事由とは「免許を受けられないケース」を意味します。もしこれに該当する場合は、免許を与えない旨の通知が行われます。宅建業法では、次のように規定されています。
第五条(免許の基準)次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。
欠格事由の内容は、「各号のいずれかに該当する場合」として列挙されています。
たとえば不正手段で免許を受けた場合や、免許の取り消し処分を受けている場合、また刑法で禁錮以上の罰を受けていたり、宅建業法で罰金刑を受けている場合は免許を受けることができません。
また、免許申請前の5年以内に宅建業に関する不正を行った場合、暴力団関係者である場合等も欠格要因の一つです。
その他にも、免許申請書の虚偽記載や重要事実の記載漏れ、破産手続き中で復権を得ていない場合も免許の申請が受け付けられません。
東京都「宅地建物取引業免許申請の手引」免許を受けられない者」
1-3-2.事務所の形態に問題がないこと
2つ目の審査事項は「事務所の形態に問題がないこと」です。
ポイントは、宅建業の業務を継続的に行うことができる環境かどうかという点です。
宅建業法の施行令には次のように書かれています。
一 本店又は支店(商人以外の者にあつては、主たる事務所又は従たる事務所)
二 前号に掲げるもののほか、継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
「居住用マンションの一室を事務所とするケース」や、「一つの事務所を共同利用するケース」、あるいは「一戸建て住宅の一部を事務所とするケース」などは、宅建業法が定める「事務所」と見なされない場合があるので要注意です。
1-3-3.専任の取引士が設置されていること
3つ目の審査事項は「専任の取引士が設置されていること」です。事務所ごとに、5人に1人以上の「専任の取引士」がいないと審査に通りません。
専任の取引士は「常勤性」と「専従性」という2つの観点から判断されます。別の職業に就いていたり、他社の役員に就任していたりする場合は「兼業」と見なされるため「専任」とは見なされません。
宅建業法では次のように規定されています。
宅地建物取引士の設置第三十一条の三 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
1-4.免許の番号と有効期限
免許申請の審査を通過すると、宅建業免許が与えられます。その後「営業保証金」を納付すると「宅地建物取引業者免許証」が交付されます。
宅建免許証の有効期限は5年です。更新するためには、有効期間の満了日の90日前から30日前までに申請をする必要があります。これは「国土交通大臣免許」も「都道府県知事免許」も共通です。
なお宅建業免許証には「免許番号」が記載されます。これは宅建業者のID番号のようなもので、たとえば「東京都知事(1)第○○○○○号」や「国土交通大臣(1)第○○○○○号」といった形式です。
カッコの中の数字は、その業者の免許更新回数を示しています。たとえば免許取得の5年後に最初の更新手続きを行うと、新たに交付される免許証には「東京都知事(2)第○○○○○号」と記載されます。
この数字が大きいと「会社歴が長い」とイメージされることもありますが、この見方は必ずしも正しいとは限りません。詳しくは以下の記事を参照してください。
宅建業の免許番号とは?会社の信用を見抜く数字?更新で変わるのかも解説【期間は3年?5年?】
2.宅建業開業に必要な免許証取得の流れ
ここまでは「宅地建物取引業免許」について解説してきました。
今度は「免許の申請」から「免許証の取得」までの全体的な流れについて、次の5つのステップに分けて説明します。
なお詳しくは以下の記事でもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
宅建の免許申請の必要書類は?書き方・費用・流れ・期間・写真について詳しく解説
2-1.全体的な流れと注意点
まず、免許申請を行ってから免許証を取得するまでの手順は次のとおりです。
- 申請書類提出と手数料の納付
- 審査
- 宅建業免許の取得
- 営業保証金の供託
- 宅建業免許証の交付
なお、③の段階で「免許」が交付されますが、④を終えて「免許証」が交付されるまでは、広告活動や営業活動を行うことはできません。
「免許」と「免許証」は異なります。たとえ③をクリアしていても、⑤の免許証が交付される前の段階で広告や営業を行った場合、罰則の対象となるので注意しましょう。
東京都「宅地建物取引業免許申請の手引」免許申請手続き(フローチャート)
2-2.申請書類提出と手数料の納付
最初の第1ステップは、書類の提出と手数料の納付です。
そろえるべき資料は非常に多く、全部で18種類もあります。また審査状況によっては、追加の資料提出が求められることもあります。
書類の多くはウェブからダウンロードが可能です。ぜひ以下のページからチェックしてみてください。
申請手数料は33,000円です。不動産業課の手数料収納機でシールを購入し、申請書に貼り付けるという形式です。収入証紙ではなく現金が必要なので注意しましょう。
2-3.審査
書類を提出すると、審査のステップに移ります。
審査の内容は、前述の通り「欠格要件の審査」や「事務所の形態に関する審査」、「専任の取引士に関する審査」などです。
ケースにより異なりますが、多くの場合は30日から40日くらいで審査結果が判明するようです。
2-4.宅建業免許の取得
審査に通過すると、審査に通過した旨のハガキが事務所の本店に郵送されてきます。この段階で、宅建業の免許が取得できたことになります。
しかし、この段階は「免許が取得できた」というだけであり、「免許証の取得」をするには、もうひとつのステップを乗り越える必要があります。
すでに紹介した通り、免許証を取得する前の段階で営業活動を行ったり、広告活動を行ったりすると罰則の対象となります。
2-5.営業保証金の供託
免許を取得した後「免許証」を取得するために必要なのが第4ステップの「営業保証金の供託」です。これには2つの方法があります。
- 営業保証金を供託する
- 保証協会へ加入し「弁済業務保証金分担金」を納付する
免許日から3ヶ月以内に手続きを完了しないと、免許が取り消しになる可能性もあるので気をつけましょう。
2-5-1.営業保証金を供託する
1つ目は「営業保証金を供託する」という方法です。
主たる事務所の最寄りの供託所(法務局)に行って「営業保証金」を預けます。預ける金額は次のとおりです。
- 主たる事務所:1,000万円
- それ以外の事務所:1ヶ所につき500万円
仮に「主たる事務所が1ヶ所のみ」という宅建業者なら1,000万円となります。もし「本店だけでなく5ヶ所の事務所(支店)がある」という宅建業者なら、1,000万円 + ( 5ヶ所 X 500万円) = 3,500万円という計算になります。
2-5-2.保証協会へ加入し「弁済業務保証金分担金」を納付する
2つ目は「保証協会へ加入し、弁済業務保証金分担金を納付する」という方法です。1つ目に比べて負担金額が大幅に少なくなるのが特徴です。
保証協会に加入して「弁済業務保証金分担金」を納付すれば、高額な「営業保証金」の負担が免除されます。供託すべき金額は次のとおりです。
- 主たる事務所:60万円
- それ以外の事務所:1ヶ所につき30万円
先ほどの例のように、もし「本店だけでなく5ヶ所の事務所(支店)がある」という宅建業者なら、60万円 + ( 5ヶ所 X 30万円) = 210万円という計算になります。
この方法なら供託の資金負担が大幅に小さくなります。資本の小さな中小・中堅の企業にとっては、とても魅力的な制度だと言えるでしょう。
なお保証協会については、以下の記事も参照してください。
宅建の保証協会をわかりやすく解説!種類は?費用は?【申込書の書き方】
2-6.宅建業免許証の交付
いよいよ次は免許証の交付です。
まず1つ目の方法をとった業者の場合は、法務局への供託が済んだら、免許権者に対して「供託した旨の届け出」を行います。
また2つ目の方法をとった業者の場合は、「保証金分担金」を納付した後、納付の写しを免許権者に提出します。
これによって「宅地建物取引業者免許証」が交付されることになり、はれて広告や営業の活動がスタートできるようになります。詳しい手続きについては以下の記事も参照してください。
宅建の免許申請の必要書類は?書き方・費用・流れ・期間・写真について詳しく解説
3.宅建取引業免許の取得費用
宅地建物取引業免許の取得の流れを見てきましたが、今度は「費用の面でどれくらいかかるのか」を解説します。
法人で宅建業を起業する場合、300万円から500万円くらいが必要になると考えてください。
宅建業は個人事業でも開業することができますが、ここでは一般的な事例として、次のような前提で説明します。
- 個人事業ではなく、法人として開業
- 宅建士を雇うのではなく、自らが宅建士として登録
- 保証協会へ加入し「弁済業務保証金分担金」を納付
3-1.法人で開業する場合の流れ
まず上記の前提で開業する場合、営業開始までの流れを時系列で整理すると次のようになります。
- 開業を決意する。
- 宅建士の登録をする。
- 事務所を用意する。
- 法人を設立する。
- 宅建業免許を申請する。
- 営業保証金を供託する。
- 免許証を受領し、営業スタートへ。
3-2.開業を決意する
まずは宅建業の開業を決意します。宅建業を営むには「専任の宅建士」を設置する義務があります。
宅建士を雇うという方法もありますが、社員を雇うにはコストがかかります。
社員を雇わず「一人開業」をしたいなら、自らが宅建士試験に合格し、宅建士登録を行う必要があります。
- 宅建の受験費用:7,000円
- 宅建学習に必要な費用:別途
宅建試験の費用はいくら?合格〜登録後の維持費まで紹介!【費用対効果も解説】
3-3.宅建士の登録をする
宅建試験に合格したら、宅建士登録を行います。
宅建士として業務にあたるには、宅建の資格登録を行った上で「宅建士証」を交付してもらう必要があります。合格しただけでは宅建士として業務に従事することはできません。
- 登録手数料:37,000円
- 宅建士証交付手数料:4,500円
- 申請書類を用意するコスト
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3-4.事務所を用意する
法人設立にあたっては、オフィスを用意する必要があります。賃貸契約をして営む場合は、次のような費用がかかります。
- 賃貸契約のコスト:敷金・保証金、敷金、礼金、仲介手数料など(敷金・保証金は月額家賃の6ヶ月以上を見ておきましょう)
- 入居関連のコスト:内装工事、OA機器や家具、通信設備など
なお自宅の一室で開業する場合は上記の費用は不要です。ただし前述したとおり、宅建業免許の申請の際に「事務所の形態に関する審査」があるので注意しましょう。
3-5.法人を設立する
宅建業の免許を「法人名義」で申請したいなら、申請前に法人を設立する必要があります。主な費用は以下のとおりです。
なお、法人設立は司法書士や行政書士などに代行してもらう方法もありますが、自分自身で行うことも可能です。
- 定款認証:40,000円
- 登録免許税:資本金額×0.007(15万円に満たない場合は15万円)
- 登記完了後に登記簿謄本2通と印鑑証明1通:2,500円
- 代行の報酬:(依頼先により変わります。自分でやることも可能)
また上記とは別に、会社の資本金に相当する「出資金の払い込み」が必要です。
3-6.宅建業免許を申請する
法人設立が済んだら、宅建業免許の申請を行います。必要な資料が多いので、一つひとつ丁寧に確認していきましょう。
- 免許申請手数料:33,000円
- 申請書類を用意するコスト
- 代行の報酬:(依頼先により変わります。自分でやることも可能)
宅建の免許申請の必要書類は?書き方・費用・流れ・期間・写真について詳しく解説
3-7.営業保証金を供託する
免許が取得できたら、免許証の申請に移ります。免許証の交付を受けるには、営業保証金の供託が必要です。前述のとおり、以下2つのいずれかを選択します。
- 営業保証金を供託する
- 保証協会へ加入し「弁済業務保証金分担金」を納付する
ここでは低コストで済む②を例に説明します。
- 保証協会への入会金:13万円〜20万円
- 宅建協会への入会金:49万円〜50万円
- 弁済業務保証金分担金:主たる事務所1ヶ所で60万円
3-7-1.保証協会はハトマークとウサギマークの2種類
なお保証協会には以下の2つがあります。どちらに加盟しても問題ありません。
- 全国宅地建物取引業保証協会(ハトマーク)
- 不動産保証協会(ウサギマーク)
「保証協会」に対する「弁済業務保証金分担金」の納付が完了すると、保証協会は1週間以内に、その納付額に応じた金額を「弁済業務保証金」として供託所に供託します。保証協会が免許権者に報告を行うことで、すべての納付が完了します。
なお都道府県により、加入しなければいけない団体が別途あったり、会費が異なったりするケースもあります。詳しいことは、以下の記事を参照してください。
宅建の保証協会をわかりやすく解説!種類は?費用は?【申込書の書き方】
3-8.免許証を受領し、営業スタートへ
こうして免許証を受領すると、ようやく広告や営業をスタートさせることができるようになります。営業スタートに必要となる主な費用は、次のとおりです。
- 事務所の維持費:毎月の賃料、通信費、水道光熱費など
- 業界団体の会費:加盟した業界団体それぞれへの年会費など
- その他のコスト:5年ごとの免許の更新手数料、事務用品や消耗品など
4.宅建で出題される「免許証」関連の5つの重要論点
ここまでは「免許証」に関する実務面の紹介をしてきましたが、宅建試験では「免許証」に関する問題はどのように出題されるのでしょうか?
「免許証」関連の問題は、宅建試験ではよく取り上げられます。出題される論点は共通しているため、チェックすべき重点事項をまとめて紹介します。もしわからない点があれば必ずテキストを再確認するようにしましょう。
主な論点は次の5点です。
- 免許証の返納
- 変更の届け出と書換え交付申請
- 免許の効力
- 免許換え
- 廃業などによる届け出と免許の失効
4-1.免許証の返納
廃業したり、免許の取消処分を受けたりした場合、その宅建業者は免許証を「遅延なく」返納しなければなりません。
なお、廃業の際に返納しなければいけないのは「免許」です。「宅建士証」の返納義務はありません。引っ掛け問題として出題されたことがあるので気をつけましょう。
4-2.変更の届け出と書換え交付申請
「宅建業者名簿」の登載事項に変更が生じた場合は、30日以内に届け出が必要です。
また、その際に「免許証」の記載事項(①商号又は名称、②代表者の氏名、③主たる事務所の所在地)に変更が生じた場合は、30日以内に「宅建業者名簿の変更の届け出」とあわせて「書換交付申請」を行う必要があります。
4-3.免許の効力
宅建業免許の有効期間は 5年です。引き続き宅建業を営むには「更新の手続き」が必要です。申請は、免許の有効期間満了日の90日前から30日前までの間に行う必要があります。
なお更新後に受け取る「新たな免許証」の有効期間は、従前の免許証の有効期間満了日の翌日から起算して5年間です。
4-4.免許換え
事務所を新設したり、廃止する等で「免許権者」が変更になる場合は申請が必要です。この申請を「免許換え」といいます。以下3つのパターンです。
- 都道府県知事免許 → 国土交通大臣免許(他の都道府県にも事務所を新設する場合)
- 国土交通大臣免許 → 都道府県知事免許(1つの都道府県エリア内に事務所を集約する場合)
- 都道府県知事免許 → 他の都道府県知事免許(他の1つの都道府県に全ての事務所を集約する場合)
手続きの流れは次のとおりです。
①の場合:申請先は国土交通大臣ですが、手続きは主たる事務所を管轄する知事を経由して行います。
②③の場合:新たに免許権者となる知事に対し、直接申請を行います。
こうして新たな免許が交付されると、従前の免許は効力を失います。新たな免許は「新規の免許」と同様の扱いを受けるため、有効期限は5年となります。
4-5.廃業などによる届け出と免許の失効
廃業や合併、解散や死亡などの場合は、一定期間内に届け出を行う必要があります。免許の返納も必要なので注意しましょう。重要項目をまとめると以下のとおりです。
事由 | 法人業者 | 個人業者 | 届け出の期限 | 免許失効時 |
---|---|---|---|---|
死亡 | X | 相続人 | その事実を知った日から30日以内 | 死亡の時 |
破産手続開始決定 | 破産管財人 | 破産管財人 | その日から30日以内 | 届け出の時 |
廃業 | 代表役員 | 本人 | その日から30日以内 | 届け出の時 |
法人の解散 | 清算人 | X | その日から30日以内 | 届け出の時 |
法人の合併消滅 | 消滅会社の代表役員 | X | その日から30日以内 | 合併消滅の時 |
5.「宅建業開業に必要な免許証」まとめ
宅建の免許証について解説してきました。宅建業免許は制度が複雑です。初心者には取っつきにくい分野かもしれません。
しかし、宅建免許は宅建試験で毎年のように狙われる重要テーマでもあります。免許の内容や種類、取得までの流れや必要となる費用など、どれも大事な点なので、しっかり理解してください。
これから宅建業の開業を目指す人は、この記事を参考に手続きをすすめてみてください。また宅建試験を受験する人は、最後にまとめた重要論点を参考に、全体像の理解に努めてください。ぜひ得点源にしていきましょう。
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