不動産業界・店舗開発の仕事とは?きつい?やりがいや年収・求人動向も解説!
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飲食店やコンビニ、家電量販店やドラッグストアなど、多店舗展開をはかる企業で「新規出店」の業務を担うのが「店舗開発」の仕事です。
しかし、「店舗開発」が具体的にどのような業務を行っているのか、あまりよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、店舗開発という職種の内容について解説します。仕事の内容や役割、仕事のメリット(やりがい)やデメリット(きつい点)も紹介します。
この記事を読めば、きっと店舗開発の全体像がイメージできるようになるはずです。店舗開発に向く人の特徴もまとめたので、自分にあった仕事かどうかをチェックしてみて下さい。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
この記事・サイトの監修者
棚田 健大郎
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、行政書士、FP2級など多数保有
不動産業界歴10年以上。元上場企業不動産会社エイブルの営業マン。3000人の社員の中で、仲介手数料売り上げ金額第1位となるトップセールスを記録。個人のYouTubeチャンネル“棚田行政書士の不動産大学”では、登録者数20万人以上。
1.店舗開発とは?
「店舗開発」は、新たな店舗の開設を担う職種です。多店舗展開をはかる企業に設けられている仕事で、たとえば飲食業や小売業、量販店やアパレル企業などがあげられます。
基本的な業務としては、新規に出店すべきエリアを調査するところから始まって、実際に店舗をオープンさせるまでの一連の工程を担います。
ただし、店舗開発の仕事は単に「店を出すこと」というわけではありません。あくまでも「利益の出る店をつくること」が仕事です。
そのため、マーケティングデータや実地調査を駆使しながら、実際に出店した場合の採算をシュミレーションして、物件候補を絞り込むことになります。
また物件の情報を収集するだけでなく、店舗デザインの内装を企画・設計したり、物件オーナーとの契約の交渉をしたりするのも仕事の一つです。
2.店舗開発の仕事内容
店舗開発の役割について簡単に説明しましたが、今度はその具体的な仕事内容を見てみることにしましょう。
店舗開発の役割は「お店を出すこと」です。しかし単に「お店を出す」のではなく「利益の出る店をつくる」ことが求められます。そのためには、どのような順序で業務を進めていくべきなのでしょうか。
その業務フローの中身について、次の4つのステップに分けて解説します。
- 出店候補地の調査
- 契約
- 内装の手配
- オーナーへの説明
2-1.出店候補地の調査
店舗開発において最も重要なのが「立地」です。どんなに優秀な店長やスタッフがいても、立地が悪ければ集客には限界があります。
その「立地の良さ」を見抜くために不可欠なのが、この「出店候補地の調査」というステップです。主に次の3つの業務があります。
- 出店エリアを選定する。
- 候補となる物件の情報を収集する。
- 集まった物件情報の調査と検討を行う。
2-1-1.出店エリアの選定
まずは、出店先となるエリアを選定します。
さまざまなマーケット情報をふまえながら、「どのような場所であれば、自社の店舗のコンセプトや優位性が活かされるのか」を吟味していきます。
単純に「人が多く集まるエリアであればよい」というわけではありません。たとえば「人が多く集まる場所」であっても「競合店舗が多いエリア」なら、集客に苦戦することになります。
「対象エリア」を絞る際には、人口や交通量だけでなく地域や場所の特性など、さまざまな要因をふまえて検討する必要があります。
2-1-2.候補となる物件の情報収集
条件にかなうエリアが選定できたら、そのエリア内の物件情報を収集します。
大手の不動産会社に依頼するだけでなく、その地域に根ざした中小の不動産会社にもアプローチをします。大手企業には無いような、意外な物件情報がもたらされることもあるためです。
またエリア内を散策しながら「これは」と思う物件があれば、物件オーナーを探し出して直接交渉を行うケースもあります。
2-1-3.集まった物件情報の調査と検討
今度は、集まった物件情報を吟味する段階に移ります。
人口や交通量、世代や顧客の特徴、駅からの距離や動線、物件の面積や形状など、さまざまな要素を踏まえて収支のシュミレーションを行います。
たとえば飲食店の場合、テイクアウトを強化したいなら「道路に面した間口の広さ」が重要になります。また来店客を増やしたいなら「外から見た時に、店内が見えやすいこと」もポイントになります。
また周辺にある競合店の調査も重要です。競合店が多いからといって苦戦するとは限りません。逆に、競合が多いからこそターゲット顧客を集めやすいという場合もあります。
このようにして、物件の賃料や想定される顧客数、客層を踏まえた売上予測など、さまざまなマーケティング調査にもとづいて、徹底的なシュミレーションを行います。もし「長期的に安定した利益が見込めそう」と判断できたら、契約作業へと進みます。
2-2.契約
「出店候補の調査」が終わったら、今度は不動産会社や物件オーナーと具体的に契約を詰めることになります。
多くの店舗は「賃貸借契約」によって運営されています。物件を購入することは稀です。そのため「家賃」や「契約期間」の交渉だけでなく、物件の「利用条件」についても物件オーナーと交渉する必要があります。
たとえば、壁や屋根を壊す工事が必要な場合や、屋外に大きな電飾看板を設置したい場合など、オーナーによっては「ダメ」と言われるケースもあります。
また、土地を借りる場合は自社で物件を建てるため、長い契約期間を設定する場合がほとんどです。長期で賃貸する以上、土地オーナーも相手を真剣に選ぶことになります。そのため、粘り強い交渉が必要になることもあります。
2-3.内装の手配
契約作業と前後して、内装の手配に取り掛かります。
店舗デザイナーと話し合いながら「店舗デザイン設計」を行いつつ、工事については施工業者との打ち合わせを行うことになります。
内装は、店舗への集客においては「立地」に続いてとても重要なポイントです。収益性の高い店舗を実現するには、その店の特性にあったデザインが求められるからです。
たとえば「郊外の路面店」と「都心のビル内の店舗」とでは客層が異なります。お客様を惹きつける内装は店によって異なるため、「その場に適した内装デザインを実現できるか」は、集客の成否に大きく影響します。
お子様連れの多いエリアなら、キッズスペースを設けるとか、逆にビジネスマンが多いエリアならテーブルを少なくして座席数を増やすなど、さまざまな工夫が考えられます。
多店舗展開をはかるチェーン店であっても、たとえば座席やテーブルの配置にはそれぞれの店舗でそれぞれの工夫がされているものです。「ショッピングモールのテナントショップ」や「古い雑居ビルの店舗」についても、その店の特徴を生かした集客デザインが必要です。
また、このステップでは、さまざまな関係者との打ち合わせが行われます。マーケティングの知識やノウハウだけでなく、建築や不動産、店舗デザインや内装設備、集客戦略などの知識や経験があると、スムーズに仕事を進めることができるでしょう。
2-4.オーナーへの説明
最後は「オーナーへの説明」という段階です。これは直営店スタイルではなく、フランチャイズ方式で店舗展開をする場合に求められるものです。
出店を目指す「オーナー候補」にとって、もっとも関心があるのは「その店を出して、安定的に利益が見込めるのか」という点です。
店舗を立ち上げるには莫大な初期投資が必要です。それを回収するには確実に利益が見込めなくてはなりません。赤字が続けば、あっという間に倒産してしまいます。
店舗開発の担当者は、そうした懸念に対して丁寧に説明を行って、充分に納得していただく必要があります。たとえば次のような「採算のシミュレーション」は「オーナー候補」にとっての重要な検討材料になります。
- 周辺環境の特徴
- 近隣にある競合店舗の状況
- 交通量分析をふまえた来店客数の予測
- 想定される1日あたりの売上や客単価
- 必要となる経費や収益性
また「オーナー候補」の中には、店舗経営が未経験という人もいます。いざ出店にこぎつけたとしても、赤字続きになってしまったらトラブルの原因にもなりかねません。
そのため「さまざまな不安や懸念をいかに払拭するか」が店舗開発者の腕の見せどころとなります。
2-5.店舗開発の業務フローがわかるYoutube講座
ここまでは「店舗開発の仕事内容」として、次の4つのステップを説明してきました。
- 出店候補地の調査
- 契約
- 内装の手配
- オーナーへの説明
この店舗開発の業務フローの全体像について、理解を深めるのに役立つYoutube映像があるので紹介します。
このYoutube映像では、「店舗開発実務講座」の講師が登場し、店舗開発を仕事とする上での心構えや業務フローの流れが解説されています。総まとめの意味で、ぜひチェックしておくとよいでしょう。
2-6.店舗開発のアウトソーシングを請け負う会社も
店舗開発業務は基本的には自社内で行うものです。しかし小さなお店の場合、日常の業務が忙しくて「店舗開発まで手が回らない」というケースもあります。
そうしたニーズに応えるため、近年では「店舗開発の業務を一括して代行する企業」も現れています。そのうちの1社が、株式会社店舗開発ジャパンです。
店舗開発ジャパン – 実務経験豊富な店舗開発のプロが、新規出店・多店舗展開をサポートいたします。
同社が提供するサービスは「店舗開発業務」全般です。店舗開発を専門に行うコンサルティングファームと言ってよいでしょう。
たとえば、出店戦略の立案、マーケット環境の調査、物件情報の収集や物件の選定、賃貸借契約のサポートや店舗開発担当者の育成など、ワンストップで依頼することが可能です。
「店舗開発のプロフェッショナルになりたい」という人は、ぜひウェブサイトをチェックしてみて下さい。
3.店舗開発の仕事をするメリット【やりがい】
店舗開発の仕事内容について解説してきました。今度は「仕事のやりがい」を見てみることにしましょう。次の3つの点を説明します。
- お店を一から立ち上げる体験ができる
- 幅広いスキルを磨くことが可能
- 年収が高い
3-1.お店を一から立ち上げる体験ができる
店舗開発の仕事をすることの1つ目のメリットは「お店を一から立ち上げる体験ができる」ということです。
条件にかなう店舗を見つけ出すのは大変です。しかし実際に店舗が立ち上がるのを見届けることができれば、大きな達成感が得られるはずです。
新たなお店がオープンし、多くのお客様が喜んでくれ、オーナーや店長、スタッフたちがイキイキと仕事をすることができるのは、ひとえに店舗開発チームの尽力があってこそです。
「将来は起業して、自分で店を立ち上げたい」という人なら、非常に貴重な経験にもなることでしょう。まさに実務を通じてしか得られない体験であるはずです。
3-2.幅広いスキルを磨くことが可能
店舗開発の仕事の2つ目のメリットは「幅広いスキルを磨くことが可能」ということです。
「仕事内容」で説明したとおり、店舗開発では「不動産の知識」と「マーケティングの知識」の両方の能力が問われます。
また、企画を円滑に進めるには発想力も大事ですし、多方面での交渉においては高いコミュニケーション能力も必要です。複数の店舗を同時にオープンさせることもあるため、緻密なスケジュール管理能力も欠かせません。
店舗開発の仕事は大変です。しかし日々の実務を通じて学べることはたくさんあります。「多くのスキルを身に着けたい」「ハードな環境であっても、自分の能力を最大限に磨きたい」という人なら、非常にやりがいのある環境だと言えるでしょう。
3-3.年収が高い
最後に、店舗開発の仕事の3つ目のメリットは「年収が高い」ということです。
転職サイトdoda(デューダ)の調査によると、店舗開発の平均年収は461万1,000円となっています。
出典:店舗/施設管理/店舗開発とはどんな職種?仕事内容/給料/転職事情を解説【doda職種図鑑】
もっとも多いのは「400万円〜500万円」の層ですが、「600万円〜700万円」の層も10%以上います。
また「待遇」という意味では、休暇や手当が手厚い企業の求人案件を多く見受けます。
参考までに、転職サイトdoda(デューダ)がまとめた「90職種別の残業時間ランキング」によれば、「店舗開発」の平均的な残業時間は「1ヶ月当たり13.2時間」で、ランキングの第6位となっています。
出典:【全90職種】残業の少ない仕事・多い仕事は? 平均残業時間ランキング最新版 |転職ならdoda(デューダ)
4.店舗開発の仕事をするデメリット【きつい点】
店舗開発の仕事をするメリットを3つ解説してきました。もちろん、メリットがあればデメリットもあります。
店舗開発には大きなやりがいがあります。しかしその反面、きつい部分がたくさんあることも事実です。よく指摘されがちな2つの点を解説します。
- 未経験からのスタートが難しい
- 覚えることが多いので大変
4-1.未経験からのスタートが難しい
店舗開発の仕事のデメリットの1つ目は「未経験からのスタートが難しい」ということです。求人案件を見てみると、そのほとんどが「業界経験者」を対象としていることがわかります。
店舗開発には高度なマーケティング能力と不動産の実務経験が必要です。実務を通じてしか得られないスキルもあり、その多くは一朝一夕に身につくものではありません。
また、会社によっては、テイクアウト店舗の立ち上げ経験者や、路面店の立ち上げ経験者など、ピンポイントに限定した求人を出すところすらあります。人材育成にも時間がかかるため、どうしても経験者頼みにならざるを得ないのが実態です。
ただし、すべての業務を経験している必要はなく、飲食店のデザインや店舗の企画、施工管理や会社経営など、関連した実務経験があれば採用される可能性はゼロではありません。また交渉事が多いため、営業経験者が優遇されるケースもあります。
「未経験だからダメ」とあきらめず、ぜひ「相手企業の役に立つには、自分のどの能力が役に立つだろうか?」と、前向きに考えるようにしてみて下さい。
4-2.覚えることが多いので大変
店舗開発の仕事のデメリットの2つ目は「覚えることが多いので大変」ということです。
店舗開発では、店舗選定のための幅広いマーケティング能力が求められます。不動産の交渉や契約、店舗デザインに至るまで、広範な実務能力が欠かせません。
業務範囲が広いため、覚えるべきことや理解すべきこと、磨き続けなければいけないことも多いです。しかし逆に言えば、それだけ「成長機会」が多いとも言えます。
新たに店舗開発の仕事についた人の転職アンケートを見ると「転職前の職種」の上位1位と2位は、次のようになっています。
- 店舗/施設管理/店舗開発(全体の19%)
- 店長(全体の17%)
出典:店舗/施設管理/店舗開発とはどんな職種?仕事内容/給料/転職事情を解説【doda職種図鑑】
前述のとおり「経験者採用」の職種だからということもありますが、「経験したことが即キャリアになる職種」という側面もあります。「もっともっと成長したい!」という人には、ぜひおすすめしたい職種の一つです。
5.店舗開発に向いている人
店舗開発の業務内容や仕事内容、メリット(やりがい)やデメリット(きつい点)について解説してきました。
このような仕事が向いているのは、どのような人なのでしょうか。「店舗開発の仕事が向いている人」の特徴を3点にまとめてみます。
- 将来的に自分でお店を持ちたい人
- 幅広いスキルを積みたい人
- 普通自動車免許を持っている人
5-1.将来的に自分でお店を持ちたい人
店舗開発の仕事をオススメしたい人の1つ目は「将来的に自分でお店を持ちたい人」です。
店舗開発は「ゼロからお店を立ち上げる」という仕事です。しかも単にお店を立ち上げるだけでなく「安定して成長できる店舗」を開発しなければなりません。
「将来、自分でお店を立ち上げたい」ということであれば、予行演習として最適な環境だと言えるでしょう。たくさんの実務を通じてスキルが得られれば、自分でお店を立ち上げる際の成功確率を上げることができます。
店舗をオープンさせるには莫大な資金が必要です。オープンした後になって「立地に失敗した!」と思っても、簡単に移転できるようなものではありません。
また「良い物件を見つけるノウハウ」だけでなく、「できるだけ低コストで店を立ち上げるノウハウ」も必要です。いずれも店舗開発の仕事をしていれば、着実に身につくスキルです。
将来、自分のお店を立ち上げたいなら、店舗開発の仕事はオススメです。開業前の準備期間として位置づけるのも良いでしょう。
5-2.幅広いスキルを積みたい人
店舗開発の仕事をオススメしたい人の2つ目は「幅広いスキルを積みたい人」です。
すでに説明したとおり、店舗開発は多種多様なマルチスキルが求められる環境です。勉強しなければいけない領域も広く、ある意味ではハードな環境だと言えるでしょう。
しかし、だからこそさまざまなスキルが身につく環境でもあります。マーケティングや不動産、デザイン設計、その他さまざまな専門知識が求められます。常にスキルアップして、毎日必死に食らいついていく必要があるでしょう。
もし幅広いスキルを積み上げたいなら、店舗開発の仕事はオススメです。
5-3.普通自動車免許を持っている人
店舗開発の仕事をオススメしたい人の3つ目は「普通自動車免許を持っている人」です。
対象エリアの調査や候補物件の立地調査など、さまざまな場面で車による移動が必要になる場合があるからです。
都心なら電車やバスの移動でも対応できますが、地方の物件になると車が不可欠です。もし普通自動車免許を持っていれば、会社から重宝されるでしょう。
なお「資格」なら、宅建もオススメです。不動産のルール、とくに賃貸借に関する知識は店舗開発の実務において役に立ちます。
宅建についての詳しいことは、次の記事も参考にしてみて下さい。
宅建は転職に有利!40代までなら未経験可能な理由と転職先を紹介! |宅建Jobマガジン
6.「店舗開発」のまとめ
店舗開発について解説してきました。
新規出店というと華々しいイメージがありますが、それを影から支えているのが「店舗開発」の仕事です。仕事の内容は地味ですが、高度でマルチな能力が要求される大事な仕事です。
今回の記事では、店舗開発の役割や仕事内容、やりがいなどを紹介しました。また、仕事のきつさや「向き・不向き」も取り上げました。
ぜひ「自分にあった仕事かどうか」を見きわめるための参考にしてみて下さい。
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